産後の骨盤のゆがみは戻さないとダメ?恥骨やお尻の付け根の痛みの考え方
症状コラム
骨盤の「ゆがみ」より、支える力を
産後に恥骨やお尻の付け根が痛い。骨盤のゆがみを戻さないと一生痛い、矯正しないと体型が戻らない、と思っていませんか。骨盤が大きくずれて固定されるわけではなく、多くは支える力と動作を整えることで、痛みはやわらいでいきます。ここでは原因・家でできること・受診の目安・よくある疑問までをまとめました。
抱っこや授乳のたびに、恥骨やお尻の付け根がズキッとする。寝返りや立ち上がりがつらい。そんな産後の骨盤まわりの痛みは、めずらしくありません。まずは「何が起きていて、何ができるのか」を順番に見ていきます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎産後の骨盤の痛みって、どんな状態?
妊娠中は、出産に備えてホルモンの働きで骨盤まわりの靭帯がゆるみます。そこに体重の増加や姿勢の変化が加わり、骨盤を支える力が一時的に落ちて、恥骨やお尻の付け根(仙腸関節)に痛みや不安定感が出やすくなります。
「ゆがみ」という言葉が広く使われますが、骨盤が大きくずれてそのまま固定される、というわけではありません。痛みや不安定感は本物ですが、その正体は位置のズレというより、支える力と使い方の問題と考えると、対処が見えてきます。
なぜ起きるのか
- ホルモンの影響:妊娠中に骨盤まわりの靭帯がゆるむ
- 体の変化:体重増加や重心の移動で、骨盤への負担が増える
- 支える力の低下:お腹や骨盤底の筋肉が伸ばされ、働きにくくなる
- 育児の負担:抱っこ・授乳・片脚に体重をかける姿勢の繰り返し
- お腹の筋肉が左右に開く(腹直筋離開)と、体幹で支える力が出にくくなる
おうちでできること
骨盤を「戻す」のではなく、支える力を取り戻し、負担を減らすのが基本です。やりすぎず、痛みと相談しながら続けてください。
- 骨盤底の運動:息を吐きながら、おしっこを止めるように下から軽く引き上げる
- 深いお腹の運動:あお向けで、お腹をへこませながらゆっくり呼吸する(ドローイン)
- 痛む動作を分散:寝返りはひざを立てて体ごと、立ち上がりは両脚均等に
- 抱っこ・授乳の姿勢:片側に偏らない、クッションで高さを作る
- 骨盤ベルト:痛いときの支えの補助に。締めすぎず、運動と一緒に
目標は「ゆがみをまっすぐにすること」ではなく「痛みなく育児ができること」です。骨盤底やお腹の運動は、育児の合間に少しずつ。無理に頑張って痛める日を作るより、長く続けるほうが近道になります。
いつ良くなる?体型は戻る?
産後の骨盤の痛みは、多くが出産後の数週から数か月で、少しずつ楽になっていきます。支える力が戻るにつれて、安定感も出てきます。体型については、骨盤矯正で「ハマって戻る」というより、骨盤底やお腹の筋肉が働きを取り戻すことが土台になります。あせらず、続けられることから始めましょう。
こんなときは早めに相談を
痛みが強くて歩けない/片脚に体重をかけられない/安静にしても夜も痛む/発熱を伴う/足のしびれや力の入りにくさがある。こうしたときは別の原因が隠れていることもあるため、自己流を続けず、産婦人科や整形外科など医療機関にご相談ください。授乳期に強い痛みが続く場合も早めの相談をおすすめします。
よくある質問
Q. 骨盤矯正をしないと治りませんか?
骨盤は大きくずれて固定されるものではないため、「ハメ直す」必要があるわけではありません。多くは支える力と動作を整えることで、痛みはやわらいでいきます。
Q. ゆがみは戻りますか?
位置を戻すという発想よりも、ゆるんだ骨盤底やお腹の筋肉が働きを取り戻すことが大切です。そのほうが、痛みにも体型にもつながりやすいです。
Q. 運動はいつから始めていいですか?
骨盤底の軽い運動や呼吸は比較的早くから始められますが、出産の経過には個人差があります。産後の健診で問題がないか確認し、不安があれば医療機関や専門家に相談してから始めると安心です。
Q. 体型はもう戻りませんか?
あきらめる必要はありません。骨盤底やお腹の筋肉の働きを取り戻すことが土台になります。短期間で結果を求めず、続けることが大切です。
「戻す」より「支える力を育てる」
産後の骨盤の痛みは、ゆがみを戻すことよりも、支える力と体の使い方を整えることが現実的な近道になりやすい症状です。恥骨やお尻の付け根の痛みが気になるときは、運動や姿勢も含めて一度ご相談ください。
瀬谷崎














