朝起きると首がこわばって締めつけられる、寝起きの首こりをどう考えるか。症例をスタッフで検討

寝起きの首のこわばり、なぜ「頭の位置と肩甲骨」に着目したのか

1つの症例を、担当した新谷優樹先生(とんとん整骨院 下板橋店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。はっきりしたきっかけなく、朝起きたときに出る首のこわばりと締めつけ感。首の一カ所でなく、頭の位置と肩甲骨の開きに出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、2〜3週間前から、はっきりしたきっかけなく朝の首のこわばりが出てきた40代の男性。首を反らす・前に倒す動きで出やすく、同じ姿勢が続く場面で感じやすい方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:寝起きの首のこわばり、頭の位置と肩甲骨に着目
今回検討する症例(担当:新谷先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=朝に感じる首のこわばりと締めつけ感(40代・男性)。背景=2〜3週間前から、はっきりしたきっかけはなく、朝起きたときに首がこわばる。首を反らす・前に倒す動きで出やすく、同じ姿勢が続く場面で感じやすい。所見=頭部前方位(頭が前に出た姿勢)、肩甲骨の外転位(外に開いた状態)、胸鎖乳突筋・斜角筋・板状筋まわりの緊張、頸部の伸展・屈曲で症状が誘発。とらえ方=頭が前に出た姿勢と肩甲骨が外に開いた状態により、首の前後の筋肉に負担が偏っていたと考えた。対応=頭部前方位・肩甲骨外転位への姿勢アプローチ、胸鎖乳突筋・斜角筋・板状筋への鍼。経過=はじめの2回は大きな変化なし。3〜4回目に来院前より調子の良さを感じ、あごを引く動きでの詰まり感が残る程度に。5回目以降は落ち着いた状態が続き、週1回のメンテナンスへ。約7〜9回・2〜3ヶ月ほどの経過。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

朝にこわばる首、原因は頭の位置と肩甲骨の開きか

主訴は朝の首のこわばりと締めつけ感。けれど新谷先生は、首の一カ所より、頭の位置と肩甲骨の開きに出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

新谷先生新谷先生

主訴は朝に感じる首のこわばりと、締めつけられるような感覚でした。はっきりしたきっかけはなく、首を反らす・前に倒すどちらの動きでも出やすい。所見をとると、頭が前に出て肩甲骨が外へ開き、首の前側の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や斜角筋、後ろの板状筋がいずれも張っていました。首の一カ所というより、頭の位置と肩甲骨の開きで、首の前後に負担が偏っているのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

朝にこわばると、寝方や枕の問題に思えます。それでも頭の位置や肩甲骨に目を向けたのはなぜですか。

新谷先生新谷先生

反らしても前に倒しても出る、つまり前後どちらの筋肉も張っていました。頭が前に出ると、後ろの筋肉は引っぱられ続け、前の筋肉は縮んだままになります。肩甲骨が開くと、その土台もぐらつく。寝方だけでは説明しきれず、日中の姿勢で前後に負担がたまっている、という像と一致したんです。

なぜ朝・寝起きに首がこわばるのか

この方は、とくに朝・寝起きに強く出る、という特徴がありました。そこを確かめます。

教子先生教子先生

朝に強いというのが特徴ですよね。締めつけ感とのことですが、腕のしびれや力の入りにくさ、ろれつが回らない、急に強くなる頭痛といった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

新谷先生新谷先生

そこは確認しました。腕への神経症状や安静時に強まる痛み、急に悪化する頭痛などはなく、症状は首の動きと姿勢に伴って変わりました。こうしたサインがあれば医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめて進めました。日中、同じ姿勢が続く場面で感じやすい、という出かたでもありました。

瀬谷崎瀬谷崎

日中、頭を前に出した姿勢が続くと、首の前後の筋肉は一日じゅう力みっぱなしになります。寝ているあいだは動かさないぶん、その張りがほぐれず、朝にこわばりとして出やすい。締めつけ感も、張った筋肉が続くと起きやすいんですよね。危ないものを外したうえで、姿勢の負担に絞る。筋道が通っていると思います。

同じ姿勢で繰り返さないための介入と経過

首を直接ほぐすだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

首を直接ほぐすだけでなく、頭の位置や肩甲骨から整えていったんですね。

新谷先生新谷先生

はい。張っていた胸鎖乳突筋や斜角筋、板状筋に鍼でアプローチしつつ、頭が前に出た姿勢と肩甲骨の開きを戻すようにしました。はじめの2回は大きな変化が出ませんでしたが、3〜4回目から調子の良さを感じてもらえて、今はあごを引いたときの詰まり感が少し残る程度です。同じ姿勢が続く仕事なので、姿勢を保つケアを一緒に続けてもらっています。

瀬谷崎瀬谷崎

こわばりの出どころを、首そのものでなく、頭の位置と肩甲骨という姿勢の負担に戻して整えにいっているのが要点ですね。日中の力みが減れば、朝のこわばりもたまりにくくなる。少し時間がかかってから変わってきた経過も、姿勢を変える方向を支持しています。ただ同じ姿勢の仕事が続くので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:頭の位置と肩甲骨からとらえる寝起きの首のこわばり

所見という事実(頭部前方位・肩甲骨の外転・首の前後の筋肉の緊張・伸展や屈曲での誘発)と、経過という結果(数回かけて調子の良さを感じ、詰まり感が残る程度に落ち着いたこと)。この両方が、「首の一カ所でなく、頭の位置と肩甲骨の開きに出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。朝にこわばるのは、日中の姿勢でたまった前後の筋肉の張りが、動かさない夜のあいだにほぐれないため。危ないものを外したうえで、姿勢の負担に絞る。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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