どの方向に動かしても硬く、前かがみで強まっていた腰の痛みが施術とトレーニングを経て出なくなった例(30代男性)
主訴
2026年9月、腰の痛みでご来院されました。体を前に倒す、横に倒す、ひねるのどの方向に動かしても腰の動きが硬く痛みが出ていて、特に前かがみになると痛みが強まる状態でした。物を拾う、靴を履くといった日常の前かがみの場面で、腰をかばいながら動いている状態だったとのことです。
当院の評価
患者様への説明
腰の動きを確かめると、前に倒す、横に倒す、ひねるのすべてで動かせる範囲が狭く、動かし始めから腰に痛みが出ていました。どの方向でも硬いことから、腰の一部分だけの問題ではなく、腰を乗せている骨盤の動きが止まっていると考えました。骨盤と背骨のつなぎ目にあたる関節(仙腸関節)の動きが硬く、股関節の前側の筋肉(腸腰筋・大腿直筋)と太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)に強い張りがありました。股関節の前側が硬いと骨盤が前に引かれて動きにくくなり、前かがみのときに骨盤が動かない分を腰が引き受けることになります。お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)の働きも弱く、骨盤を後ろから支える力が不足していました。
日常動作・解剖学的動診
【動作】体幹の前屈・側屈・回旋すべてで可動域低下と痛み/前かがみで痛みが増悪 【所見】仙腸関節の可動性低下/股関節前面の緊張/殿筋群の出力低下
身体機能評価
仙腸関節の可動性低下/腸腰筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋の短縮/中殿筋・大殿筋の出力低下
判断
どの方向に動かしても硬く痛む腰痛で、骨盤の関節の動きの硬さと股関節の前側の張り、お尻の筋力低下がそろっていたことから、腰そのものよりも、骨盤が動かない分を腰が代わりに動いて痛みが出ている状態と考えました。方針は、骨盤の関節の動きを引き出す手技と、骨盤を前に引いている股関節の前側の筋肉をゆるめる手技で腰の負担を減らしたうえで、お尻の筋肉で骨盤を支えられるようにトレーニングを加え、前かがみで腰だけが動く状態から抜け出すこととしました。
施術の様子
患者様への説明
骨盤と背骨のつなぎ目にあたる関節(仙腸関節)の動きを引き出す手技と、骨盤を前に引いている股関節の前側の筋肉(腸腰筋・大腿直筋)、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)をゆるめる手技を行いました。あわせて、お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)で骨盤を後ろから支えられるようにするトレーニングを行い、前かがみのときに腰だけに負担が集まらない体の使い方を目指しました。
専門的内容
【手技療法】仙腸関節へのアプローチ(可動性を引き出すモビライゼーション)/腸腰筋・大腿直筋・大腿筋膜張筋へのアプローチ 【運動療法】殿筋群(中殿筋・大殿筋)のトレーニング
施術の経過
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初期
初回に骨盤の関節の動きを引き出し、股関節の前側をゆるめました。2回目には、前かがみのときの痛みがご来院当初よりはっきり軽くなったとのことで、物を拾う動作で腰をかばう場面が減っていきました。
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中期
腰の動きが出てきた段階で、お尻の筋肉のトレーニングの比重を増やしました。7回目には、前かがみを含めてどの方向に動かしても腰の痛みが出なくなったとのことです。
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後期
痛みが出なくなったあとも、骨盤の動きとお尻の筋力を保つことを目的に継続され、約16回、3か月を経て、現在はメンテナンスの施術とトレーニングを続けられています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
3,740円
2回目以降の料金
7,136円
通院の目安
施術回数
約16回(その後はメンテナンスとトレーニングを継続中)
施術期間
約3か月(その後も継続中)
ここでは、この症例の記録とは別に、「体を前に倒す、横に倒す、ひねるのどの動きでも硬く痛みが出て、前かがみで強まる腰の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
どの方向に動かしても腰が硬くて痛いのはなぜ?
腰の痛みは、前に倒すと痛い、反らすと痛いなど、特定の方向で出ることが多いのですが、どの方向に動かしても硬く痛む場合は、腰の一部分の問題というより、腰を乗せている骨盤の動きが止まっていて、本来なら骨盤と分担する動きを腰だけで行っていることがあると言われています。骨盤と背骨のつなぎ目にあたる関節(仙腸関節)の動きが硬くなると、どの方向の動きでも腰が土台ごと動けず、動かし始めから負担がかかります。
骨盤を止めているのは、股関節の前側の硬さのことも
股関節の前側の筋肉(腸腰筋・大腿直筋)や太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)が硬いと、骨盤が前に引かれて動きにくくなります。この状態で前かがみになると、骨盤が前に倒れる動きが足りず、腰が代わりに大きく丸まって動くため、前かがみで特に痛みが強まります。この症例では、骨盤の関節の動きを引き出す手技と、股関節の前側をゆるめる手技を組み合わせました。
動くようになったあとは、お尻で支える
骨盤の動きが戻っても、骨盤を後ろから支えるお尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)が働かなければ、前かがみのたびにまた腰が引き受けることになります。この症例では、痛みが軽くなった段階からお尻のトレーニングの比重を増やし、7回目で痛みが出なくなったあとも、戻らないための体づくりとして継続しています。同じ30代男性の前かがみの腰痛でも、右腰に強く出ていた例や運動のときにも出ていた例のように、硬さの出方によって見るところは変わります。
どの方向に動かしても硬く痛む腰痛では、腰そのものだけでなく、骨盤の関節が動いているか、股関節の前側の硬さが骨盤を止めていないか、お尻の筋肉が骨盤を支えられているかをあわせて確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
中村 拓真「腰が全体的に硬くて、どう動かしても痛い」という方は、腰だけをほぐしてもすっきりしないことが多いです。腰を乗せている骨盤と股関節から一緒に確かめていきましょう。動くようになったあとに支える力をつけるところまで進めると、戻りにくくなります。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 前に倒しても横に倒してもひねっても、腰が硬く痛みが出る
- 特に前かがみで痛みが強まり、物を拾う、靴を履く動作をかばっている
- 太ももの付け根や前側が硬く、うつぶせで膝を曲げるとつっぱる
- 腰をほぐしてもらうと一時的に楽になるが、すぐ硬さが戻る
- お尻に力が入りにくい、片脚で立つとふらつきやすいと感じる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 仰向けで片膝を胸に引き寄せ、反対側の太ももの前側と付け根をゆっくり伸ばす
- 仰向けで膝を立て、お尻を締めながらゆっくり持ち上げる動きを数回行う
- 前かがみになるときは、膝を少しゆるめて股関節から体を倒すことを意識する
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 脚にしびれや力の入りにくさが出てきた、またはつまずきやすくなった
- 安静にしていても痛みが強く、夜も眠れない
- 排尿や排便の感覚に変化がある
- 転倒や強い衝撃のあとに痛みが始まった
- 発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
よくある質問
腰が痛いのに、股関節やお尻を施術するのはなぜですか?
この症例では、骨盤の関節の動きが硬く、股関節の前側の筋肉が骨盤を前に引いていたため、前かがみで腰だけが動いて痛みが出ていました。骨盤と股関節の動きを引き出し、お尻の筋肉で骨盤を支えられるようにすることで、腰にかかる負担を減らしています。状態によって進め方は異なりますので、来院時にご相談ください。
どのくらいの回数と期間がかかりましたか?
この症例では、2回目で前かがみの痛みが軽くなり、7回目でどの方向に動かしても痛みが出なくなりました。その後も骨盤の動きとお尻の筋力を保つために継続され、約16回、3か月を経て、現在はメンテナンスとトレーニングを続けられています。経過は体の状態や生活によって異なります。
痛みが出なくなったあとも通う必要がありますか?
この症例では、痛みが出なくなったあとも、戻らないための体づくりとしてお尻のトレーニングとメンテナンスを続けられています。痛みが落ち着いた時点で終える方もいらっしゃいますので、生活や体の状態に合わせて一緒に決めています。
中村 拓真どの方向に動かしても腰が硬くて痛い、前かがみがつらいという方は、骨盤の関節と股関節の前側から確かめると進め方が見えてきます。どんな場面でつらいかを教えていただければ、一緒にたどっていきますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








前に倒しても横に倒してもひねっても硬くて痛いという腰は、腰のどこか一か所を探すより、腰を乗せている骨盤がどれだけ動いているかを見たほうが筋道が立つことが多いです。この方の場合、骨盤の関節の動きが止まり、股関節の前側の硬さが骨盤を前に引いていたため、前かがみで腰だけが動いて痛みが出ていました。骨盤の動きを引き出し、お尻で支えられるようにしたことで、7回目には痛みが出なくなり、今は戻らないための体づくりとして続けていただいています。