メニュー

ご来店・ご予約

店舗一覧・アクセス 料金について はじめての方へ 交通事故・むちうち

当院を知る

症例を見る スタッフ紹介 患者様の声 当院について

症状から探す

お悩みナビ(症状別) コラム・検査ガイド

その他

お問い合わせ

子どもの怪我と栄養指導、施術者はどこまで関与するか。専門外との線引きと家族を巻き込む余地

食事の話、どこまでしていいのか。成長期の怪我と家庭という背景

成長期の子どもの怪我を診ていると、食事や生活習慣が治りに影響している印象を持つ場面があります。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスで実際に挙がった相談をもとに、栄養指導・生活指導に施術者はどこまで関与するべきかを考えます。

相談の内容はこうでした。食生活のきちんとした子のほうが怪我の治りが早い印象はある。スポーツ選手が栄養に気を配るのは当たり前になっている。ただ、実際にどこまで差が出るのかは分からない。

そのうえで、成長期の痛みや慢性化しやすい症状に対して、施術者として栄養をどこまで学び、どこまで関与するべきか迷っている、という内容です。

この迷いには2つの側面があります。栄養学をどこまで学ぶかという知識の問題と、家庭の食事にどこまで踏み込んでよいのかという職域の問題です。

まなぶ先生まなぶ先生

ストレッチや運動の相談なら答えやすいんですが、食事になると急に話しにくくなりますね。子どもの場合、日々の食事を作っているのは本人ではなくご家庭ですし。

教子先生教子先生

患者さん側は怪我を治しに来ているのであって、家庭のことに踏み込まれるとは思っていませんよね。朝ごはんを食べていますか、と聞くくらいが自然にできる範囲に見えます。

瀬谷崎瀬谷崎

私も一般論以上のことはほとんど言っていません。家庭に踏み込む気まずさより、専門家がいる領域を少しかじった程度の知識で指導していいのか、という抵抗感のほうが私の場合は大きいですね。

中途半端に語るより、一般論に留めてつなぐ

栄養学を本格的に勉強している施術者は実際に少なくありません。学んだうえで節度を持って介入できるのであれば、それ自体は望ましい方向だと考えられます。

悩ましいのは、専門知識に自信がないまま指導の形を取ってしまう場合です。自信のない領域を、あたかも専門であるかのように語ってしまうと、患者さんに対しても不誠実になります。

それなら、バランスよく食べましょうといった一般論に留め、本格的な食事指導が必要な場面では管理栄養士など専門家につなぐ。この判断は逃げではなく、職域の線引きとして妥当な選択です。

  • 学んだうえで節度を持って介入するのは十分に選択肢になる
  • 専門知識に自信がなければ、助言は一般論の範囲に留める
  • 本格的な食事指導が必要なら、管理栄養士など専門家につなぐ
  • 専門外の内容を、専門であるかのような語り方で伝えるのは避ける
前提のヘッジ

食生活と治りの早さの関係は、相談のなかでも実感レベルの話として共有されたものです。どこまで差が出るかは分からないが、やらないよりはやったほうがいい、という手触りの話であることは踏まえておきます。

それでも、痛みの全人的アプローチには栄養が含まれる

では、栄養は専門外だから無関係だと扱ってよいかというと、話は別です。IASP(国際疼痛学会)は、疼痛コントロールのための全人的アプローチの一要素として栄養を挙げています。

痛みを扱う仕事である以上、栄養は職域の外にある無縁な要素ではなく、痛みの全体像を構成する一部だという認識は持っておく必要があります。

認識の持ち方

指導はしなくても、認識は持つ。全人的アプローチの一要素に栄養が挙げられている以上、専門外であることを理由に評価の視野から外すのは避けたい、という立場です。

家庭環境の影響も同じ文脈にあります。低所得や生活リズムの乱れといった家庭環境は、慢性疼痛の発症率にも関連するとされています。食事や睡眠を含む生活全般の状態は、施術の効果に影響しうる背景要因です。

慢性疼痛というと経過した期間に目が行きがちですが、期間以外の要素から痛みを捉える視点に立つと、生活背景の持つ意味が見えやすくなります。

相談のなかでも具体的な例が挙がっていました。朝起きられずに毎日遅刻し、朝食も取れない。ストレッチを処方しても、それを行う時間が生活のなかに存在しない。こうなると栄養素の話ではなく、生活全体のリズムの話になります。

子どもだからこそ、家族経由の介入余地がある

子どもは、本人だけで食事や生活を変えることができません。食事を作るのも、朝起こすのも保護者です。ここが介入しにくさの正体ですが、裏を返せば、家族を巻き込めれば生活を変えられる余地がある、ということでもあります。

大人への食事の助言は、本人がどれだけ受け入れるかに左右されます。運動や通院の継続と同じように、合意をどう作るかの問題です。子どもの場合は、保護者の協力を得られれば生活そのものが動くため、介入の効果が出やすい可能性があります。

相談のなかで検討の余地として挙がったのは、次のような形です。

  • 保護者への簡単な説明。治りと生活の関係を一般論の範囲で伝える
  • 保護者向けの勉強会など、家族を巻き込む形の働きかけ
  • 栄養素の中身ではなく、朝食を取れる生活リズムづくりへの言及

どれも栄養学の専門知識を必要とするものではありません。語る中身は一般論のままでも、届ける相手を本人から家族へ広げるだけで、介入の性質は変わってきます。

語る範囲と、認識する範囲は別でいい

専門外の内容を専門家のように語れば、信頼を損ないます。一方で、専門外だからと視野から外せば、痛みの全体像を見誤ることになります。

指導の主役にならなくても、生活と治りの関係に気づき、必要なら専門家につなぎ、保護者に一言添える。施術者にできる関与は、この範囲だけでも治療の質に関わってきます。

瀬谷崎瀬谷崎

私自身、栄養は強い領域ではありません。だからこそ一般論より先には踏み込まずにきましたが、無関係と扱ってよい要素ではないという認識は、今回改めて持ちました。学ぶ人は節度を持って、学ばない人は認識することとつなぐ役割を。関与の形は一つではないのだと思います。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

読みもの

症例カンファレンス

症状コラム

施術・検査ガイド

とんとんブログ

交通事故・むちうちの方