ニューロパチーとは?末梢神経障害を3つの分布で整理する

末梢神経の障害は、症状の広がり方にヒントがある

ニューロパチーは、末梢神経に起因する運動・感覚・自律神経障害の総称です。症状がどこに、どのように広がっているかを見ることで、評価の入口が整理しやすくなります。

この記事について

ニューロパチーとは、末梢神経に起因する運動障害、感覚障害、自律神経障害の総称です。ここでは、障害部位の分布から見た単神経障害、多発単神経障害、多発神経障害の違いと、しびれ・痛み・筋力低下を評価する際の見方をまとめています。

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伊藤聡史

ニューロパチーは、名前だけで捉えるよりも「症状がどの神経領域に、どんな分布で出ているか」を見ると整理しやすくなります。分布の見方は、覚えておいて損はありません。

結論:ニューロパチーは、単神経障害・多発単神経障害・多発神経障害の3つに分けて考えると、症状分布を整理しやすくなります。

ニューロパチーという言葉は、臨床でよく耳にします。ただ、ひとことでニューロパチーと言っても、どこに症状が出ているのか、どの神経が関わっていそうなのか、左右差があるのか、末梢優位なのかによって見方は変わります。

まず押さえたいのは、ニューロパチーが末梢神経に起因する運動・感覚・自律神経障害の総称だという点です。病名を一つに決める前に、症状の分布を整理することが評価の入口になります。

ニューロパチーの障害部位による分類
ニューロパチーは、障害部位の分布から単神経障害、多発単神経障害、多発神経障害に分けて整理できます。

ニューロパチーとは何か

ニューロパチーとは、末梢神経に起因する障害の総称です。末梢神経は、脳や脊髄から出た神経が身体の各部位へ伸び、運動、感覚、自律神経機能に関わります。

そのため、ニューロパチーでは、しびれ、痛み、感覚低下、筋力低下、動かしにくさ、冷えや発汗などの自律神経症状が問題になることがあります。ただし、症状の出方は一様ではありません。

運動障害 筋力低下、動かしにくさ、つまずきやすさ、手足の使いにくさなど。MMTや動作観察と合わせて確認します。
感覚障害 しびれ、痛み、感覚低下、過敏、左右差など。触覚検査や痛覚、症状分布と合わせて見ます。
自律神経障害 発汗、皮膚温、血流、立ちくらみ、消化器症状など。整骨院の評価だけで完結させず、必要に応じて医療機関での確認が重要です。

ニューロパチーは「しびれがあるから神経」と単純に決める言葉ではありません。どの神経領域に、どんな分布で、どの機能の障害が出ているかを整理して使います。

単神経障害:一つの神経に症状が出る

単神経障害は、特定の一つの末梢神経が障害されるタイプです。症状は、その神経が支配する感覚領域や筋に沿って出やすくなります。

代表的には、手根管症候群、肘部管症候群、橈骨神経麻痺、腓骨神経麻痺などがイメージしやすい例です。圧迫、絞扼、外傷、姿勢、反復負荷などが関係することがあります。

見るポイント

単神経障害では、「その神経の走行と支配領域に沿っているか」を確認します。症状が神経の領域に合うか、筋力低下や感覚低下も同じ方向に出ているかを見ると整理しやすくなります。

多発単神経障害:複数の神経が別々に障害される

多発単神経障害は、複数の末梢神経が別々の場所で障害されるタイプです。左右対称にじわじわ広がるというより、複数の神経領域にばらばらと症状が出るイメージです。

一つの神経だけでは説明できない症状があり、かつ全身性に左右対称というよりも、非対称・斑状に出ている場合は、この分類を考える入口になります。

臨床で気をつけたい見方

  • 症状が一つの神経領域だけでは説明しにくい
  • 左右差や非対称性が目立つ
  • 複数の末梢神経領域に感覚障害や筋力低下がある
  • 経過の中で別の神経領域へ症状が広がっている

多発神経障害:左右対称・末梢優位に出やすい

多発神経障害は、多くの末梢神経が広く障害されるタイプです。典型的には、足先や手先など末梢から、左右対称に症状が出ることがあります。

糖尿病性末梢神経障害などでイメージされることが多く、足先のしびれ、感覚低下、灼熱感、冷え、バランス低下などが問題になることがあります。左右対称で末梢優位に出るかどうかは、評価で確認したいポイントです。

単神経障害 一つの末梢神経領域に症状が出る。局所の圧迫・絞扼・外傷などを考える入口になります。
多発単神経障害 複数の神経が別々に障害される。非対称・斑状の分布、複数領域の症状に注意します。
多発神経障害 複数の末梢神経が広く障害される。足先・手先など末梢優位、左右対称の症状分布を確認します。

症状分布を見て評価の仮説を立てる

ニューロパチーを考えるときは、まず症状の分布を確認します。しびれや痛みがどこにあるのか、左右差はあるのか、末梢から広がっているのか、一つの神経領域に沿っているのかを整理します。

そのうえで、MMT、腱反射、触覚検査、痛覚、動作での症状変化、問診での既往歴や経過を合わせて見ます。分布だけで結論を出すのではなく、他の所見と矛盾しないかを確認します。

  • しびれや痛みが一つの神経領域に沿っているか
  • 左右対称か、非対称か
  • 足先・手先など末梢優位に出ているか
  • 筋力低下や腱反射の変化と分布が一致するか
  • 糖尿病、外傷、圧迫、薬剤、全身疾患などの背景がないか
重要

急に強いしびれや麻痺が出た、進行する筋力低下がある、歩行が不安定になった、排尿・排便の異常がある、全身症状を伴う場合は、まず医療機関での確認が必要になることがあります。

ニューロパチーは「分布」で整理する

ニューロパチーは、末梢神経に起因する運動・感覚・自律神経障害の総称です。まずは、症状が一つの神経領域なのか、複数の神経領域なのか、左右対称に末梢から広がっているのかを整理します。

単神経障害、多発単神経障害、多発神経障害という分類を押さえておくと、しびれや痛みの評価で仮説を立てやすくなります。ただし、分類だけで原因を決めるのではなく、問診、筋力、感覚、反射、経過と合わせて総合的に見ます。

とんとん整骨院では、痛みやしびれの場所だけでなく、症状の分布、筋力、感覚、反射、動作での変化を確認し、身体の状態を多角的に見極めることを大切にしています。

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伊藤聡史

ニューロパチーは、症状名として覚えるだけでは臨床で使いにくいです。単神経障害なのか、多発単神経障害なのか、多発神経障害なのかを分けて考えると、評価の組み立てがしやすくなります。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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