顎の音は治さないとダメ?口が開けにくい・顎が痛いときの考え方

顎の音と、どう付き合うか

口を開けると顎がカクッと鳴る、顎が痛い、大きく口が開けにくい。顎関節症は手術が必要、一生治らない、と思っていませんか。多くはまず生活の工夫とセルフケアで、痛みや開けにくさは和らいでいきます。ここでは原因・家でできること・受診の目安・よくある疑問までをまとめました。

あくびや食事で顎が痛む。口が指2本分くらいしか開かない。顎で音が鳴るのが気になる。そんな顎の悩みはめずらしくありません。まずは「何が起きていて、何ができるのか」を見ていきます。

まなぶ先生まなぶ先生

「顎の音は、治さないとダメなんですか」と患者さんからよく聞かれます。

教子先生教子先生

「顎関節症は手術しないと治らない」と思って来られる方も多いですよね。

瀬谷崎瀬谷崎

音だけで痛みがなければ、無理に消す必要はないことが多いんです。顎関節症の多くは、食いしばりなどの負担を減らすセルフケアから始めます。手術はごく一部で、まず生活の見直しが基本です。

顎関節症って、どんな状態?

耳の前にある顎の関節や、その周りの筋肉に痛みが出たり、口が開けにくくなったり、開け閉めで音が鳴ったりする状態をまとめて顎関節症といいます。一つの病気というより、いくつかのタイプを含む呼び名です。

音(カクッ)は関節の中のクッション(関節円板)のずれ、ザラザラした音は関節の変化と関係します。ただ、音があっても痛みや困りごとがない人もたくさんいて、その場合は必ずしも治療が必要ではありません。

なぜ起きるのか

  • 食いしばり・歯ぎしり:顎に大きな負担をかける
  • 上下の歯を無意識に当てる癖:触れているだけでも筋肉が疲れる
  • ストレスや睡眠不足:食いしばりにつながりやすい
  • 頬杖・うつぶせ寝・片側だけで噛む:顎に偏った負担がかかる
  • 硬いものや大きな口を開ける動作のとりすぎ

かつては噛み合わせが主な原因と考えられていましたが、今は生活のなかの負担やストレスなど、複数の要因が重なって起こると考えられています。

おうちでできること

顎にかかる負担を減らすことが基本です。やりすぎず、痛みと相談しながら続けてください。

  • 歯を離す:日中、上下の歯が触れていたら、そっと離す(力を抜く)。気づくことが第一歩
  • 硬いものを控える:痛い時期は、よく噛む硬い食べ物やガムを控える
  • 大きな口に注意:あくびのときは手を添えて、開けすぎないように
  • 温める:顎やこめかみの筋肉を蒸しタオルなどで温めてゆるめる
  • 癖を見直す:頬杖、うつぶせ寝、片側だけで噛むのを避ける
続けるコツ

目標は「音をゼロにすること」ではなく「痛みなく食べて話せること」です。とくに「歯を離す」意識は、気づいたときにこまめに。負担を減らす習慣が、いちばんの近道になります。

自然に治る?放っておいていい?

顎関節症の多くは、負担を減らすセルフケアで、時間とともに落ち着いていくとされています。音だけで痛みや困りごとがなければ、あわてて治療をする必要はありません。一方で、痛みが強い・口が開かないといったときは、我慢せず相談したほうが回復は早くなります。

こんなときは早めに相談を

受診・相談の目安

急に口が開かなくなった/指1本分も開けられない/開け閉めで強い痛みがある/顔の腫れや発熱がある/顔のしびれを伴う。こうしたときは、自己流のケアを続けず、歯科口腔外科などの医療機関にご相談ください。痛みが長く続く場合も早めの相談をおすすめします。

よくある質問

Q. 顎の音は放っておいて大丈夫ですか?
痛みや開けにくさがなければ、音だけを無理に消す必要はないことが多いです。気になる場合や、痛み・引っかかりを伴う場合は相談しましょう。

Q. 噛み合わせを治さないとダメですか?
今は噛み合わせだけが原因とは考えられていません。まずは食いしばりなどの負担を減らすことが基本で、噛み合わせを削るような処置は慎重に判断されます。

Q. マウスピースは必要ですか?
食いしばりや歯ぎしりが強い場合に、歯科でマウスピースが使われることがあります。自己判断ではなく、歯科で相談して選びましょう。

Q. 自然に治りますか?
多くはセルフケアと時間で落ち着いていくとされます。ただし強い痛みや口が開かない状態が続くときは、早めに受診してください。

「音を消す」より「痛みなく使う」

顎関節症は、音をなくすことよりも、痛みなく食べて話せる状態を保つことが現実的なゴールになりやすい症状です。顎の痛みや開けにくさが気になるときは、生活の工夫も含めて一度ご相談ください。

瀬谷崎瀬谷崎

音を気にしすぎず、食いしばりなど顎の負担を減らしていくと、楽になっていくことが多いです。まずは「歯を離す」から始めましょう。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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