パソコン作業で頭が締め付けられるように痛い、デスクワークの頭痛。症例をスタッフで検討

デスクワークの締め付け頭痛、なぜ「頭の位置と肩甲骨」に着目したのか

1つの症例を、担当した新谷優樹先生(とんとん整骨院 下板橋店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。就職してデスクワークが増えてから強まった、締め付けるような頭痛。頭そのものでなく、頭の位置と肩甲骨の姿勢に出どころを見た判断について、急いで受診すべき頭痛の確認も含め、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、締め付けるような慢性頭痛で来院した20代の男性。学生時代から頭痛があり、就職でデスクワークが増えて再び出やすくなった方の症例です。頭痛の種類を分けながら見ていきます。

症例カルテ:デスクワークの締め付け頭痛、頭の位置と肩甲骨に着目
今回検討する症例(担当:新谷先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=締め付けるような慢性頭痛(20代・男性)。背景=学生時代から頭痛があり、就職でデスクワークが増えて再燃。1か月前から出現し1週間前に強まり、パソコン業務で誘発。所見=頭部前方位と肩甲骨が外に開いた姿勢、動診そのものでは強い増悪なし。とらえ方=頭が前に出て肩甲骨が外に開いた姿勢が続き、後頭部から首の筋肉に負担が偏って頭痛につながっていたと考えた。対応=頭部前方位・肩甲骨外転位への手技、後頭下筋群への鍼。経過=頭痛の頻度が段階的に減り、日常生活への影響が出にくくなり、現在は月1回のメンテナンスを継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

パソコン作業で出る締め付けるような頭痛、原因は頭の位置と肩甲骨か

主訴は締め付けるような頭痛。けれど新谷先生は、頭そのものより、頭の位置と肩甲骨の姿勢に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

新谷先生新谷先生

主訴は締め付けるような頭痛で、パソコン業務を始めると誘発される状態でした。所見をとると頭が前に出て、肩甲骨が外に開いた姿勢が続いていました。頭そのものより、その姿勢で後頭部から首にかかる負担に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

動かして強く痛むわけではないのに、姿勢に目を向けたのは何が根拠だったんですか。

新谷先生新谷先生

そうなんです、動診そのものでは強い増悪はありませんでした。むしろパソコン姿勢が続くと出る。頭の重さを前に出た首で支え続けて、後頭部の筋肉に負担が積み重なる、という像がパソコン作業での誘発と一致したんです。だから断定でなく、まずその仮説で進めました。

締め付ける頭痛で見逃せない、急いで受診すべき頭痛との鑑別

姿勢からくると考える前に、危険な頭痛を外しておく必要があります。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

頭痛は種類を分けたいところですよね。これまでと違う急な激しい頭痛、手足のまひ、ろれつのまわりにくさ、発熱を伴うものなど、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

新谷先生新谷先生

そこは確認しました。突然の激しい頭痛や神経のまひ、全身のサインはなく、締め付けるような頭痛がパソコン姿勢と連動していました。こうしたサインがあれば、まず医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめて進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

頭痛はまず危険なものを外すのが第一ですよね。そのうえで、姿勢と連動して締め付けるように出るなら、首まわりの筋肉の負担からくるものとして扱える。それでも経過が思わしくなければ受診を勧める構えは持っておきたいところです。順序は妥当だと思います。

学生の頃からの頭痛が、就職して強まったのはなぜか

この方は学生時代から頭痛があり、就職を機に強くなりました。生活の変化と、変えられるものを分けて確かめます。

まなぶ先生まなぶ先生

学生の頃から頭痛があって、就職してから強くなった、というのが気になりました。

新谷先生新谷先生

はい。学生の頃からの素地に、就職でデスクワークが一気に増えたことが重なりました。長くパソコンに向かう姿勢で、もともとの頭が前に出る癖が強まり、負担が積み上がった。だから生活の変化そのものより、その姿勢の積み重ねを変えようと考えました。後頭部の筋肉をゆるめる鍼も併用しつつ、頭の位置と肩甲骨を整えて、仕事を続けながら頻度を減らしていきました。今は月1回のメンテナンスです。

瀬谷崎瀬谷崎

環境が変わって症状が出ると「仕事のせい」で止まりがちですが、変えられるのは姿勢の積み重ねの方なんですよね。仕事は続く前提で、頭の位置と肩甲骨を整えて負担を下げる。頻度が減った経過も、その方向を支持しています。ただ姿勢は生活の影響が大きいので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:頭の位置と肩甲骨からとらえるデスクワークの締め付け頭痛

所見という事実(頭部前方位と肩甲骨の外転・パソコン姿勢での誘発)と、経過という結果(頭痛の頻度が減り、日常生活への影響が出にくくなったこと)。この両方が、「頭そのものでなく、頭の位置と肩甲骨の姿勢に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。動作で強く出なくても、姿勢の積み重ねで締め付けるような頭痛は出る。まず危険な頭痛を外したうえで、姿勢から負担を下げる。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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