両腕のしびれ、原因は鎖骨まわりの圧迫か。症例をスタッフで検討

腕のしびれ、なぜ「鎖骨まわり(胸郭出口)」に着目したのか

1つの症例を、担当した鈴木英二先生(とんとん整骨院 東武練馬店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。両腕から手に続くしびれ。腕そのものでなく、鎖骨まわりの神経の通り道(胸郭出口)に出どころを見た判断について、首の神経や全身性との鑑別も含め、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、両腕から手にかけてのしびれで来院した50代の女性。子育て中で、手をつないで歩く場面で症状が出る方の症例です。しびれを伴うため、鑑別を含めて見ていきます。

症例カルテ:両腕のしびれ、鎖骨まわり(胸郭出口)に着目
今回検討する症例(担当:鈴木先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=両腕から手にかけてのしびれと痛み(50代・女性)。所見=肩を下げて胸を張る姿勢で悪化、肩甲骨の下制、握力の低下、僧帽筋上部の延長、斜角筋・小胸筋・鎖骨と肋骨の間のすき間での圧迫条件で症状が増す。きっかけ=子どもと手をつないで少し前を歩く姿勢、リュックを背負う姿勢。対応=上腕二頭筋への手技で肩甲骨の下制を抑え、小胸筋のストレッチで神経の圧迫を減らし、斜角筋への手技、経過を見て僧帽筋上部のトレーニング。経過=散歩やリュック使用時のしびれが段階的に軽減。現在は再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

両腕のしびれ、原因は鎖骨まわりでの神経の圧迫(胸郭出口)か

主訴は両腕のしびれ。けれど鈴木先生は、腕そのものより、鎖骨まわりの神経の通り道に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

鈴木先生鈴木先生

主訴は両腕から手のしびれでした。所見をとると、肩を下げて胸を張る姿勢で悪化して、鎖骨と肋骨の間のすき間が狭まる条件で症状が強まりました。腕そのものより、鎖骨まわりの神経の通り道、胸郭出口に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

両腕のしびれで、鎖骨まわりに目を向けたのは何が根拠だったんですか。

鈴木先生鈴木先生

肩を下げて胸を張ると症状が出て、姿勢を戻すと和らぎました。子どもと手をつないで歩くときや、リュックを背負ったときに出るのも、肩が下がって神経が引っぱられ圧迫される、という像と一致したんです。だから断定でなく、その条件で確かめながら進めました。

腕のしびれで見逃せない、首の神経や全身の原因との鑑別

しびれは出どころを分けることが先決です。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

両側のしびれですよね。首の神経の問題や、全身からくるしびれ、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

鈴木先生鈴木先生

そこは慎重にみました。首を詰める姿勢でなく肩を下げる姿勢で増えること、特定の姿勢で再現して戻すと和らぐことから、鎖骨まわりの条件が強いと考えました。全身性が疑わしいときや、力が入らない・進行するしびれがあるときは、医療機関の受診をご案内する前提です。

瀬谷崎瀬谷崎

しびれは、首からなのか、もっと末梢なのか、全身からなのかを分けたいですよね。姿勢で再現して戻ると和らぐなら、通り道の条件が強い。それでも複数の原因が重なること(ダブルクラッシュ)もあるので、頭の隅に置いて経過をみたいところです。順序は妥当だと思います。

神経の通り道を広げる介入と経過

腕を直接どうにかするのでなく、という発想が今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

腕そのものでなく、肩や胸まわりの姿勢から変えていったんですね。

鈴木先生鈴木先生

はい。肩甲骨が下がりすぎないよう上腕や胸の筋肉をゆるめ、小胸筋を伸ばして神経の通り道を広げました。経過を見て、肩を支える僧帽筋上部を使えるようにしています。散歩やリュックのときのしびれが落ち着いてきました。

瀬谷崎瀬谷崎

神経の通り道のすき間を、姿勢の面から広げにいっているのが要点ですね。下がった肩を戻し、圧迫の条件を減らす。日常の場面でのしびれが減った経過も、その方向を支持しています。ただ生活の姿勢が影響するので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:鎖骨まわりと姿勢からとらえる腕のしびれの出どころ

所見という事実(肩を下げる姿勢での悪化・特定の条件で再現し戻すと和らぐこと・握力の低下)と、経過という結果(散歩やリュック使用時のしびれの軽減)。この両方が、「腕そのものでなく鎖骨まわりでの神経の圧迫(胸郭出口)に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。しびれは首・末梢・全身を分けることが前提で、複数の原因が重なる可能性も頭に置く。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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