首の付け根の突っ張り、原因は肩甲骨と姿勢か。症例をスタッフで検討

首の突っ張り、なぜ「肩甲骨と姿勢」に着目したのか

1つの症例を、担当した川口流世先生(とんとん整骨院 下板橋店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。くり返してきた左の首の付け根の突っ張り感。首そのものでなく、頸椎の位置と肩甲骨の硬さに出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、左の首の付け根の突っ張り感で来院した30代の男性。安静時にも出て、長くくり返してきた症状の症例です。答えを急がず、事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:首の付け根の突っ張り、肩甲骨と姿勢に着目
今回検討する症例(担当:川口先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=左の首の付け根の突っ張り感(30代・男性)。所見=安静時にも出現し起床時に強まりやすい、側屈や左回旋で誘発、頸椎の屈曲位と肩甲骨の可動域制限、僧帽筋下部の延長と筋力低下、斜角筋・小胸筋などに反応。対応=硬くなった筋をゆるめ、肩甲骨の動きを引き出し、僧帽筋下部のトレーニングと姿勢の確認。経過=肩の症状が早期に落ち着き、首の突っ張りも段階的に軽減。現在は再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

首の付け根の突っ張りの原因は頸椎の屈曲位と肩甲骨の硬さか

主訴は首の付け根の突っ張り。けれど川口先生は、突っ張る場所そのものより、その負担を生んでいる姿勢に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

川口先生川口先生

主訴は首の付け根の突っ張りでしたが、所見をとると頸椎が前に曲がった位置で固まりやすく、肩甲骨の動きも硬くなっていました。突っ張る場所と、負担を生んでいる場所は違うのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

首が突っ張るのに、肩甲骨や姿勢に目を向けたのは何が根拠だったんですか。

川口先生川口先生

側屈や左回旋で症状が誘発される一方、頸椎が前に曲がり、肩甲骨が下がった位置で固まっていました。長く座る姿勢で首の前側や肩甲骨まわりが働き続け、付け根に負担が偏る、という像が所見と一致したんです。だから断定でなく、まずその仮説で進めました。

首の症状で見逃せない、胸郭出口症候群や頸椎神経根症との鑑別

「姿勢のせい」と考えるには、腕へ広がる神経由来を先に外しておく必要があります。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

その見立ての前に、腕のしびれを伴う胸郭出口症候群や、頸椎の神経根症は外せていましたか。

川口先生川口先生

腕や手のしびれ、力の入りにくさはなく、症状は首の付け根の突っ張りに限られていました。神経を疑う所見はなく、姿勢と動作で再現したので、姿勢からくる筋の負担ととらえています。気になる神経症状が出れば受診をご案内する前提です。

瀬谷崎瀬谷崎

首の症状は、腕へ広がる神経由来をまず外すのが大事ですよね。そこを確認したうえで、姿勢と肩甲骨に絞っていく。安静時の症状や起床時の強まりは姿勢性でも出ますが、念のため経過は丁寧にみたいところです。順序は妥当だと思います。

首と肩甲骨まわりの介入と経過

突っ張る場所を直接ゆるめるだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

首そのものでなく、肩甲骨や姿勢から変えていったんですね。

川口先生川口先生

硬くなった斜角筋や小胸筋などをゆるめて、肩甲骨の動きを引き出し、下がった肩甲骨を支える僧帽筋下部を使えるようにしました。肩の症状は早めに落ち着いて、首の突っ張りも徐々に軽減。今は再発しやすい方なので、肩甲骨まわりのケアと姿勢づくりを続けてもらっています。

瀬谷崎瀬谷崎

突っ張る場所を直接ゆるめるだけでなく、肩甲骨の土台から整えているのが要点ですね。姿勢が変われば首の負担も下げられる。落ち着いた経過もその方向を支持しています。ただくり返しやすい症状なので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:肩甲骨と姿勢からとらえる首の出どころ

所見という事実(頸椎の屈曲位・肩甲骨の制限と僧帽筋下部の弱さ・動作での誘発)と、経過という結果(肩の症状が早期に落ち着き、首の突っ張りも軽減したこと、再発予防の継続)。この両方が、「首そのものでなく頸椎の位置と肩甲骨の硬さに出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。突っ張る場所と原因が一致しないことはあり、決めつけずに所見と動作で出どころを絞る。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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