有痛性外脛骨を評価する。後脛骨筋腱との関係と扁平足、舟状骨疲労骨折の鑑別
セラピスト向け
足の内側の出っぱりの痛みを分ける
有痛性外脛骨は、舟状骨内側にある過剰骨(外脛骨)と本体の結合部や、付着する後脛骨筋腱に牽引・圧迫ストレスが加わって痛む状態です。成長期や扁平足で生じやすく、靴の圧迫も誘因に。後脛骨筋腱機能不全や舟状骨疲労骨折との鑑別と、負荷管理・インソールが要点になります。
足の内側の出っぱりの痛みを一括りにせず、臨床では有痛性外脛骨を、病態・評価・鑑別・保存療法に分けて見ていきます。
病態:外脛骨と後脛骨筋腱のストレス
外脛骨は、足の内側の舟状骨に隣接する過剰骨で、後脛骨筋腱が付着・近接します。一定割合の人に存在し、多くは無症候ですが、後脛骨筋腱の牽引や結合部のストレス、靴による圧迫で痛みを生じると「有痛性」となります。
足の内側の骨性隆起部の痛みと圧痛、運動・歩行での増悪が特徴です。扁平足・後足部回内があると後脛骨筋腱への負担が増し、症状が出やすくなります。成長期に発症することが多い障害です。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎疫学と自然経過(期待値の設定)
成長期の子ども〜青年に多く、扁平足を合併することがあります。負荷管理やインソールで軽快する例が多い一方、難治例では手術(骨切除・腱の処理)が検討されます。
「多くは保存療法で軽快し、成長とともに落ち着くこともあるが、難治例は手術が選択肢」という見通しを共有しておくと、過度な不安や不要な制限を避けられます。
評価:検査と経過を合わせて判断する
- 圧痛:舟状骨内側の骨性隆起部の限局した圧痛
- 誘発:後脛骨筋の抵抗運動(内がえし)での痛み、歩行・運動での増悪
- 足部:扁平足・後足部回内、アーチの状態
- 靴:内側の当たり・圧迫の有無
- 鑑別所見:腱に沿う痛みとアーチ低下の進行、限局した骨の叩打痛
所見は組み合わせて解釈します。骨性隆起の圧痛と後脛骨筋の関与を、腱機能不全や疲労骨折と分けて判断します。
鑑別(外せないもの)
- 後脛骨筋腱機能不全:腱に沿う痛み、進行するアーチ低下
- 舟状骨疲労骨折:限局した骨の叩打痛、運動歴
- 足根骨癒合症、距骨・舟状骨の障害
- 足根管症候群(しびれを伴う場合)
- 関節リウマチなど炎症性疾患
介入:負荷とアーチを設計する
- 負荷管理:痛みに応じた運動量の調整、急増を避ける
- インソール:アーチサポートで後脛骨筋腱の牽引を軽減
- 靴の工夫:内側の圧迫を避ける、当たりの調整
- 運動:後脛骨筋・足部内在筋の機能、下腿の柔軟性
- 難治例は整形外科へ(手術の適応評価)
負荷管理とインソール・靴の工夫が保存療法の中心で、多くは軽快します。難治例や強い変形を伴う例では、手術(外脛骨の切除や後脛骨筋腱の処理)が検討されます。限局した骨の叩打痛が強い、進行するアーチ低下があるなどの場合は、疲労骨折や腱機能不全を念頭に医療機関へつなぎます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎38歳女性の足底しびれの例が検討されました。足根部のチネル徴候が陽性で、SLR(下肢伸展挙上テスト)など他の神経学的所見は陰性、明らかな回内足を伴うことから足根管症候群が疑われました。担当者はインソールに加え、後脛骨筋や長母趾屈筋のトレーニングで内側アーチを支える介入を進めていました。
追加案として、特異度の高いトリプルコンプレッションテストで足根管症候群の絞り込みを確かめること、ショートフットエクササイズや母趾外転筋など足部内在筋への働きかけ、EMS(電気的筋刺激)で内在筋の収縮感覚を先に入れてから運動療法につなげる流れが挙がりました。回内足や扁平足という共通の背景を、後脛骨筋と内在筋の両面から詰めていく方針です。
内くるぶし周辺の不調は、後脛骨筋腱や回内足という土台を共有しつつ、痛みが腱由来か神経由来かで手立てが分かれます。共通する背景を押さえた上で原因を見分けるという、本記事の評価の考え方に通じる検討例です。
内側の痛みを「骨か腱か」で分ける
有痛性外脛骨は、舟状骨内側の圧痛と後脛骨筋の関与を症状に結びつけて捉えます。腱機能不全や疲労骨折との鑑別を押さえ、負荷管理とインソールで組み立てます。





