痛い場所が、悪い場所とは限らない。体の「運動連鎖」とは
症状コラム
膝が痛いのに、なぜ足や股関節を見るのか
膝が痛い、腰が痛い。その場所をいくら揉んでも、なかなか変わらない。実は体の関節は、足首・膝・股関節・骨盤と、鎖のようにつながって動いています。これを運動連鎖(うんどうれんさ)と呼びます。だから痛みの原因は、痛む場所から少し離れたところにあることも、決して珍しくありません。
体のどこかが痛いとき、痛い場所がそのまま悪い場所だと考えるのは、とても自然なことです。
もちろん、痛む場所そのものに問題があることもあります。
ただ、体の関節はそれぞれが独立して動いているわけではありません。足首が動けば膝が動き、膝が動けば股関節や骨盤も動く。ひとつの動きが、つながった先の動きを引き出しているのです。
この記事では、運動連鎖とはどういう考え方なのか、なぜ「痛む場所」と「原因の場所」がずれることがあるのか、そして整骨院ではどう向き合うのかを整理します。
体の関節は「鎖」のようにつながっている
運動連鎖とは、ひとつの関節の動きが、隣り合う関節の動きに連動していく現象のことです。とくに立つ・歩く・しゃがむといった、足が地面についた状態での動きでは、足首から骨盤までが一本の鎖のように影響し合います。
たとえば足首の内側が落ち込む(回内する)と、その上の膝は内側へ入りやすくなり、股関節は内側にねじれ、骨盤は前に傾く。こうして、下から上へと連動が伝わっていきます。逆に、骨盤が後ろに傾けば、股関節・膝・足首はその反対方向に動こうとします。
下の図は、その典型的なつながりを示したものです。左右で、骨盤の傾きに応じて股関節・膝・足首の向きがそろって変わっているのが分かります。


まなぶ先生

教子先生

瀬谷崎
なぜ「痛む場所」と「原因の場所」がずれるのか
関節が鎖でつながっているということは、どこか一か所の動きが崩れると、そのしわ寄せが別の場所に集まる、ということでもあります。
たとえば、足のアーチが崩れて足首が内側に倒れやすい人は、その上の膝が内側に入りやすくなります。膝はもともと、ねじれや横方向の動きが得意な関節ではありません。そこへ連鎖でねじれの負担が乗り続けると、膝の周りに痛みが出てくることがあります。
このとき、痛いのは膝でも、負担を生んでいる「上流」は足や股関節側にある、というわけです。痛む場所だけをケアしても、上流の動きがそのままなら、また同じところに負担が戻ってきます。
「痛む場所」と「原因の場所」は、必ずしも同じではありません。痛むところをほぐして一時的に軽くなっても、すぐ戻ってしまうときは、少し離れた関節の動きが関わっている可能性があります。
整骨院では、どう向き合うのか
運動連鎖の視点で体を見るときは、痛む場所だけでなく、その上下にある関節の動きや、左右差、立ち方・歩き方までを確認していきます。
足首・膝・股関節・骨盤のどこに動きの崩れがあり、それが連鎖のどこへ負担を送っているのか。痛む場所のケアと並行して、その「上流」と「下流」の動きを整えることで、同じところに負担が戻りにくい状態を目指します。
大切なのは順番です。強い腫れや熱っぽさがある時期、しびれや力の入りにくさがあるときは、まずそちらの確認が先になります。連鎖の話は、危険なサインがないことを確かめたうえで進めていきます。

まなぶ先生

教子先生

瀬谷崎
強い腫れや熱感がある/しびれや力の入りにくさがある/夜も痛くて眠れない/転んだあとから痛む。こうしたときは、自己流のセルフケアを続けず、医療機関や専門家にご相談ください。
痛みは「痛いところ」だけで決めない
体の関節はつながって動いています。だから、痛む場所をいくらケアしても変わりにくいとき、答えが少し離れた場所に隠れていることがあります。
「痛む場所」と「原因の場所」を分けて考える。これは、痛みとの向き合い方を少し広げてくれる見方です。
なかなか取れない痛みがあるときは、どの動作で・どこが・どんなふうに痛むのかを手がかりに、足首から骨盤までのつながりも含めて、一度ご相談ください。

瀬谷崎













