検査で異常なしと言われた頭痛、何を見ているか。症例をスタッフで検討

画像で異常がないと言われた頭痛、なぜ「首肩の姿勢」に着目したのか

1つの症例を、担当した塩谷健太先生(とんとん整骨院 ときわ台店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。画像検査では異常がないと言われたのに続く頭痛。頭そのものでなく、首肩の姿勢に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、職場が変わった頃から1年以上、原因がはっきりしない頭痛と肩こりが続いていた50代の女性。医療機関の画像検査では大きな異常を指摘されず、痛み止めで対処していて、ひどいときは楽しみにしているライブにも行けなかった、という方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:検査で異常なしと言われた頭痛、首肩の姿勢に着目
今回検討する症例(担当:塩谷先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=原因がはっきりしない頭痛と肩こり(50代・女性)。背景=職場が変わった頃から1年以上続き、医療機関の画像検査では大きな異常の指摘なし。痛み止めで対処し、ひどいときは楽しみのライブに行けないことを気にされていた。下を向く作業のあとや夕方に出やすい。所見=動作そのものでの頭痛の増悪はなし、下を向くと首の後ろが突っ張る、頭が前に出た姿勢(頭部前方位)、肩甲骨が外に開いて下がった状態、僧帽筋の働きの低下。とらえ方=頭が前に出た姿勢で、首の後ろの筋肉に負担が偏り続けていたことが、頭痛の背景にあったと考えた。対応=肩甲骨を動かす手技、首の前や肩甲骨まわりをゆるめる手技、物理療法(低周波)、肩甲骨を支える筋肉のトレーニング、同じ姿勢を続けない工夫。経過=施術後に頭痛が和らぐ変化が出て、間隔を空けても強い頭痛が出にくくなり、姿勢も整ってきた。現在は再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

検査では異常がないのに頭痛が続くのはなぜか

「画像で異常なし」と言われていました。けれど塩谷先生は、頭そのものでなく、首肩の姿勢に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

塩谷先生塩谷先生

この方は、医療機関の画像検査で大きな異常はないと言われていました。重い病気が背景にないことが確かめられているのは、まず安心材料です。そのうえで所見をとると、頭が前に出た姿勢で、下を向くと首の後ろが突っ張り、肩甲骨も外に開いていました。頭そのものより、首肩の姿勢に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

検査で異常がないと、かえって原因がわからなくて不安になりますよね。姿勢に目を向けたのはなぜですか。

塩谷先生塩谷先生

頭痛のなかには、首肩の筋肉の張りや姿勢が関わると言われるものがあります。頭が前に出たままだと、その重さを支える首の後ろの筋肉が一日じゅう引っぱられ続ける。下を向く作業のあとや夕方に出やすい、という出かたが、その積み重ねと一致したんです。画像で形の異常が出にくいことも、筋肉や姿勢の負担という見方と矛盾しません。

楽しみを我慢しなくてよい状態に近づけるか

この方は、ひどいときに楽しみのライブにも行けない、という困りごとを抱えていました。そこを確かめます。

教子先生教子先生

楽しみを我慢するほどつらいときがある、とのことですよね。念のため、急に出たこれまでにない激しい頭痛、手足のしびれや言葉の出にくさ、発熱や首の強いこわばりといった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

塩谷先生塩谷先生

そこは確認しました。突然の激しい頭痛や手足の神経症状、発熱を伴うものはなく、頭痛は下を向く作業や夕方の姿勢に伴って変わりました。こうしたサインがあれば、すぐ医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことと、画像検査での評価を踏まえたうえで、姿勢の負担に絞って進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

重いものが外れていることを確かめたうえで、では何が負担になっているのかを姿勢から見にいく。順序が大事ですよね。痛み止めで抑えるだけだと、出やすい姿勢はそのまま残る。負担そのものを減らせれば、楽しみを我慢する場面を少しずつ減らせる。その方向が妥当だと思います。

痛み止めに頼りきりにならないための介入と経過

首をその場でほぐすだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

首そのものでなく、肩甲骨や姿勢のほうから整えていったんですね。

塩谷先生塩谷先生

はい。肩甲骨を動かして、首の前や肩甲骨まわりの張りをゆるめ、頭が前に出る姿勢の負担を減らしました。あわせて肩甲骨を支える筋肉を使えるようにして、同じ姿勢を続けない工夫も一緒に。施術後に頭痛が和らぐ変化が出て、間隔を空けても強い頭痛が出にくくなってきました。

瀬谷崎瀬谷崎

頭痛の出どころを、頭そのものでなく、首肩の姿勢の負担に戻して整えにいっているのが要点ですね。出やすい姿勢が変われば、痛み止めに頼りきりにならずに過ごせる時間が増える。落ち着いた経過もその方向を支持しています。ただ薬の使い方で気になることがあれば、医療機関にも相談しながら進めたいところです。

考察:首肩の姿勢からとらえる、検査で異常なしと言われた頭痛

所見という事実(頭が前に出た姿勢・下を向くと首の後ろの突っ張り・肩甲骨の働きの低下)と、経過という結果(施術後に頭痛が和らぎ、間隔を空けても強い頭痛が出にくくなったこと)。この両方が、「頭そのものでなく、首肩の姿勢に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。画像で異常が出にくい頭痛でも、首肩の筋肉の張りや姿勢が関わることがある。重いものを外したうえで、痛み止めで抑えるだけにせず、出やすい姿勢の負担そのものを減らす。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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