疲れがたまると出る頭痛、薬に頼りがちだった頭痛をどう考えるか。症例をスタッフで検討

疲れると出る頭痛、なぜ「頭の位置と首の負担」に着目したのか

1つの症例を、担当した中村拓真先生(とんとん整骨院 東武練馬店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。疲れがたまると強くなり、薬に頼りがちだった頭痛。頭そのものでなく、頭の位置と首の負担に出どころを見た判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、ずっと前から頭痛があり、疲れがたまると強くなる40代の女性。強いときは薬を飲まないと過ごせなかった方の症例です。事実と結果から見ていきます。

症例カルテ:疲れると出る頭痛、頭の位置と首の負担に着目
今回検討する症例(担当:中村先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=疲れがたまると出る頭痛(40代・女性)。背景=かなり前から頭痛があり、疲労がたまると強くなる。強いときは薬を飲まないと生活ができなかった。所見=首を後ろに反らす動きで後頭部に痛み、頸椎の伸展の制限、頚長筋(けいちょうきん・首の前側の筋肉)の筋出力低下、頭が前に出る姿勢(頭部前方偏位)。とらえ方=頭が前に出ることで首の後ろの筋肉の負担が増し、緊張が大後頭神経(だいこうとうしんけい)を刺激していた可能性があると考えた。対応=首の後ろの筋肉と肩甲骨まわりをゆるめる手技、肩甲骨の動きを引き出す手技、背中の筋力づくり、自宅での小胸筋ストレッチ。経過=1〜3回で頭痛のない日が出てきて、出ても以前ほど強くない。4〜5回でほぼ感じにくくなり、薬を使わずに過ごせる日が増えてきた。現在は再発予防を継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

疲れると出る頭痛、原因は頭の位置と首の負担か

主訴は疲れると出る頭痛。けれど中村先生は、頭そのものでなく、頭の位置と首の負担に出どころがあるのではないか、と考えました。その根拠を確かめます。

中村先生中村先生

主訴は疲れがたまると出る頭痛でした。所見をとると、頭が前に出る姿勢で、首を後ろへ反らす動きが制限され、後頭部に痛みが出ました。首の前側の筋肉も働きにくくなっていた。頭そのものでなく、頭の位置と、それで増す首の後ろの負担に出どころがあるのではないか、と考えました。

まなぶ先生まなぶ先生

頭痛なのに、首や姿勢に目を向けるのですね。

中村先生中村先生

頭が前に出ると、重い頭を首の後ろの筋肉が支え続けることになります。疲れがたまるとその緊張が強まり、首の後ろを通る神経を刺激しやすくなる。疲れたときに強くなる、後ろを反らすと後頭部が痛む、という出かたと、その像が合っていました。

どんな頭痛かをまず分ける。危険な頭痛を見落とさない

頭痛は、まず急いで確かめるべきものを外したいところです。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

頭痛は、見落としてはいけないものをまず分けたいですよね。これまでと様子の違う急な激しい頭痛、手足のしびれやろれつのまわりにくさ、発熱や吐き気を伴うもの、だんだん強くなるものといった、すぐに医療機関へ相談すべき様子はなかったですか。

中村先生中村先生

そこは確認しました。急に始まる激しい頭痛や、神経の症状、発熱を伴うものではなく、長く繰り返してきた頭痛で、疲労や姿勢に伴って変わるものでした。こうした様子があれば、まず医療機関への受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめたうえで、首と姿勢の負担という見方で進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

頭痛はまず、危険なものを外すのが大前提ですよね。急な激しい頭痛や神経症状、発熱を伴うものは医療機関へ。そこを外したうえで、繰り返す頭痛の背景にある頭の位置と首の負担をとらえる。薬で痛みをやわらげることと、負担そのものを減らすことは別、という整理も大切だと思います。

薬に頼りすぎないために、負担を減らす介入と経過

薬で痛みをやわらげるだけでなく、負担そのものを減らす、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

薬を飲まないと過ごせなかった方が、変わってきたのですね。

中村先生中村先生

はい。首の後ろや肩甲骨まわりの緊張をゆるめ、頭が前に出る姿勢を支える背中の筋力をつけていきました。1〜3回で頭痛のない日が出てきて、続ける中で薬を使わずに過ごせる日が増えてきています。疲れがたまりやすい方なので、姿勢づくりと首まわりのケアを続けてもらっています。

瀬谷崎瀬谷崎

薬は痛みをやわらげる助けですが、頭の位置と首の負担が残れば、疲れたときにまた出やすい。負担そのものを減らす方向に手を入れているのが要点ですね。薬を使わずに過ごせる日が増えてきた経過も、その方向を支えています。ただ疲労で出やすい方なので、無理のない範囲で続けながら見ていきたいところです。

考察:頭の位置と首の負担からとらえる、疲れると出る頭痛

所見という事実(頭部前方偏位・頸椎の伸展制限・首を反らしたときの後頭部痛・首の前側の筋力低下)と、経過という結果(頭痛のない日が増え、薬を使わずに過ごせる日が増えてきたこと)。この両方が、「頭そのものでなく頭の位置と首の負担に出どころを見た」という見立ての妥当性を支えています。頭痛はまず、急な激しい頭痛や神経症状、発熱を伴うものといった危険なものを外す。そのうえで、繰り返す頭痛の背景にある負担をとらえ、薬に頼りすぎずにすむ状態へ近づける。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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