電気刺激療法は強ければ効く?出力設定と刺激強度の考え方

電療の強さは、我慢比べではない

電気刺激療法では、出力を上げれば上げるほど効果が出るわけではありません。狙う反応によって、感覚レベルで止めるのか、筋収縮を出すのか、不快感が出る手前で止めるのかを分けて考えます。

電気刺激療法の強度と閾値レベルのイメージ図
電気刺激療法の強度は、無感覚、感覚閾値、運動閾値、疼痛閾値のように段階で考えると整理しやすくなります。
この記事について

電療では、周波数やパルス幅だけでなく、出力の強さも重要な設定です。ここでは、感覚閾値、運動閾値、疼痛閾値の違い、Aδ線維への刺激を考える際の出力、患者さんに合わせた強度調整を整理しています。

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髙原佑輔

電気刺激は、強ければ強いほど良いわけではありません。狙う効果によって、必要な出力のレベルは変わります。

結論:電気刺激療法の強度は、効果を出すための設定であって、患者さんに我慢してもらうためのものではありません。目的に合わせて、感覚閾値・運動閾値・疼痛閾値を使い分けます。

電療の出力は重要な設定のひとつ

電気刺激療法では、機器の種類、周波数、パルス幅、通電時間、電極配置などを見ます。その中で、出力の強さもかなり大切な設定です。

同じ機器、同じ電極配置でも、出力が変われば身体に起こる反応は変わります。ピリピリと感じるだけなのか、筋収縮が出るのか、関節運動まで起こるのか、不快感や痛みが出るのか。ここを分けて見ます。

Chapter 1強くすれば良いわけではない

電療でよくある誤解が、「強く当てた方が効く」という考え方です。たしかに、目的によってはしっかりした刺激が必要な場面もあります。

ただし、狙いが感覚入力なのに筋収縮が強く出ている、痛みを落ち着かせたいのに不快感が強い、関節運動まで出て患者さんが身構えている。こうなると、出力を上げたことが逆にマイナスになることがあります。

強度は「どれだけ上げられるか」ではなく、「どの反応を狙っているか」で決めます。患者さんが我慢している時点で、目的からズレていることがあります。

Chapter 2閾値レベルで整理する

電気刺激の強度は、閾値で見ると整理しやすくなります。まず何も感じない無感覚レベルがあり、そこから電気刺激を感じる感覚閾値、筋収縮がみられる運動閾値、関節運動が出るレベル、不快感や痛みを伴う疼痛閾値へと上がっていきます。

どのレベルが良いかは、目的によって変わります。感覚入力を狙うのか、筋収縮を狙うのか、疼痛抑制を狙うのかで、適切な強度は同じではありません。

強度レベル 身体の反応 見方
無感覚 刺激をほとんど感じない 狙う反応が出ていない可能性がある
感覚閾値 ピリピリ、トントンなど電気刺激を感じる 感覚入力を狙う時に基準になりやすい
運動閾値 筋収縮がみられる 筋の反応を狙う場合に使う。感覚刺激が目的なら強すぎることもある
関節運動あり 電気刺激で関節が動く 目的によっては必要だが、防御性収縮や不快感に注意する
疼痛閾値 痛みや不快感が出る 患者さんに我慢させる設定になっていないか見直す

Chapter 3Aδ線維への刺激を考える時

Aδ線維への通電では、運動閾値レベル以下が適切とされています。

Aδ線維は痛みの伝達や疼痛調整の文脈で出てくる線維です。ただし、実際の刺激の入り方は、波形、周波数、パルス幅、電極の位置、皮膚抵抗、患者さんの感受性によって変わります。

そのため、臨床では「Aδ線維だから強くする」と単純には考えません。関節運動や強い筋収縮を出したいわけではない場合、運動閾値以下に抑えて、狙う刺激を丁寧に調整する考え方が大切です。

設定の考え方

Aδ線維への刺激を考える時も、強い出力が正解とは限りません。筋収縮や関節運動を出す必要がないなら、運動閾値以下で刺激を調整する選択があります。

Chapter 4強すぎる刺激で起こりやすいこと

出力を上げすぎると、患者さんが身構えたり、筋が過剰に収縮したり、刺激後に疲労感や違和感が残ることがあります。電療の反応が強いほど、効果も強いとは限りません。

特に痛みが強い患者さん、刺激に敏感な患者さん、知覚過敏がある患者さんでは、強い電気刺激が不快感につながりやすいです。安心して受けられる範囲で調整します。

  • 患者さんが我慢していないか確認する
  • 目的に合わない筋収縮が出ていないか見る
  • 関節運動が必要かどうかを判断する
  • 痛みや不快感が出たら強度を下げる
  • 施術後の違和感や疲労感を確認する

Chapter 5患者さんごとに感じ方は違う

同じ出力でも、患者さんによって感じ方はかなり違います。皮膚の状態、汗、電極の位置、筋量、痛みの強さ、緊張、知覚の左右差でも反応は変わります。

そのため、機器の数字だけで決めるのではなく、患者さんの感じ方と身体の反応を見ながら調整します。「少し感じる」「心地よい」「筋肉が動く」「痛い」など、どの段階にいるのかを確認します。

安全管理

電療は、禁忌や注意点を確認したうえで行います。体内電子機器、皮膚トラブル、知覚障害、妊娠部位、悪性腫瘍が疑われる部位などは、機器の添付文書や院内ルールに沿って慎重に判断します。

出力は、狙う反応から逆算する

電療の強度は、患者さんの我慢できる限界まで上げるものではありません。感覚入力を狙うのか、筋収縮を狙うのか、疼痛調整を狙うのか。目的から逆算して出力を決めます。

出力は、周波数やパルス幅と同じように治療設定の一部です。なんとなく強くするのではなく、狙いに合ったレベルで止めることが大切です。

強さより、狙いに合っているか

電気刺激療法では、強ければ強いほど良いわけではありません。必要な強度は、狙う効果によって変わります。

感覚閾値、運動閾値、疼痛閾値を整理し、患者さんの感じ方と身体の反応を見ながら出力を合わせる。ここを丁寧に見ることで、電療はより目的のある施術になります。

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髙原佑輔

電療の強度は、上げることより合わせることが大切です。目的に合う反応が出ているかを見ながら、患者さんごとに調整します。

補足

電気刺激の反応は、出力だけでなく、周波数、パルス幅、波形、電極配置、皮膚抵抗によって変わります。強度だけで効果を判断せず、設定全体と患者さんの反応を合わせて見ます。

髙原佑輔
株式会社とんとん/とんとん整骨院。店舗統括・物理療法指導責任者。柔道整復師。

2014年より整形外科に勤務し、骨折・捻挫など多数の外傷症例を経験。勤務先で出会った患者の「私、ここの病院に30年通ってるの」という一言をきっかけに、「症状を抑え続ける」のではなく「通院に頼らない身体づくり」を追求するようになる。その後、大手整骨院グループの技術統括責任者を経て現職。現在は、とんとん整骨院グループを統括し、物理療法の品質管理・スタッフ指導を担うほか、noteでは物理療法やテーピングに関する技術情報の発信にも取り組んでいる。

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