長く歩くと強まっていた左膝の痛みとしびれが施術とトレーニングを経て楽になってきた例(70代男性)
主訴
2026年10月、左膝の痛みでご来院されました。短い距離なら問題ないものの、長い時間歩くと左膝に痛みが出て、さらに歩き続けるとしびれも強まってくる状態でした。歩く距離を自分で区切らないとつらいため、外出の範囲が狭まってきていたとのことです。
当院の評価
患者様への説明
立った姿勢と歩き方を確かめると、左の股関節が内側にねじれた位置(内旋位)にあり、外側へ回す動き(外旋)が硬くなっていました。股関節が内側にねじれたまま歩くと、膝が内側に入りやすくなり、一歩ごとに膝の内側と外側にねじれの負担がかかります。お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)は股関節を外側に回して支える役割をしていますが、この働きが弱く、その分を太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)が代わりに引き受けて硬くなっていました。太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)とふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)にも強い張りがあり、長く歩くほど膝まわりの負担が積み重なる状態と考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】長時間の歩行で左膝の痛みが出現し、歩き続けるとしびれも増悪 【所見】左股関節の内旋位/股関節外旋の可動域低下/殿筋群の出力低下
身体機能評価
左股関節の内旋位と外旋可動域の低下/大腿筋膜張筋・ハムストリング・下腿三頭筋の緊張/中殿筋・大殿筋の出力低下
判断
長く歩くと強まる膝の痛みで、股関節が内側にねじれて外へ回りにくいことと、お尻の筋力低下がそろっていたことから、膝そのものよりも、股関節の向きのかたよりを膝がねじれで受け止めている状態と考えました。方針は、股関節を外側に回す動きの硬さをゆるめて膝が内側に入りにくい状態をつくり、お尻の筋肉が歩くときに股関節を外側から支えられるようにトレーニングを加えることとしました。しびれを伴うため、脚のしびれの広がり方や力の入り方は毎回確かめながら進め、変化があれば医療機関への相談をお伝えすることにしています。
施術の様子
患者様への説明
内側にねじれた位置にある左の股関節に対して、外側へ回す動きの硬さをゆるめる手技と、お尻の代わりに働きすぎていた太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)、太ももの裏側の筋肉(ハムストリング)、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の緊張を落とす手技を行いました。あわせて、お尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)で股関節を外側から支えられるようにするトレーニングを、無理のない負荷から段階的に進めています。
専門的内容
【手技療法】左股関節の内旋位・外旋制限に対するアプローチ/大腿筋膜張筋・ハムストリング・下腿三頭筋へのアプローチ 【運動療法】殿筋群(中殿筋・大殿筋)のトレーニング(股関節外旋・外転の支持を目的)
施術の経過
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初期
初回から数回は、股関節の外側へ回す動きを引き出し、太ももとふくらはぎの張りをゆるめることを中心に進めました。5回目には、歩いているときの膝の痛みがご来院当初より軽くなってきたとのことです。
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中期
歩行時の痛みが落ち着いてきた段階で、お尻の筋肉のトレーニングの比重を増やしました。8回目には、歩いていて膝の痛みを気にする場面が少なくなり、歩ける距離が伸びてきたとのことです。
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後期
現在は約12回、約1か月を経て、週1回のペースで施術とトレーニングを継続されています。しびれの出方もあわせて確かめながら、歩ける距離を少しずつ伸ばしているところです。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
3,740円
2回目以降の料金
5,460円
通院の目安
施術回数
約12回(現在は週1回で継続中)
施術期間
約1か月(その後も継続中)
ここでは、この症例の記録とは別に、「長い時間歩くと出てきて、歩き続けるとしびれも強まる左膝の痛み」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
短い距離は平気なのに、長く歩くと膝が痛くなるのはなぜ?
歩くときの膝は、股関節と足首にはさまれて、上下の向きに合わせて動く関節だと言われています。股関節が内側にねじれた位置にあると、一歩ごとに膝が内側に入りやすくなり、膝には曲げ伸ばしだけでなくねじれの負担が加わります。短い距離では気にならなくても、歩く距離が伸びるほどねじれの負担が積み重なり、痛みとして出てくることがあります。
股関節を外に回して支えるのは、お尻の筋肉
股関節を外側に回し、歩くときに骨盤と太ももを安定させる役割はお尻の筋肉(中殿筋・大殿筋)が担っています。この働きが弱くなると、太ももの外側の筋肉(大腿筋膜張筋)が代わりに引き受けて硬くなり、膝の外側を引っ張り続けることがあります。この症例では、股関節を外に回す動きの硬さをゆるめる手技と、お尻の筋肉のトレーニングを組み合わせ、歩ける距離を少しずつ伸ばしています。
しびれを伴うときは、脚の力の入り方もあわせて確かめる
膝の痛みにしびれが伴う場合、膝まわりの負担だけでなく、腰や神経の通り道が関わっていることもあります。この症例では、しびれの広がり方や脚の力の入り方を毎回確かめながら進め、変化があれば医療機関への相談をお伝えすることにしています。同じ歩くと出る膝の痛みでも、しゃがむときにも出ていた60代女性の例や立ち上がりや階段で出ていた60代女性の例のように、痛む場面によって見るところは変わります。
長く歩くと強まる膝の痛みでは、膝そのものだけでなく、股関節がどちらにねじれているか、歩くときにお尻の筋肉が股関節を外側から支えられているか、しびれの出方はどう変わるかをあわせて確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
中村 拓真「年だから膝が痛いのは仕方ない」と歩く距離を減らしてしまう方は多いのですが、股関節の向きとお尻の支えを確かめると、歩ける距離が伸びていくことがあります。しびれを伴う場合は脚の力の入り方も一緒に見ていきますので、無理のない範囲から始めましょう。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 短い距離は平気だが、長く歩くと膝の痛みが強くなってくる
- 歩き続けると膝だけでなく脚にしびれも出てくる
- 立ったときに膝が内側に入っている、つま先が内側を向いていると言われたことがある
- 太ももの外側やふくらはぎが張りやすく、硬いと感じる
- 片脚で立つとふらつきやすい、お尻に力が入りにくいと感じる
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 横向きに寝て、膝を曲げたまま上側の膝をゆっくり開く動きを数回行い、お尻の横の筋肉を使う
- 壁に手をついてふくらはぎをゆっくり伸ばし、反動をつけずに保つ
- 歩く距離は一度に伸ばさず、痛みやしびれが出る手前で区切って少しずつ増やす
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 脚のしびれが広がってきた、または足首や足の指に力が入りにくくなった
- 歩ける距離が急に短くなり、休まないと歩けない
- 膝が腫れて熱を持っている、または膝に水がたまっている感じがある
- 安静にしていても痛みが強く、夜も眠れない
- 排尿や排便の感覚に変化がある、発熱や体重減少など体調の不調を伴っている
よくある質問
膝が痛いのに、股関節やお尻を施術するのはなぜですか?
この症例では、股関節が内側にねじれた位置にあり、外側へ回す動きが硬く、お尻の筋肉の支えが弱いことで、歩くたびに膝にねじれの負担がかかっていました。股関節の動きを引き出し、お尻で支えられるようにすることで、膝にかかる負担を減らしています。状態によって進め方は異なりますので、来院時にご相談ください。
どのくらいの回数と期間がかかっていますか?
この症例では、5回目で歩いているときの痛みが軽くなり、8回目で痛みを気にする場面が少なくなってきました。現在は約12回、約1か月を経て、週1回のペースで施術とトレーニングを継続されています。経過は体の状態や生活によって異なります。
しびれがあっても整骨院で相談できますか?
しびれの広がり方や脚の力の入り方を確かめながら進めています。この症例では、股関節の向きとお尻の支えを整えることで歩ける距離が伸びてきましたが、しびれが広がる、力が入りにくくなるといった変化があれば、先に医療機関への相談をおすすめしています。
中村 拓真長く歩くと膝が痛くなる、しびれも出てくるという方は、股関節の向きとお尻の支えから確かめると進め方が見えてきます。どのくらいの距離でつらくなるかを教えていただければ、一緒にたどっていきますので、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








長く歩くと膝が痛くなる方で、膝そのものを見ても筋道が立たないときは、股関節の向きを見ることにしています。この方の場合、股関節が内側にねじれた位置で歩いていたことで、一歩ごとに膝にねじれの負担がかかっていました。股関節を外に回す動きを引き出し、お尻で支えられるようにしていくことで、歩ける距離が少しずつ伸びてきています。しびれを伴う膝の痛みは、脚の力の入り方にも気を配りながら進める必要があるので、毎回確かめながら続けています。