画像で異常が見つかっても痛みの原因とは限らない
症状コラム
構造異常があっても、痛みがない人はたくさんいる
画像で「異常」が見つかると、そこが痛みの原因だと思いやすいです。でも、無症状の健常者にも、椎間板ヘルニア、骨の変形、腱や半月板の損傷は珍しくありません。

構造異常があることと、痛みがあることは同じではありません。画像所見は大切な情報ですが、痛みを考える時は症状、動き、生活背景と合わせて見ます。
画像検査で異常が見つかると、人は不安になります。
椎間板ヘルニアがあります。
骨が変形しています。
腱板に断裂があります。
半月板に損傷があります。
こう言われると、「だから痛いんだ」と考えたくなります。
でも、ここはかなり慎重に見た方がいいです。
なぜなら、痛みがない人にも、画像上の異常はたくさん見つかるからです。

まなぶ先生

瀬谷崎
無症状でも異常所見は見つかる
腰であれば、無症状の人にも椎間板変性や椎間板膨隆、ヘルニアのような所見が見つかります。
肩であれば、痛みがない人にも腱板断裂や関節唇の変化が見つかることがあります。
膝であれば、痛みも外傷歴もない人に、半月板損傷や軟骨変化、骨棘などが見つかることがあります。
つまり、画像で何かが見つかること自体は、必ずしも珍しいことではありません。
年齢とともに増える変化もありますし、痛みと関係しないまま存在している変化もあります。
画像異常は「痛みの原因候補」にはなります。でも、画像異常が見つかっただけでは「痛みの原因」とは言い切れません。
ここを理解しておかないと、患者さんの痛みを構造だけで説明してしまいます。
それは分かりやすい反面、見落としも増えます。
構造異常と痛みはイコールではない
痛みは、組織の損傷だけで決まるものではありません。
もちろん、損傷や炎症が痛みに関与することはあります。
でも、それだけではありません。
神経の感受性、筋力、動作、睡眠、不安、ストレス、過去の経験、生活の負荷。
こうした要素も、痛みの出方や長引き方に関係します。
だから、構造異常があるから痛い、構造異常がないから痛くない、とは言えません。
画像所見は重要です。ただし、痛みの有無や強さを画像所見だけで説明しきることには限界があります。
画像で見つかった構造変化が、今の症状に関係していることもあります。
一方で、偶然見つかっただけで、今の痛みとは別の問題が関係していることもあります。
だから、画像所見を無視するのではなく、過信しない。
このバランスが大切です。
構造モデルだけで痛みを見る限界
構造モデルとは、簡単に言えば「身体のどこかが壊れているから痛い」と考える見方です。
これは分かりやすいです。
骨が変形しているから痛い。
椎間板が飛び出しているから痛い。
腱が切れているから痛い。
半月板が損傷しているから痛い。
ただ、この見方だけでは説明できないことがあります。
| 構造モデルだけで考えると | 起きやすい誤解 | 臨床で必要な視点 |
|---|---|---|
| 画像異常がある | そこが痛みの原因だと決めつける | 症状と所見が一致するかを見る |
| 画像異常がない | 痛みはたいしたことがないと扱う | 痛みの体験や機能制限を尊重する |
| 加齢変化がある | 治らない、動かすと悪化すると説明する | 改善できる要素を探す |
| 損傷名がつく | その名前だけで施術方針を決める | 痛み、動作、生活での困りごとを合わせる |
起きやすい誤解:そこが痛みの原因だと決めつける。
必要な視点:症状と所見が一致するかを見る。
起きやすい誤解:痛みはたいしたことがないと扱う。
必要な視点:痛みの体験や機能制限を尊重する。
起きやすい誤解:治らない、動かすと悪化すると説明する。
必要な視点:改善できる要素を探す。
起きやすい誤解:その名前だけで施術方針を決める。
必要な視点:痛み、動作、生活での困りごとを合わせる。
構造モデルは不要、という話ではありません。
でも、構造モデルだけで痛みを考えると、患者さんの状態を狭く見てしまうことがあります。
画像所見の説明で不安を増やさない
画像で異常が見つかると、患者さんは自分の身体を怖がりやすくなります。
「壊れている」
「変形している」
「飛び出している」
「損傷している」
こうした言葉は、事実を説明しているようでいて、受け取り方によってはかなり強い不安になります。
その不安が、動作の回避や痛みの過敏さにつながることもあります。

まなぶ先生

瀬谷崎
画像所見を伝える時は、「それが今の痛みとどの程度関係していそうか」まで説明したいところです。
そして、関係がはっきりしない場合は、はっきりしないと伝える。
ここを曖昧にしたまま強く断定すると、患者さんを余計に不安にさせます。
画像ではなく、目の前の人を評価する
画像所見は大切です。
でも、臨床で見るのは画像だけではありません。
痛みはどこにあるのか。
どの動きで出るのか。
どの姿勢で楽になるのか。
しびれや脱力はあるのか。
生活で何に困っているのか。
睡眠や仕事、運動量、不安はどうか。
こうした情報を合わせて、今の痛みに何が関係していそうかを考えます。
画像所見は「原因の候補」を考える材料です。実際の症状や身体の反応と一致するかを見ながら、関与を疑う所見と、関与を低く見積もる材料を整理します。
少し辛口に言うと、画像所見だけで痛みを説明するのは、臨床としてはかなり浅いです。
画像を見た上で、目の前の患者さんをどう評価するか。
そこが本来の仕事だと思っています。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、画像所見を否定することはしません。
ただ、画像所見だけで痛みを決めつけることもしません。
椎間板ヘルニアと言われた。
骨の変形があると言われた。
腱や半月板の損傷があると言われた。
その情報を大切にしながら、実際の痛みや動き、生活での困りごとと照らし合わせて考えます。
画像所見は患者さんを怖がらせる材料ではなく、状態を整理するための材料です。構造異常だけで痛みを決めつけないことを大切にしています。
こんな方は一度ご相談ください
- 画像検査で異常を指摘され、不安が強くなっている
- 画像では異常がないと言われたが、痛みが続いている
- 椎間板ヘルニア、変形、腱板断裂、半月板損傷などと言われた
- 画像所見と今の症状の関係を整理して聞きたい
- 動かしていいのか、休ませた方がいいのか迷っている
強い外傷、急な脱力、しびれの急速な悪化、排尿・排便の異常、発熱、安静時にも強い痛みが続く場合などは、早めに医療機関で確認してください。
構造異常を、痛みの犯人にしすぎない
無症状の人にも、画像上の異常は多く見つかります。
これは、画像所見に意味がないという話ではありません。
でも、画像所見を痛みの原因として短絡的に扱うことには限界があります。
構造の変化、神経の反応、筋力、動作、生活背景、不安。
痛みにはいろいろな要素が関わります。
だからこそ、画像で見つかった異常を「犯人」として決めつけすぎない。
目の前の患者さんの症状と照らし合わせて、丁寧に見ていくことが大切です。

瀬谷崎
参考
- Brinjikji W, et al. Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015.
PMC - Culvenor AG, et al. Prevalence of knee osteoarthritis features on magnetic resonance imaging in asymptomatic uninjured adults: a systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2019.
PMC - Schibany N, et al. Rotator cuff tears in asymptomatic individuals: a clinical and ultrasonographic screening study. Eur J Radiol. 2004.
PubMed - Schwartzberg R, et al. High Prevalence of Superior Labral Tears Diagnosed by MRI in Middle-Aged Patients With Asymptomatic Shoulders. Orthop J Sports Med. 2016.
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