努力が続かないのは根性不足なのか?学びを習慣にする考え方

努力が続く人は、根性で続けているのか

勉強も練習も、続けるのが一番むずかしい。ただ、続かない理由を「自分は意思が弱いから」で終わらせると、いつまでたっても同じところでつまずきます。

努力は、気合いより設計です。やる気がある日の自分ではなく、やる気がない日の自分でも動けるように、先に環境を作っておくことが大切です。

「今日から毎日勉強する」

「毎朝、症例を見直す」

「発信もちゃんと続ける」

こう決めたことがある人は多いと思います。

そして、数日後にはいつもの生活に戻る。これも、かなり多くの人が経験しているはずです。

ここで自分を責める人がいます。

根性がない。やる気が足りない。自分は向いていない。

でも、少し辛口に言うと、毎回「意思の弱さ」で片付ける方が、むしろ楽です。仕組みを作らなくて済むからです。

まなぶ先生
まなぶ先生

でも、努力できる人って、やっぱり意思が強いんじゃないですか?

瀬谷崎
瀬谷崎

意思が強い人もいます。ただ、長く続く人ほど、意思を使わなくて済む形にしていることが多いです。

努力がしんどいのは、未来の報酬が遠いから

努力は、ざっくり言えば「今のコスト」と「未来の報酬」の交換です。

今、眠いのに勉強する。今、遊びたいのに練習する。今、面倒なのに記録を残す。

その代わり、数ヶ月後や数年後に、技術が上がる。説明がうまくなる。患者さんへの対応に余裕が出る。仕事の幅が広がる。

理屈では分かります。

でも、人間は未来の報酬を低く見積もりやすいです。目の前のしんどさの方が、どうしても大きく見えます。

未来の自分が得をすると分かっていても、今の自分は普通にサボりたい。ここを人間の弱さではなく、人間の仕様として扱った方が対策しやすいです。

だから、「気合いで毎日やる」は続きにくいです。

気合いは、その日の体調、忙しさ、人間関係、睡眠時間で簡単に揺れます。

揺れるものを土台にすると、当然、習慣も揺れます。

習慣化は、思っているより時間がかかる

「21日続ければ習慣になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。

分かりやすいし、希望もあります。3週間なら頑張れそうです。

ただ、実際の習慣化はもう少し幅があります。

新しい行動が自動化されるまでの期間は、行動の種類や難しさによってかなり変わります。研究では、平均的には約66日、短い人で18日、長い人では数ヶ月かかることも示されています。

焦らなくていい

3週間で自動化しなかったから失敗、ではありません。むしろ最初の2ヶ月くらいは、習慣になる前の助走期間だと思っておいた方が現実的です。

ここを知らないと、途中で落ち込んでやめます。

「まだ意識しないとできない。自分はダメだ」と思ってしまう。

でも、最初は意識しないとできなくて当然です。歯磨きや入浴みたいに自動で動く状態になるまでには、ある程度の反復が必要です。

まず、迷う時間を減らす

努力を続ける時、地味に大きいのが「何をやるか迷う時間」です。

勉強しようと思って机に座る。でも、何からやるか決めていない。資料を探す。教材を探す。本を開く。SNSも見る。気づいたら時間がなくなる。

これは、勉強していないのに疲れます。

場面 先に決めておくこと 狙い
移動中 読む論文、聞く音声、復習するメモを決めておく スマホを開いた瞬間の迷いを減らす
30分だけ空いた時 短時間でできるタスクを用意しておく まとまった時間がないことを言い訳にしない
疲れている日 最低ラインのメニューを作っておく ゼロの日を減らす
移動中

先に決めておくこと:読む論文、聞く音声、復習するメモを決めておく。

狙い:スマホを開いた瞬間の迷いを減らす。

30分だけ空いた時

先に決めておくこと:短時間でできるタスクを用意しておく。

狙い:まとまった時間がないことを言い訳にしない。

疲れている日

先に決めておくこと:最低ラインのメニューを作っておく。

狙い:ゼロの日を減らす。

努力が続く人は、毎回かっこよく決断しているわけではありません。

決断しなくていいように、先に決めています。

まなぶ先生
まなぶ先生

「やる気が出たらやる」じゃなくて、「この場面ではこれ」まで決める感じですね。

瀬谷崎
瀬谷崎

そうです。やる気待ちは、だいたい来ないです。来てもすぐ帰ります。

時間を空けるのではなく、先に置いてしまう

「時間ができたら勉強する」は、かなり弱い予定です。

時間は、できません。だいたい何かで埋まります。

だから、先に置いてしまいます。

火曜と金曜の朝は30分だけ復習する。昼休みの後半10分はカルテの振り返りをする。寝る前に1ページだけ読む。

大きな予定にしなくていいです。むしろ最初は小さい方が続きます。

  • 何曜日にやるかを決める
  • 何時から何時までかを決める
  • その時間にやる内容をひとつだけ決める
  • できなかった時の最低ラインも決める
  • 予定表に入れて、毎回考えないようにする

勉強も練習も、「いつかちゃんとやる」だと始まりません。

ちゃんとしなくていいので、先に置く。ここが大事です。

他人をうまく使う

ひとりで頑張れるなら、それはそれで最高です。

でも、多くの人はひとりだとサボります。僕も含めて、普通にサボります。

だから、他人をうまく使います。

勉強会を約束する。進捗を共有する。先輩に見てもらう。同僚と同じ課題をやる。

人に見られているだけで、行動のハードルは少し下がります。

注意点

ただし、誰と組むかは大事です。サボる人同士で集まると、安心して一緒にサボれます。これはこれで楽しいですが、目的とはズレます。

人間関係をプレッシャーとして使いすぎると苦しくなります。

でも、適度な約束や報告は、習慣化の助けになります。

未来の自分を、あまり信用しすぎない

決意した瞬間の自分は、だいたい強気です。

「今度こそやる」「絶対続ける」「もうサボらない」

ただ、未来の自分は別人です。疲れているし、眠いし、予定も入ります。急に面倒になります。

だから、やる気が高い時に、未来の自分が逃げにくい仕組みを作っておきます。

未来の自分を信じるのは大事ですが、信用しすぎると危ないです。信用しないからこそ、予定、約束、罰則、環境を先に作ります。

たとえば、やらなかったら誰かに報告する。小さな罰金を設定する。SNSで宣言する。先に勉強会の予定を入れる。

罰は強すぎる必要はありません。

「ちょっと嫌だな」と思うくらいで十分です。現実的に実行できるラインにしておく方が効きます。

きれいごとではなく、自分の欲を使う

努力を続けるには、目的が必要です。

ただ、その目的がきれいすぎると弱いことがあります。

患者さんのため。業界のため。社会のため。もちろん大事です。

でも、それだけで毎日ずっと頑張れる人ばかりではありません。

もっと稼ぎたい。認められたい。自由な時間がほしい。かっこよく仕事がしたい。後輩にちゃんと教えられる人でいたい。

そういう少し生々しい欲も、行動の燃料になります。

きれいにしすぎない

自分の欲を雑に否定しなくていいです。大事なのは、その欲を患者さんへの誠実さや技術の向上につなげることです。

努力の先にある未来が、リアルに魅力的だと、今の行動にも少し意味が乗ります。

ちょっと乱暴な言い方をすれば、「努力している自分に脳汁が出る」状態です。

ここまでくると、努力は我慢ではなく、だんだん快感に近づきます。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、患者さんへの説明や施術の質を上げるために、学び続けることを大切にしています。

ただ、学び続けると言っても、毎日根性で耐えるような形では長続きしません。

必要なのは、続けられる仕組みを作ることです。

問診の振り返り、検査の精度、説明の言葉、施術の選択。こうしたものは、少しずつ積み重ねるしかありません。

瀬谷崎の考え方

努力を美談にしすぎると、続かない人を責める話になります。大事なのは、努力できる人間になることより、努力が勝手に続く配置を作ることです。

まずは、かなり小さく始める

習慣化で失敗しやすいのは、最初から大きく始めることです。

毎日2時間勉強する。毎朝5時に起きる。毎日発信する。毎晩論文を読む。

燃えている時はできます。でも、普通の日には重いです。

最初は、拍子抜けするくらい小さくていいです。

  • 本を1ページだけ読む
  • 症例メモを1行だけ書く
  • 通勤中に1つだけ復習する
  • 週に1回だけ同僚と振り返る
  • 寝る前に明日やることを1つだけ決める

小さすぎるくらいで始めて、続いてきたら少し増やす。

派手さはありませんが、長く続けるならこの方が強いです。

努力は、才能よりも配置で変わる

努力が続かない時、自分を責める前に、仕組みを見直した方がいいです。

何をやるか決まっているか。いつやるか決まっているか。誰かに見られているか。未来の自分が逃げにくい形になっているか。目的が自分にとってちゃんと魅力的か。

根性だけで続けるのは、かなり大変です。

でも、環境を整えて、行動を小さくして、2ヶ月くらい続ける前提で設計すると、努力は少しずつ自動化されていきます。

瀬谷崎
瀬谷崎

頑張れる人を目指すより、頑張らなくても始まる形を作る。その方が、結局いちばん強いと思います。

参考

  • Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology. 2010.
    University of Surrey
  • Frederick S, Loewenstein G, O’Donoghue T. Time Discounting and Time Preference: A Critical Review. Journal of Economic Literature. 2002.
    American Economic Association
  • Gardner B. A review and analysis of the use of habit in understanding, predicting and influencing health-related behaviour. Health Psychology Review. 2015.
    PMC
瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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