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基礎医学の知識が、臨床推論の幅を広げる。7月のアカデミー内カンファレンスより

遠回りに見える知識が、明日の見立てを支える

基礎医学の知識には、そのまま臨床に直結しないものもあります。それでも、解剖学や生理学の理解は、目の前の症状を説明する引き出しを増やし、臨床推論の幅を広げてくれると考えています。

明日すぐ使う知識だけでは、見立ての幅は広がりにくいものです。いつ出番が来るか読めない基礎医学も含めて学び続けるために、私たちはアカデミーで症例を持ち寄り、検討を続けています。

2026年7月28日、ANOアカデミーのオンライングループカンファレンスを行いました。各地のメンバーがオンラインで集まり、現場で迷った症例や疑問を持ち寄って検討する場です。

今回の議題は2つ。大腿部の筋挫傷(打撲などによる筋肉の損傷)のあとに下腿へ出るむくみ(浮腫)と、アキレス腱断裂の手術後のリハビリについてでした。どちらも、解剖学や生理学といった基礎医学の知識が検討の土台になったテーマです。

ANOアカデミー オンライングループカンファレンス アーカイブ(2026年7月28日)
今回のオンライングループカンファレンス(2026年7月28日)。録画はアカデミー内のアーカイブでメンバーに共有しています。
伊藤聡史伊藤聡史

今回あらためて感じたのは、基礎医学的な知識には、そのまま臨床に直結しないものもある、ということでした。ただ、直結しなくても、臨床推論の幅は確実に広げてくれるんですよね。

瀬谷崎瀬谷崎

そうですね。明日の施術がすぐ変わる知識と、いつ出番が来るか読めない知識。どちらも要る気がします。出番が読めない知識ほど、いざという場面で見立てを助けてくれることがあるのかなと。

大腿部の筋挫傷で、なぜ下腿がむくむのか

ひとつめの議題は、大腿部の筋挫傷のあとに、損傷した場所より下の下腿へむくみが出たケースでした。痛めたのは太ももなのに、むくむのはすねやふくらはぎ。ここを考えるには、生理学の知識が土台になります。

伊藤聡史伊藤聡史

損傷部位と、むくみの出る場所が一致しないケースです。組織が傷つくと出血や炎症で水分が増えますが、それが重力で下へ降りてくる。さらに、痛みで動かさなくなると、ふくらはぎの筋ポンプが働きにくくなって、静脈やリンパの戻りが滞りやすくなります。

瀬谷崎瀬谷崎

むくみをその場所だけの問題と見ると、外してしまう例ですよね。循環の仕組みを知っていれば、太ももの損傷から下腿のむくみまでを一本の流れで説明できる。基礎の知識が、症状のつながりを見せてくれる場面だと思います。ただ、下腿のむくみには血管の病気など別の原因もあるので、経過が合わないときは医療機関での確認を優先したいところです。

アキレス腱断裂の手術後リハビリ。組織の回復過程から考える

ふたつめの議題は、アキレス腱断裂の手術後のリハビリでした。いつから、どのくらいの負荷をかけていくか。ここでも土台になるのは、腱という組織がどう回復していくかという基礎の知識です。

伊藤聡史伊藤聡史

腱の修復には段階があって、炎症の時期、組織が作られる時期、強度が育っていく時期と進みます。この過程を知らずに手順だけ覚えると、なぜこの時期にこの負荷なのかが説明できません。

瀬谷崎瀬谷崎

手順は病院や術式によっても変わりますからね。手順そのものより、いま組織がどの段階にいるかという見方を持っておくほうが、応用が利く気がします。医師の指示やリハビリの方針を土台に、私たちがどこを支えられるかを考える。その順番は崩さないようにしたいです。

手順を覚えるだけの学びは、条件が変わると止まる。仕組みから考える学びは、条件が変わっても応用が利く。

すぐ使う知識と、幅をつくる知識

今回の2つの議題に共通していたのは、基礎医学の知識が検討の土台になっていたことでした。循環の生理学も、腱の組織学も、毎日の臨床で表に出てくる知識ではありません。それでも、いざ非典型的なケースに出会ったとき、見立ての幅を決めるのはこうした基礎です。

伊藤聡史伊藤聡史

知っておくことで明日からの臨床が変わる知識だけでなく、いつ役に立つか読めないような知識も勉強しておくべきだと、あらためて感じたカンファレンスでした。

瀬谷崎瀬谷崎

伊藤先生の言うとおりで、出番が読めない知識は、後回しになりやすいんですよね。だからこそ、こういう場でみんなで題材にする意味があるのかなと。前回のカンファレンスでも話しましたが、目の前の患者さんに一番いい判断をするための研鑽を、地道に続けていきたいです。

患者さんのために、研鑽を続ける

ANOアカデミーでは、オンラインカンファレンスや実技練習会を通じて、現場の迷いを持ち寄り、見方を確かめ合う場を続けています。すぐに使える知識も、いつか効いてくる基礎も、どちらも患者さんへの判断の質につながると考えて、研鑽を続けていきます。

執筆者の勤務店舗

この記事を書いた伊藤聡史は、とんとん整骨院 ときわ台店に勤務しています。東武東上線ときわ台駅すぐ。板橋区常盤台・上板橋・中板橋エリアの方が多く来院されています。

ときわ台店のご案内・アクセス

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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とんとんは、常に患者様ファースト。常に誠実に。きめ細かく透明性のある情報発信を心掛けています。お身体のことで悩んだ時、選択肢の一つに入れて頂けたら嬉しいです。

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