首を後ろに倒すと出ていた右肩甲骨の痛みと肩こりが施術を経て楽になった例(30代女性)
主訴
2026年1月、肩こりと右肩甲骨の痛みでご来院されました。肋骨のゆがみも気になっているとのことでした。もともと慢性的に痛みが出やすく、首を後ろに倒す(伸展)と肩が痛むようになり、過去にも2回ほど同じように痛めた経験がありました。今回も年末ごろから痛みが出て、1か月弱たってからのご来院でした。引っ張られるような痛みで、首を動かすと特に出るとのことでした。月2回のオイルマッサージやボクササイズ、ストレッチなど、体のケアには積極的に取り組んでおられました。
当院の評価
患者様への説明
首を前後に倒す動きと、右に倒す、右に振り向く動きで痛みが出る状態でした。姿勢を確かめると、肩甲骨が外側へ開いて下がり気味で、首が反りやすい状態にあり、それぞれを確かめる検査がいずれも陽性でした。肩甲骨が外側・下方に引かれた姿勢のまま首を動かすため、肩甲骨まわりの筋肉が引っ張られて痛みが出ていると考えました。肋骨のゆがみが気になるというお話もありましたが、今回は痛みの出どころである肩甲骨と首の位置から整える方針としました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】首を後ろに倒す、動かすと右肩甲骨に引っ張られるような痛み/慢性的な肩こり 【検査】頸部屈曲・伸展、右側屈・右回旋で疼痛。頸部伸展症候群・肩甲骨外転症候群・肩甲骨下方症候群の検査が陽性
身体機能評価
肩甲骨外転・下方のアライメント/頸部伸展方向への負担/小胸筋・上腕二頭筋・前鋸筋・胸鎖乳突筋(乳様突起部)の緊張
判断
肩甲骨が外側・下方に引かれた姿勢で首が反りやすくなっており、首を動かすたびに肩甲骨まわりの筋肉が引っ張られて痛みにつながっていると推測しました。肩甲骨を前や下へ引く筋肉と首の前の筋肉をゆるめ、肩甲骨と鎖骨まわりを支えるトレーニングとセルフケアで、良い位置を保てるようにする方針としました。
施術の様子
患者様への説明
胸の前で肩甲骨を前へ引く筋肉(小胸筋)、二の腕の前の筋肉(上腕二頭筋)、脇の下で肩甲骨を外側へ引く筋肉(前鋸筋)、首の前から耳の後ろにつく筋肉(胸鎖乳突筋)を手でていねいにゆるめ、肩甲骨が背中側へ戻りやすい状態をつくりました。あわせて、肩甲骨と鎖骨まわりを支えるトレーニングを行い、ご自宅で続けられるセルフケアとストレッチをお伝えしました。
専門的内容
【手技療法】小胸筋・上腕二頭筋・前鋸筋・胸鎖乳突筋(乳様突起部)へのアプローチ/【運動療法】肩甲骨・鎖骨周囲のトレーニング、セルフケア・ストレッチ指導
施術の経過
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初期
2回目で痛みがはっきりと軽くなり、そこからほぼ症状のない状態まで落ち着いていきました。
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中期
振り向く動きでわずかに痛みが残る時期もありましたが、10回目ごろにはほぼ気にならなくなりました。お伝えしたセルフケアやストレッチにも取り組んでいただきました。
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後期
後半はほぼメンテナンスとして通っていただき、順調に経過して卒業となりました。全部で約15回のご来院でした。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 2,980円
2回目以降の料金
施術 4,600円
通院の目安
施術回数
約15回(卒業)
施術期間
2回目で痛みが軽くなり、10回目ごろにはほぼ気にならず。後半はメンテナンスとして通い、約15回で卒業
ここでは、この症例の記録とは別に、「首を後ろに倒したり動かしたりすると、肩甲骨のあたりに引っ張られるような痛みが出て、肩こりも続いている状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どうして首を動かすと、肩甲骨が痛くなるの?
首と肩甲骨は、首の後ろから肩甲骨へつく筋肉でつながっています。肩甲骨が外側へ開いて下がった位置にあると、首から肩甲骨へつく筋肉は常に引きのばされた状態になり、首を後ろに倒したり回したりするたびにさらに引っ張られて痛みが出やすいと考えられています。肩甲骨を前や下へ引く胸の前や脇の下の筋肉が硬いと、肩甲骨はその位置に留まりやすく、引っ張られる痛みが繰り返されることがあります。
体のケアをしていても痛みが出る理由
マッサージやストレッチで筋肉をゆるめることは、こりを和らげるうえで役立ちます。一方で、肩甲骨を支える筋肉が働きにくい状態が残っていると、ゆるめたあとに肩甲骨が同じ位置へ戻り、首を動かすたびの引っ張りが続くことがあります。ゆるめることと、肩甲骨を良い位置で支える力を育てることを組み合わせることが、繰り返しを小さくする手がかりになります。
振り向く動きの痛みが最後まで残りやすい理由
首を回す動きでは、首から肩甲骨へつく筋肉が最も長くのばされます。首を倒す痛みが先に落ち着き、振り向く痛みが少し遅れて落ち着くという経過をたどることが少なくありません。
首を動かすと出る肩甲骨の痛みでは、痛む場所そのものだけでなく、肩甲骨が外側や下へ引かれていないか、首が反りやすくなっていないか、肩甲骨を支える力が働いているかをあわせて確かめることが役立つと言われています。
川口 流世体のケアに積極的な方でも、肩甲骨の位置が変わらないままだと、首を動かすたびに同じ場所が引っ張られてしまうことがあります。この方のように、ゆるめることに加えて肩甲骨と鎖骨まわりを支える力を育てていくと、繰り返してきた痛みの戻り幅を小さくしていくことができます。ご自宅でのセルフケアに取り組んでいただけたことも、卒業までの大きな支えになりました。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 首を後ろに倒す、振り向くと肩甲骨のあたりが引っ張られるように痛む
- 肩こりが慢性的に続き、同じ場所を何度も痛めている
- マッサージやストレッチをしても、数日で元に戻る
- 肩甲骨が外側へ開き、なで肩に見える
- 肋骨や姿勢のゆがみが気になる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 両手を後ろで組み、胸を開いて肩甲骨を背中側へ寄せる(息を止めない)
- 壁に背中をつけ、あごを軽く引いて後頭部を壁に近づける
- うつぶせで両腕を横に広げ、親指を天井へ向けて腕を軽く持ち上げる(肩甲骨を寄せる)
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれ、力の入りにくさがある
- 首を動かしていないのに痛みが強まり続ける
- 発熱や体重減少など、体調の変化を伴う
- 転倒や事故のあとに出た痛みで、頭痛や吐き気がある
- 夜間や安静時にも痛みが続く
よくある質問
マッサージやストレッチをしているのに、なぜ痛みが出るのですか?
この症例では、体のケアに積極的に取り組んでおられましたが、肩甲骨が外側・下方に引かれた姿勢が残っていたため、首を動かすたびに肩甲骨まわりの筋肉が引っ張られていたと考えました。ゆるめることに加えて、肩甲骨と鎖骨まわりを支えるトレーニングを組み合わせています。感じ方や経過には個人差があります。
何回くらいで落ち着きましたか?
この症例では、2回目で痛みがはっきりと軽くなり、10回目ごろには振り向く動きの痛みもほぼ気にならなくなりました。後半はメンテナンスとして通っていただき、約15回で卒業となりました。経過には個人差があります。
肋骨のゆがみが気になるのですが、見てもらえますか?
この症例でも肋骨のゆがみが気になるというお話がありましたが、痛みの出どころである肩甲骨と首の位置から整える方針としました。気になる点はご来院時にお聞かせいただき、状態を確かめたうえで進め方をご相談しています。
川口 流世首を動かすと出る肩甲骨の痛みは、肩甲骨の位置と首の反りを確かめることで、進め方が見えてきます。体のケアをしていても同じ場所を繰り返し痛めている方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。









オイルマッサージやストレッチなど、体のケアに積極的な方でしたが、肩甲骨が外側・下方に引かれた姿勢のまま首を動かしていたため、首を後ろに倒すたびに肩甲骨まわりが引っ張られていた方でした。ゆるめるだけでは、過去2回と同じように繰り返しやすいと考え、肩甲骨と鎖骨まわりを支えるトレーニングとセルフケアを早い段階から取り入れています。振り向く動きの痛みが最後まで残りやすかったのは、回す動きで肩甲骨まわりの筋肉が最も引っ張られるためと考えています。