産後の授乳で強まった右の首から肩の痛みが施術を経て出なくなった例(20代女性)
主訴
2026年7月18日、右の首から肩にかけての痛みでご来院されました。1年ほど前から少しずつ気になり始めていた症状が、出産後に特に強くなり、授乳中の姿勢で悪化することにお困りでした。首や肩を動かしたときの痛みはなく、下を向いた姿勢が続いたあとに痛みが出てくる状態でした。
当院の評価
患者様への説明
首や肩を動かす検査では痛みは出ませんでした。肩が前に巻き込まれた姿勢と、首を前に曲げた姿勢が続くと症状が強まることから、肩甲骨を外側に開く胸の前の筋肉(小胸筋など)と、首を前に曲げる筋肉が張り続けていることが主な要因と考えました。授乳のあいだ赤ちゃんを見るために下を向き続ける姿勢が、この張りを積み重ねていると判断しました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】授乳中など下を向く姿勢が続くと右の首から肩が痛む/動作そのものでの痛みはなし 【所見】頚部・肩関節の動作痛なし、巻き肩様の姿勢と頚部屈曲位の持続で症状増悪
身体機能評価
肩甲骨外転筋群(小胸筋など)の緊張/頚部屈筋群の緊張/右の僧帽筋上部の張り/肩甲骨が外に開いた位置での固定
判断
動作で痛みが出ないことから、関節や筋肉の損傷よりも、下を向いた姿勢を長く続けることで肩甲骨を外に開く筋肉と首を前に曲げる筋肉が張り続け、右の首から肩の筋肉に負担が集まっていることが主な要因と判断しました。産後の授乳で下を向く時間が長くなったことが、症状を強めたきっかけと考えました。
施術の様子
患者様への説明
はじめの3回は、肩を前に巻き込む胸の前の筋肉(小胸筋など)と、首を前に曲げる筋肉をゆるめることを中心に行いました。その後は、肩の後ろや腕の筋肉(棘下筋・三角筋・上腕三頭筋)への施術も加え、肩甲骨を安定させる筋肉(肩甲下筋)のトレーニングをセルフケアとしてお伝えしました。症状が落ち着いてからは、肩甲骨を支える僧帽筋のトレーニングを中心に、授乳の姿勢で張りが戻らない体づくりを進めています。
専門的内容
【手技療法】初回〜3回目は肩甲骨外転筋群(小胸筋など)・頚部屈筋群のリラクゼーション中心/4回目以降は棘下筋・三角筋・上腕三頭筋への施術/【物理療法】初回に電気療法/【運動療法】肩甲下筋のトレーニングをセルフケアで実施、症状が落ち着いてからは僧帽筋のトレーニングを中心に
施術の経過
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初期
初回から3回目までで、授乳中に出ていた強い痛みは出なくなりました。この時期は胸の前と首の前の筋肉をゆるめることを中心に進め、下を向く姿勢が続いても張りが強まりにくい状態をつくりました。
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中期
4回目から5回目にかけては、肩の後ろや腕の筋肉への施術と、肩甲下筋のトレーニングをセルフケアとして加えました。授乳のあとに残る痛みはほとんど気にならない程度になりました。
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後期
7回目には、右の首から肩の痛みは出なくなりました。現在は僧帽筋のトレーニングを中心に、ご自宅でのセルフケアを続けながら、再発予防のメンテナンスで通っていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+物理療法 990円
2回目以降の料金
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通院の目安
施術回数
7回(その後は再発予防のメンテナンスで継続中)
施術期間
7回目で症状が出なくなり、その後はセルフケアを続けながら再発予防のメンテナンスを継続中
ここでは、この症例の記録とは別に、「授乳など下を向く姿勢が続いたあとに、片側の首から肩にかけて痛みが出る状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
動かしても痛くないのに、どうして首から肩が痛くなるの?
首や肩を動かしたときに痛みが出ない場合、関節や筋肉を傷めているというより、同じ姿勢が長く続くことで特定の筋肉が張り続け、血流が滞って痛みとして感じていることが多いと考えられています。授乳中は赤ちゃんを見るために下を向き、肩が前に巻き込まれた姿勢になりやすく、肩甲骨を外側に開く胸の前の筋肉と首を前に曲げる筋肉が張り続けやすいと言われています。
産後に首や肩の痛みが強まりやすい理由
産後は授乳や抱っこで下を向く時間が長くなるうえ、睡眠が細切れになり、体を休める時間も限られます。妊娠前からあった軽い張りが、産後の姿勢と疲労の積み重ねで痛みとして表に出てくることがあると考えられています。この症例の方も、1年ほど前から気になっていた症状が、出産後に特に強くなっていました。
ゆるめるだけでなく、支える筋肉を育てる意味
張り続けている筋肉をゆるめると痛みは軽くなりやすいですが、下を向く姿勢そのものは育児のあいだ続きます。肩甲骨を後ろから支える筋肉(肩甲下筋や僧帽筋)のトレーニングをセルフケアとして続けることで、同じ姿勢が続いても張りが戻りにくい状態を目指す進め方が取られることがあります。育児中は通う間隔が空きやすいため、ご自宅でできるケアを組み合わせることが大切と言われています。
授乳中や下を向く姿勢のあとに出る首から肩の痛みは、動かして痛いかどうかを確かめたうえで、肩甲骨を外側に開く胸の前の筋肉の張りと、肩甲骨を支える筋肉の働きを確かめることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
鈴木 英二産後は授乳や抱っこで下を向く時間がどうしても長くなり、首や肩に負担が集まりやすい時期です。動かして痛むのか、姿勢が続くと痛むのかで進め方は変わりますので、まずは状態を一緒に確かめさせてください。育児の合間にできるケアも含めてご提案します。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 授乳や抱っこのあとに首から肩が痛くなる
- 動かしたときより、同じ姿勢が続いたあとに痛みが出る
- 肩が前に巻き込まれた姿勢になりやすい
- 出産後に首や肩の痛みが強くなった
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 授乳のあとは、胸を軽く開いて肩甲骨を後ろに寄せる動きを数回行う
- 授乳クッションなどで赤ちゃんの位置を高くし、下を向く角度を小さくする
- 下を向く時間が長くなったら、一度顔を上げて首の前を伸ばす時間をつくる
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれが出る、力が入りにくい
- 発熱や激しい頭痛を伴う
- 転倒や強い衝撃のあとに首の痛みが出た
- 安静にしていても、夜間も痛みが強く続く
- 産後の体調不良(発熱・強い倦怠感など)を伴っている
よくある質問
授乳中の首から肩の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、初回から3回目までで授乳中の強い痛みが出なくなり、4回目から5回目にかけてほとんど気にならない程度になりました。7回目には痛みが出なくなり、現在は再発予防のメンテナンスで通っていただいています。経過には個人差があります。
首から肩が痛いのに、胸の前の筋肉を施術したのはなぜですか?
この症例では、肩が前に巻き込まれた姿勢が続くことで、肩甲骨を外側に開く胸の前の筋肉が張り続け、その結果として首から肩の筋肉に負担が集まっていました。胸の前と首の前の筋肉をゆるめることで、首から肩にかかる負担を減らしていきました。
授乳をしている間は、痛みがまた戻ってしまいますか?
この症例では、張っていた筋肉をゆるめたあと、肩甲骨を支える筋肉のトレーニングをセルフケアとして続けていただきました。下を向く姿勢は育児のあいだ続きますので、支える筋肉を育てながら、再発予防のメンテナンスで状態を確かめています。
鈴木 英二産後の授乳で強まる首から肩の痛みは、下を向く姿勢と肩甲骨の位置から確かめることで、進め方が見えてきます。育児中で通う時間が限られる方も、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








授乳中は赤ちゃんを見るためにどうしても下を向く時間が長くなり、肩が前に巻き込まれた姿勢が続きます。この方は動かしたときの痛みがなく、姿勢が続いたあとに痛みが出るタイプでしたので、まずは張り続けていた胸の前と首の前の筋肉をゆるめ、そのうえで肩甲骨を支える筋肉のトレーニングをセルフケアとして続けていただきました。育児中は施術の間隔が空くこともありますので、ご自宅でできるケアを一緒に決めていくことを大切にしています。