新人セラピストはどう育つのか?とんとん整骨院の研修とキャリアの考え方

新人を早く現場に出すことと、ちゃんと育てること

新人研修は、短ければ良いわけでも、長ければ安心というわけでもありません。患者さんに不利益を出さず、スタッフも潰さず、臨床家として育つには段階が必要です。

教育は、早さと安全のバランスです。できる部位から少しずつ現場に入り、問診・評価・計画まで段階的に広げていく方が、患者さんにも新人にも無理が少ないと考えています。

整骨院や治療院に就職する時、研修制度は気になるところだと思います。

どれくらいで患者さんを担当するのか。どんな技術を教わるのか。いつ問診に入るのか。何年で院長を目指せるのか。

ここは、学生さんや若手にとってかなり大事です。

ただ、研修制度は「手厚ければ良い」「早く現場に出られれば良い」と単純には言えません。

早すぎると患者さんに不安を与えます。

遅すぎると本人の成長実感も、会社としての生産性も止まります。

このバランスが、かなり難しいです。

まなぶ先生
まなぶ先生

新人は、早く患者さんを診た方が成長するんじゃないですか?

瀬谷崎
瀬谷崎

経験は大事です。ただ、何も準備せず現場に出すのは、経験ではなく丸投げになりやすいです。

1ヶ月で全部教える、はかなり無理がある

治療院業界では、短期間の研修で現場に出るケースもあります。

最初の1ヶ月で技術を詰め込んで、あとは現場で覚えていく。

うまくはまる人もいます。勢いがあって、吸収が早くて、プレッシャーにも強い人は伸びます。

でも、全員がそうではありません。

少し辛口に言うと、「現場に出せば育つ」は、育った人だけを見ている言葉です。その裏で潰れた人や、患者さんに不安を与えた場面も見ないといけません。

新人にとっても、患者さんにとっても、準備不足のまま現場に出るのはリスクがあります。

逆に、全部を完璧に理解するまで患者さんに触れないというのも現実的ではありません。

だから、とんとん整骨院では、できることを段階的に増やす形を大切にしています。

1年目は、基礎と部位別の積み上げ

入社して最初の時期は、座学と技術の基礎から始めます。

いきなり全部を任せるのではなく、腰部、肩、膝など、部位ごとに評価や施術の考え方を確認していきます。

テストや確認を通して、一定の基準をクリアした部位から、院長や先輩の指示のもとで施術に入ります。

段階 主な内容 目的
入社初期 座学、基礎技術、院の考え方を学ぶ いきなり自己流で現場に出ないための土台作り
部位別チェック 腰部、肩、膝など、部位ごとの評価と施術を確認する できる範囲を明確にし、安全に現場へ入る
先輩の指示下で施術 計画は先輩が立て、新人は許可された範囲で施術に入る 患者さんへの安全性と新人の経験を両立する
問診・計画へ拡張 問診、評価、施術計画を少しずつ担当する 自分で考えて臨床を組み立てる準備をする

この形だと、全部できるまで待たなくても、できる範囲から経験を積めます。

一方で、まだ分からないことを一人で判断させるわけではありません。

この中間をどう作るかが、新人教育ではかなり大事です。

問診を任せるタイミングは慎重に見る

問診は、ただ話を聞くだけではありません。

症状の経過、痛みの出方、生活背景、不安、医療機関での確認が必要な可能性。

こうした情報を整理し、患者さんに安心してもらう必要があります。

社会経験が浅い若手が、入社直後から初診の問診を任されると、本人も患者さんも不安になりやすいです。

問診は重い仕事

問診は売上の入口でもありますが、それ以上に信頼の入口です。ここを急がせすぎると、患者さんを見るより数字を見る癖がつくことがあります。

だから、まずは施術の基礎を積み、先輩の問診を見て、説明の仕方を学ぶ。

その上で、少しずつ問診や計画作成に入る方が安全です。

2年目、3年目で見える景色が変わる

1年目は、自分ができることを増やす時期です。

2年目になると、少しずつ自立が見えてきます。

全身を一通り見られるようになり、患者さんの継続、売上、予約の流れも意識するようになります。

ここで初めて、臨床と経営の接点が見えてきます。

時期 主なテーマ 身につけたいこと
1年目 自己成長 基礎技術、部位別の評価、施術の流れ、先輩の問診を見る力
2年目 自立と数字 全身を一通り見られる力、患者さんの継続、売上への理解
3年目 教育とマネジメント 後輩指導、院全体を見る力、院長候補としての責任感

3年目になると、今度は自分が教える側に回ります。

教えると、自分の理解の浅さも見えます。

後輩に伝えることで、自分の臨床も整理されていきます。

「学びたいです」だけでは弱い

就職や面接で、「学びたいです」と言う人は多いです。

気持ちは分かります。

ただ、会社として見た時に、それだけだと少し弱いです。

学びたいなら、学校でもセミナーでも本でも学べます。

仕事として求められるのは、学んだことを患者さんに返すことです。

まなぶ先生
まなぶ先生

「学びたいです」って、悪いことではないですよね?

瀬谷崎
瀬谷崎

悪くはないです。ただ、そこで止まるとお客様気分になります。大事なのは、学んで患者さんに何を返すかです。

とんとん整骨院が大切にしたいのは、「まともな臨床をしたい」という姿勢です。

むちゃくちゃな説明や、根拠の弱い提案ではなく、患者さんにきちんと向き合いたい。

その上で、しっかり働き、しっかり稼げるようにもなりたい。

臨床の質と生活の安定を、どちらか一方ではなく両方見ていく。

ここに共感できる人とは、一緒に成長しやすいと思っています。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、新人をただ早く現場に出すことを目的にしていません。

かといって、いつまでも患者さんに触れないまま座学だけを続けるわけでもありません。

できることから現場に入り、分からないことは先輩と確認し、少しずつ問診や評価、計画まで広げていく。

この段階を踏むことで、患者さんへの安全性と新人の成長を両立しやすくなります。

瀬谷崎の考え方

新人教育で大事なのは、早く使える人材にすることではなく、長くまともに臨床できる人に育てることです。

若手が職場を見る時のチェックポイント

  • 入社後、どの順番で現場に入るのか説明されているか
  • いきなり一人で問診や施術を任される形ではないか
  • 技術だけでなく、評価や説明も学べるか
  • 売上を意識する時期と、臨床を学ぶ時期が整理されているか
  • 後輩指導や院長へのキャリアパスが見えるか
  • 「学ばせてもらう」だけでなく、自分が患者さんに何を返すか考えられるか

育つ環境は、甘やかす環境ではない

新人に優しい環境とは、何でもゆっくりで良い環境ではありません。

かといって、準備不足のまま現場に放り出す環境でもありません。

必要な基準があり、できることが増えるたびに任される範囲が広がり、分からないことを確認できる。

そういう環境の中で、若手は少しずつ臨床家になっていくのだと思います。

瀬谷崎
瀬谷崎

早く育てることと、雑に現場へ出すことは違います。患者さんにも新人にも、そこは丁寧でありたいですね。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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