メニュー

ご来店・ご予約

店舗一覧・アクセス 料金について はじめての方へ 交通事故・むちうち

当院を知る

症例を見る スタッフ紹介 患者様の声 当院について

症状から探す

お悩みナビ(症状別) コラム・検査ガイド

その他

お問い合わせ

両足首の痛みが続く10歳男児。小児×両側性で全身性疾患をどう除外するか

小児の両側足関節痛、血液検査まで含めた除外の組み立て

10歳の男の子の両足首の痛みが、レントゲンとMRI(エムアールアイ・磁気共鳴画像)で大きな異常が出ないまま1年近く続いている。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスに実際に挙がった相談をもとに、小児×両側性×原因不明という組み合わせで何を疑い、どう除外を進めるかを考えます。

相談されたのは小学4年生・10歳の男の子です。両側の足関節が痛み、圧痛は足関節の前外側、前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)のあたり。ただし圧痛の範囲はかなり広く、日によっては内くるぶしの後方に移っていることもあります。背屈(はいくつ・足首を反らす動き)も痛く、底屈(ていくつ・つま先を伸ばす方向)は痛みが強くて最後まで動かせません。歩くときは壁伝いに、小さな歩幅でトントンと進むような歩き方です。

始まりは急でした。ある日突然痛くなり、捻挫ではないかと整形外科を受診。レントゲンは異常なしで、そのまま様子見となり、痛みだけが続いて今に至ります。紹介先でMRIも撮りましたが、軽い炎症反応が出ているかなという説明だけで終わっています。発症からはもうすぐ1年。整形外科に1〜2ヶ月、別の施術所に3ヶ月通っても良くならず、相談者の院に来てから3ヶ月という段階でした。

生活の様子にも痛みの強さが表れています。登校は保護者の送り迎えが基本で、痛みが落ち着いてきた時期でも、帰り20分の道のりを1時間かけてゆっくり歩いて帰る。家の中でも足を引きずっています。うつ伏せで寝るときは、足首の下にクッションを入れて、つま先が伸びた姿勢にならないようにしないと眠れません。それでも学校は休んでいないとのことでした。

  • 痛むのは両側の足関節のみ。股関節・膝の曲げ伸ばしは問題なく、上半身も健康的
  • 足部に目立つ変形はない。足趾の肢位を変えても足関節の痛みは変わらない
  • 圧痛の範囲が広く、日によって場所が変わる(内くるぶしの後方に移る日もある)
  • ハイボルト(高電圧の電気刺激)や超音波では、その場の変化がほとんど出ない
  • ヒールロックのテーピング固定がいちばん痛みが落ち着き、3ヶ月で自己評価は10段階の5程度まで軽減
  • 1週間前、授業中に転んでから振り出しに戻り、再び壁伝いでないと歩けない状態
まなぶ先生まなぶ先生

片側なら捻挫後の不安定性や小児の骨端症あたりから当たれます。ただ両側同時で、明確な外傷のきっかけもなく1年となると、運動器の典型が出てこないですね。

教子先生教子先生

圧痛の場所が日によって動くのも、局所の組織損傷の絵と合いません。固定で楽になる一方、画像は軽い炎症の指摘だけ。手がかりがそろわない症例です。

瀬谷崎瀬谷崎

検討の場でも、小児の両側足関節痛で典型的な運動器疾患は思い浮かばないというのが率直な結論でした。だとすれば次は、運動器の外を疑う順番だと思います。

運動器の典型が出てこない、という率直な出発点

この症例のむずかしさは、情報が少ないことではなく、集めた情報が既知の型のどれとも一致しないことです。動きの組み合わせを変えても痛みの出方は変わらず、圧痛部位は広くて日によって移動する。局所の力学的ストレスで説明する仮説を立てても、確かめるたびに崩れていきます。

消去の過程は実際にこまかく踏まれています。足趾(そくし・足のゆび)を反らせた肢位で足関節を底屈・背屈させ、曲げた肢位でも同じ動きをさせる。足趾と足関節をまたぐ長い腱の関与を疑った確かめ方ですが、どの組み合わせでも足関節の痛みは変わりませんでした。足趾そのものの運動痛も、自分で動かす範囲では痛くなく、他動でさらに曲げ込んだときにたまに出る程度。一方で、足の甲側の腱は常に張って足首はやや反った位置に保たれたままで、力を抜かせてそっと動かしても痛みの反応がすぐ返ってきます。

施術の手応えにも独特のねじれがあります。ハイボルトや超音波ではその場の変化がほぼ出ない中で、ヒールロックの固定だけは手応えがあり、3ヶ月かけて痛みの自己評価は10から5へ。帰り道を自分の足で歩けるようになり、保護者からは家で引きずらなくなったという報告も入りました。ただ、本人の口から良くなったという言葉は少なく、聞くと「変わらないですね」と返ってくることも多い。改善の実感は、本人の言葉・保護者の観察・歩き方の見た目という三つの窓から拾い合わせるしかありませんでした。そこへ1週間前の転倒です。授業中に友達に足を引っ掛けられて転び、痛みは振り出しへ。固定で積み上げた変化が一度の転倒で崩れるのも、単純な組織損傷の回復の道すじとは合いません。

こういうとき、自分の知らない典型疾患があるのではと不安になりますが、検討の場でもまず「小児の両側足関節痛で典型的なものは知る範囲でない」という率直な共有がありました。型が無いと分かったら、局所の仮説を無理に増やすのではなく、全身へ視野を広げるのが次の一手になります。

全身性疾患の除外。血液検査でしか見えないものがある

検討で候補に挙がったのは、若年性の関節炎(子どものリウマチ性の関節炎。全身症状を伴う型と、関節症状が中心の型があるとされます)と、小児の白血病です。白血病でも関節や足の痛みが出る例が知られている、というのは検討の場で共有された情報でした。いずれも疑いの段階の話で、施術者の側で診断はできません。

ここで確認されたのが、この子がこれまで内科の受診を一度も勧められていないという事実です。整形外科での画像評価は、骨折や大きな構造の異常が無いことの確認としては済んでいます。ただ、それは全身性疾患を調べたことにはなりません。見る検査が違うからです。

重要なのは検査の種類です。こうした全身性疾患の初期は、レントゲンやMRIの評価だけでは拾われないことがあり、血液検査まで進んで初めて分かる場合があります。全身症状を伴う型であれば、発熱などの全身所見もあわせて評価の対象になります。本例は画像で骨折なし・大きな異常なしの確認までは済んでいますが、血液検査を伴う内科的な評価はまだ通っていませんでした。

除外の考え方

画像で異常が出ないことは、全身性疾患の除外にはなりません。小児の両側関節痛が説明のつかないまま長引くなら、血液検査まで含めた内科的な評価が済んで初めて、安心して施術を続ける材料になります。

画像でもう一度見たいもの。骨の癒合の異常

もうひとつ候補に挙がったのが、距骨(きょこつ)とまわりの骨の癒合の異常です。本例は距骨の下の関節のあたりにも痛みがあります。生まれつき骨どうしがつながっている部位に、何かのきっかけで炎症が広がれば痛みが続く筋書きは描けますし、先天的なものなら両側に出ることとも矛盾しません。単純レントゲンでは判別しづらい場合があるのではという意見もあり、背屈の制限が痛みによるものか構造によるものかを分けるためにも、画像での再評価の対象になります。

この仮説には、施術者の側で今日からできる確かめ方もあります。問診です。先天的な癒合があるなら、痛みが出るずっと前から、つま先立ちが苦手だったといったエピソードを保護者が覚えている可能性があります。「昔から足首の動きで気になることはありませんでしたか」というひと言は、画像を待たずに仮説の確からしさを動かせる質問です。

まなぶ先生まなぶ先生

関節炎の系統を疑うなら、熱感や腫脹の確認は僕らの手でもできますね。本例はどうだったんでしょう。

教子先生教子先生

熱感は平熱よりややあたたかいかなという程度でしたが、転倒のあとは以前より強まった印象だそうです。はっきりした腫脹はなさそうでした。発熱も長期的にはなさそうだけれど、たまにあったかもしれないという程度の情報です。一度の確認で消せる項目ではないですね。

瀬谷崎瀬谷崎

そこは継続で見るしかありません。この方は毎日のように通ってくれているので、熱感・腫脹に加えて、発熱・体重の変化・夜間痛を毎回の来院で確かめ続けられます。通院頻度の高さをモニターの武器にできる症例です。

除外が済むまでの進め方

  1. 熱感・腫脹の確認を毎回続ける施術のたびに両側の足関節の熱感と腫れを確かめ、変化を記録します。本例のように転倒のあとで熱感が強まるといった揺れもあるので、一度なさそうでも、項目としては消さずに残します。
  2. 危険な兆候のモニター発熱・体重の変化・夜間痛。保護者にも観察のポイントとして共有し、出てきたらすぐ受診へ切り替えられるようにしておきます。
  3. 血液検査まで含めた評価を提案するクリニックでは血液検査まで進みにくい場合があるため、小児科を含め検査体制の整った大きめの病院という選択肢を保護者に伝えます。本例のように内科の受診をまだ一度も勧められていない経過なら、なおさら提案する価値があります。骨の癒合の異常など画像での再評価も、あわせて相談の対象です。

診断は医師の領分です。施術者の仕事は、疑いを並べて優先順位を付け、自分の手で確かめられる項目を確かめ続け、必要な検査へつなぐところまで。本例も、この検討を踏まえて、内科的な検査を視野に入れて受診を勧める方針になりました。本人からも最近は、サッカーに戻りたい、体育をみんなと受けたいという言葉が出てきています。復帰を後押しするためにも、まず説明のつく状態にすることが先です。

瀬谷崎瀬谷崎

典型が出てこない症例でいちばん怖いのは、運動器の枠の中だけで仮説を回し続けることだと思います。小児・両側性・画像で説明がつかない。この三つが重なったら、血液検査まで含めた検討を医師にお願いする。それは提案できる手が減ることではなく、施術を安心して続けるための材料集めだと考えています。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

読みもの

症例カンファレンス

症状コラム

施術・検査ガイド

とんとんブログ

とんとんは、常に患者様ファースト。常に誠実に。きめ細かく透明性のある情報発信を心掛けています。お身体のことで悩んだ時、選択肢の一つに入れて頂けたら嬉しいです。

当院の症例を見る

とんとん整骨院のトップページを見る

交通事故・むちうちの方