画像で見つかった脊椎変性は痛みの原因とは限らない
症状コラム
脊椎変性は、白髪のように見てもいいことがある
画像で「変性があります」と言われると、不安になる人は多いです。でも、その変化がそのまま痛みの原因とは限りません。まずは、画像所見と痛みを少し分けて考えることが大切です。

構造的な変化と痛みは、必ずしもイコールではありません。画像で見つかった変性は、症状や生活での困りごと、身体の所見と合わせて総合的に見る必要があります。
腰痛で病院に行き、画像検査を受ける。
そこで「椎間板が変性しています」「ヘルニアっぽい所見があります」「年齢相応の変化があります」と言われる。
この時、多くの人は不安になります。
自分の腰が壊れているのではないか。もう治らないのではないか。動かすと悪化するのではないか。
そう感じるのは自然です。
ただ、ここで大事なのは、画像で見つかった変化を、そのまま痛みの原因と決めつけないことです。

まなぶ先生

瀬谷崎
無症状でも、椎間板の変化は見つかる
椎間板の変性や膨隆、ヘルニアのような画像所見は、痛みがある人だけに見つかるものではありません。
痛みがない人、日常生活に困っていない人にも、画像上の変化は見つかります。
研究では、20代の無症状の人でも椎間板関連の変化が一定の割合で確認され、40代、50代以降になると、その割合はさらに増えていくことが示されています。
つまり、画像上の変性は、必ずしも「病気」「壊れている」「痛みの原因」と直結するものではなく、加齢とともに増える自然な変化の一部として見る必要があります。
白髪やシワが増えても、それをすぐ病気とは呼ばない。脊椎の変性も、まずはそのくらいの距離感で見る場面があります。
もちろん、すべての画像所見を軽く見ていいという話ではありません。
画像が重要な判断材料になるケースもあります。
でも、画像だけを見て「これが原因です」と言い切るのは、少し早いです。
白髪があるから頭が痛い、とは言わない
白髪のたとえは、患者さんにも伝わりやすいと思います。
年齢を重ねると、白髪が増えます。シワも増えます。肌の質感も変わります。
でも、多くの場合、それを病的な変化とは捉えません。
若い頃から白髪が多い人もいますが、それだけで「何か悪い病気です」とは言いません。
脊椎の画像所見も、これに近いことがあります。
画像所見を無視する、という意味ではありません。画像に写った変化を、症状や身体の所見と照らし合わせずに原因扱いしない、ということです。
たとえば、腰が痛い人の画像に椎間板変性が見つかったとします。
その変性が痛みに関与している可能性はあります。
一方で、その変性は以前から存在していて、今回の痛みとは別の要因が関係している可能性もあります。
画像所見は「評価の参考」にはなりますが、「答えそのもの」ではありません。
構造的変化と痛みは、同じではない
臨床で大事にしたいのは、構造的な変化と痛みを分けて考えることです。
椎間板が変性している。
骨が少し変形している。
背骨の並びに特徴がある。
これらは身体の情報です。
でも、痛みはそれだけで決まるものではありません。
動かし方、筋力、神経の反応、炎症、睡眠、ストレス、不安、過去の経験、仕事や生活の負荷。いろいろな要素が重なります。
| 見つかった情報 | すぐに決めつけないこと | 合わせて見たいこと |
|---|---|---|
| 椎間板の変性 | 変性があるから痛い、と断定する | 症状の場所、動作時の反応、神経症状の有無 |
| 画像上のヘルニア所見 | 画像だけで現在の痛みの原因と決める | 下肢症状、筋力、感覚、反射、経過 |
| 年齢相応の変化 | 老化だから治らない、と説明する | 改善できる動き、生活負荷、運動の余地 |
すぐに決めつけないこと:変性があるから痛い、と断定する
合わせて見たいこと:症状の場所、動作時の反応、神経症状の有無
すぐに決めつけないこと:画像だけで現在の痛みの原因と決める
合わせて見たいこと:下肢症状、筋力、感覚、反射、経過
すぐに決めつけないこと:老化だから治らない、と説明する
合わせて見たいこと:改善できる動き、生活負荷、運動の余地
画像で何かが見つかった時ほど、患者さんは「原因が分かった」と思いやすいです。
でも、分かったように見える情報ほど、慎重に扱う必要があります。
説明の仕方で、痛みは怖くなる
画像所見を強く伝えすぎると、患者さんは身体を怖がるようになります。
「椎間板が潰れている」
「背骨が変形している」
「このままだと悪くなる」
こうした言葉は、場合によっては必要以上に不安を増やします。
その結果、動くことを避ける。腰をかばう。運動をやめる。痛みが出るたびに「また壊した」と思う。
こうなると、回復から遠ざかることがあります。

まなぶ先生

瀬谷崎
施術者側は、画像所見を軽視しない。
でも、患者さんを怖がらせすぎない。
このバランスが大切です。
画像ではなく、目の前の状態を見る
画像で椎間板変性が見つかっても、見るべきものは画像だけではありません。
どの動きで痛いのか。
痛みはどこに出るのか。
しびれや筋力低下はあるのか。
日常生活で何に困っているのか。
安静にした方がいい段階なのか、少しずつ動かした方がいい段階なのか。
こうした情報を合わせて見ます。
画像所見は、問診や身体評価と合わせて総合的に見る材料です。画像で見つかった変化が、現在の症状にどの程度関与していそうかを丁寧に考える必要があります。
少し辛口に言うと、画像所見だけで説明を終わらせるのは、臨床としてかなり雑です。
「変性がありますね」で終わるのではなく、そこからどう評価するのか。
患者さんに何を伝え、何を怖がらなくていいと説明するのか。
ここに施術者の差が出ると思っています。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、画像所見を否定することはしません。
ただ、画像所見だけで患者さんの痛みを決めつけることもしません。
画像で何が見つかったのか。
それが今の症状とどう関係していそうなのか。
関係している材料はあるのか、逆に関係を低く見積もる材料はあるのか。
そこを問診や身体評価と合わせて考えます。
画像で見つかった構造変化を、患者さんの不安を増やす材料ではなく、今の状態を整理する材料として扱います。
こんな方は一度ご相談ください
- 画像検査で変性やヘルニアと言われ、不安が強くなっている
- 腰痛の原因が画像所見だけで説明され、納得できていない
- 動くと悪化しそうで、生活や運動を避けるようになっている
- 痛みが長引いていて、何を基準に動けばいいか分からない
- 画像所見と今の症状の関係を、もう少し整理して聞きたい
強い外傷、急な脱力、排尿・排便の異常、発熱、安静時にも強い痛みが続く場合などは、整骨院だけで判断せず医療機関での確認が必要になることがあります。
画像所見を、怖がりすぎない
画像で何かが見つかると、人は不安になります。
でも、脊椎の変性や椎間板の変化は、無症状の人にも多く見つかります。
それは白髪やシワのように、年齢とともに増えていく自然な変化として見られることもあります。
大事なのは、画像を無視することではありません。
画像に写ったものを、痛みの原因として短絡的に扱わないことです。
構造的な変化、身体の反応、生活での困りごとを合わせて見ていく。
その方が、患者さんの身体を怖がらせず、現実的な回復の道筋を考えやすくなります。

瀬谷崎
参考
- Brinjikji W, et al. Systematic Literature Review of Imaging Features of Spinal Degeneration in Asymptomatic Populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015.
PMC













