超音波治療器で温熱効果を出すには。組織温4度上昇の考え方

超音波で温めるなら、どれくらい温めたいかを決める

超音波治療器の温熱効果は、ただ当てれば出るものではありません。血流を増やしたいのか、痛みや筋スパズムを落ち着かせたいのか、組織の伸張性を高めたいのかで、必要な組織温の上がり方は変わります。

超音波の温熱効果と組織温上昇の目安
超音波の温熱効果は、組織温の上昇幅によって狙える反応が変わると整理されます。組織伸張性を狙う場合は、3〜4度程度の上昇が目安になります。
この記事について

超音波治療器は、設定によって温熱作用と非温熱作用の使い分けを考える物理療法です。ここでは、組織温を4度前後上昇させる意味、1度・2〜3度・3〜4度上昇で狙う反応の違い、設定時の注意点を整理しています。

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髙原佑輔

超音波で温熱効果を出す場合は、組織温を4度前後上げることがポイントです。特に組織の伸張性を狙う時は、そこまで温められているかを考えます。

結論:超音波治療器で温熱効果を狙う時は、目的に合う組織温の上昇を考えます。組織伸張性を高めたい場合は、3〜4度程度の上昇を目安に設定を組み立てます。

超音波の温熱効果とは

超音波治療器は、音波のエネルギーを体内へ届ける物理療法です。設定によって、温熱作用を狙う場合と、非温熱的な刺激を狙う場合があります。

温熱効果を狙う時は、組織温がどのくらい上がるかが大切です。表面がなんとなく温かいだけではなく、狙っている組織に十分な熱が届いているかを考える必要があります。

Chapter 11度上昇で狙う反応

組織温が1度ほど上がると、血流の増加や組織代謝の促進が期待されると整理されます。軽い温熱刺激として、組織の反応を引き出すイメージです。

ただし、1度上がったからすぐに可動域が大きく変わる、という話ではありません。どの反応を狙うかによって、必要な温度上昇の目安は変わります。

温熱効果は「温かく感じたら十分」ではありません。血流を狙うのか、痛みや筋緊張を狙うのか、伸張性を狙うのかで、必要な温度上昇は変わります。

Chapter 22〜3度上昇で狙う反応

組織温が2〜3度ほど上がると、運動神経や知覚神経の伝達速度が増える、疼痛閾値が高まる、筋紡錘の緊張が和らぐ、筋スパズムが減少する、といった反応が期待されます。

痛みや筋緊張を少し落ち着かせたい時、施術前に動かしやすい状態を作りたい時には、このあたりの温熱反応を考えることがあります。

Chapter 33〜4度上昇で組織伸張性を狙う

ここで一番大事なのは、温熱効果で組織の伸張性を狙うなら、組織温を4度前後上昇させることがポイントになるという点です。

3〜4度ほど組織温が上がると、コラーゲン線維の伸張性拡大や、組織伸張性の増加を狙いやすくなると整理されています。関節可動域の改善や、ストレッチ前の準備として考える時に重要な目安です。

組織温の上昇 狙いやすい反応 臨床での見方
約1度 血流増加、組織代謝の促進 軽い温熱刺激として考える
約2〜3度 疼痛閾値の上昇、筋緊張の緩和、筋スパズムの減少 痛みや筋のこわばりを落ち着かせる目的で考える
約3〜4度 コラーゲン線維の伸張性拡大、組織伸張性の増加 可動域やストレッチ効果を狙う時の目安になる

Chapter 44度上げるには設定が必要

組織温を4度前後上げたいなら、なんとなく超音波を当てるだけでは足りないことがあります。周波数、出力、照射時間、照射範囲、プローブの動かし方、組織の深さを考える必要があります。

たとえば、浅い組織を狙うのか、深い組織を狙うのかで周波数の選び方は変わります。照射範囲が広すぎると、十分な温度上昇が得られにくいこともあります。温熱を狙う時は、設定の意図をはっきりさせます。

  • 温熱効果を狙う目的が説明できる
  • 狙う組織の深さに合った周波数を選んでいる
  • 照射範囲が広すぎない
  • 出力と照射時間が目的に合っている
  • プローブを止めず、適切に動かしている
  • 施術後に可動域や痛みの変化を確認している
設定の考え方

超音波で温熱を狙う時は、周波数、出力、時間、照射範囲をセットで見ます。4度上昇という目安だけを覚えるのではなく、その温度上昇が起こる条件を考えることが大切です。

Chapter 5ストレッチや可動域改善と組み合わせる

組織伸張性を狙う場合、超音波で温めたあとにストレッチや可動域練習を組み合わせると、施術の意図がはっきりします。

温めた組織は、時間とともに冷えていきます。せっかく温熱効果を狙うなら、温まったタイミングで動かす、伸ばす、再評価する流れを作ることが大切です。

安全管理

温熱効果を狙う場合でも、熱すぎる刺激や痛みを我慢させる設定は避けます。知覚低下、皮膚トラブル、急性炎症、出血リスク、悪性腫瘍が疑われる部位などは、機器の添付文書や院内ルールに沿って慎重に判断します。

温熱は、目的とセットで使う

超音波治療器は、当てれば自動的に狙った温熱効果が出るわけではありません。温度上昇の目安と、狙う生理学的反応をセットで考えます。

血流を狙うのか、痛みや筋緊張を狙うのか、組織伸張性を狙うのか。目的が決まると、設定と施術後の確認ポイントも決まってきます。

4度上昇は、伸張性を狙う時の大事な目安

超音波治療器を用いて温熱効果を出す場合、組織温をどの程度上げたいのかを考えることが大切です。特にコラーゲン線維や組織伸張性を狙う場合は、3〜4度程度の上昇がひとつの目安になります。

ただし、4度という数字だけを追うのではなく、狙う組織、深さ、照射範囲、出力、時間、患者さんの反応を合わせて見ます。温熱効果は、設定と評価がそろって初めて臨床で使いやすくなります。

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髙原佑輔

超音波で温熱効果を狙うなら、ただ当てるだけでは足りません。どの組織を、どのくらい温めたいのかを決めてから設定します。

補足

超音波による温度上昇は、周波数、出力、照射時間、照射範囲、組織の深さ、血流などで変わります。臨床では温度を直接測れないことも多いため、設定条件と施術後の反応を合わせて見ます。

髙原佑輔
株式会社とんとん/とんとん整骨院。店舗統括・物理療法指導責任者。柔道整復師。

2014年より整形外科に勤務し、骨折・捻挫など多数の外傷症例を経験。勤務先で出会った患者の「私、ここの病院に30年通ってるの」という一言をきっかけに、「症状を抑え続ける」のではなく「通院に頼らない身体づくり」を追求するようになる。その後、大手整骨院グループの技術統括責任者を経て現職。現在は、とんとん整骨院グループを統括し、物理療法の品質管理・スタッフ指導を担うほか、noteでは物理療法やテーピングに関する技術情報の発信にも取り組んでいる。

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