坐骨神経痛で行う神経モビライゼーションとは。スライダーとテンショナーの違い
症状コラム
坐骨神経痛で大切なのは
「強く伸ばす」ことではない
坐骨神経痛に対して、神経を「伸ばす」のではなく「滑らせる」ように動かすことがあります。ただし、痛みやしびれが強い時期に無理に行うものではなく、状態に合わせた段階づけが大切です。
神経モビライゼーションは、坐骨神経の滑走性を取り戻すための選択肢です。一方で、やり方や時期を間違えると症状を強めることがあるため、自己判断で強く伸ばしすぎないことが大切です。
坐骨神経痛という言葉を聞くと、「神経が圧迫されている」「神経が引っ張られている」といったイメージを持つ方は多いと思います。
実際、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、深殿部の問題などによって、坐骨神経に関係する痛みやしびれが出ることがあります。
その中で、施術や運動の選択肢として使われることがあるのが、神経モビライゼーションです。
少し難しい名前ですが、簡単に言えば、神経が周囲の組織の中で動きやすくなるように、身体を一定の方向へ動かす方法です。

まなぶ先生

教子先生

瀬谷崎
神経モビライゼーションは、神経の動きを助ける方法
神経は、身体の中で完全に固定されているわけではありません。
腰を曲げる、膝を伸ばす、足首を反らす、首を動かす。こうした動きに合わせて、神経も少しずつ動きます。
坐骨神経の場合、腰からお尻、太ももの後ろ、ふくらはぎ、足の方へと長く走っています。そのため、腰や股関節、膝、足首の動きによって神経にかかる負荷が変わります。
神経モビライゼーションでは、この特徴を利用して、神経をやさしく動かしたり、必要に応じて少し張力をかけたりします。
坐骨神経そのものを無理に伸ばすのではなく、神経が周囲の組織の中で動きやすくなること、過敏になりすぎた反応を少しずつ落ち着かせることを狙います。
ただし、神経症状が強い時期に何でも行えばよいわけではありません。
痛みやしびれが強い、少し動かしただけで症状が広がる、動かした後に症状が残る。こういう場合は、刺激量をかなり慎重に調整する必要があります。
スライダーとテンショナーは、神経への負荷が違う
坐骨神経に対する神経モビライゼーションでは、主にスライダーとテンショナーという考え方があります。
どちらも神経に関係する動きですが、刺激の強さや目的が少し違います。
神経を端から端へ滑らせるように動かす方法です。神経全体を強く引っ張るというより、片側を緩めながら反対側を動かすイメージです。
神経に張力をかけたり、緩めたりする方法です。スライダーより刺激が強くなりやすいため、症状の反応を見ながら慎重に行います。
患者さん向けにかなり単純化すると、スライダーは「神経を滑らせる」、テンショナーは「神経に張りを作る」と捉えると分かりやすいかもしれません。
症状が強い方に、いきなりテンショナーのような強い刺激を入れると、痛みやしびれが誘発されることがあります。
坐骨神経痛に対する神経モビライゼーションは、「効きそうだから強くやる」ものではありません。症状の出方を見ながら、刺激量を選ぶものです。
スライダーは、症状が落ち着いてきた段階で使いやすい
スライダーでは、神経を一方向に強く引っ張り続けるのではなく、身体の動きを組み合わせて神経を滑らせるように動かします。
たとえば、脚を伸ばして足首を反らす動きと、首の動きを組み合わせることで、坐骨神経にかかる張りを調整します。
ポイントは、片側で神経に張りを作る時に、反対側では少し緩めるように動かすことです。
そのため、テンショナーに比べると刺激が穏やかになりやすく、症状がある程度落ち着いてきた段階で選択しやすい方法です。
スライダーは「しびれを我慢して伸ばす運動」ではありません。動かしている最中や後に症状が強く残る場合は、刺激量が合っていない可能性があります。
実際の現場では、症状の部位、しびれの強さ、腰や股関節の動き、神経症状の出方を確認しながら、どこまで動かすかを調整します。
テンショナーは、神経に張力がかかりやすい
テンショナーは、神経に張力をかける方向へ身体を動かします。
坐骨神経の場合、脚を伸ばす、足首を反らす、首を曲げるといった動きが組み合わさることで、神経に張りが出やすくなります。
この方法は、うまく使えば神経の反応を確認したり、段階的な負荷として使ったりできます。
一方で、スライダーよりも症状を誘発しやすいため、痛みやしびれが強い方に雑に行うべきではありません。

まなぶ先生

教子先生
特に、動かしている最中にしびれが強くなる、動いた後も症状が残る、翌日に悪化する場合は注意が必要です。
その場合は、首の動きを入れない、脚の角度を下げる、足首だけの動きにするなど、刺激を弱くする工夫が必要になります。
強い坐骨神経痛の最初から行うとは限らない
神経モビライゼーションは、坐骨神経痛の方に使われることがあります。
ただし、すべての坐骨神経痛に対して、最初から積極的に行うわけではありません。
たとえば、椎間板ヘルニアや深殿部由来の坐骨神経痛で、痛みやしびれがかなり強い時期は、神経そのものが過敏になっていることがあります。
その段階で無理に動かすと、かえって症状を強めることがあります。
- 痛みやしびれが少しずつ落ち着いてきている
- 動かした後に症状が長く残らない
- どの動きで症状が出るか確認できている
- 腰や股関節の動きも合わせて評価できている
- 患者さんが怖がりすぎずに動ける状態になっている
こうした条件を確認しながら、段階的に取り入れることが多いです。
坐骨神経痛に対して何をするかよりも、今その刺激を入れてよい段階なのかを見極める方が大切です。
自己流で強く伸ばしすぎない
坐骨神経痛で悩んでいる方の中には、インターネットや動画を見て、もも裏やお尻を強くストレッチしている方もいます。
もちろん、適切な運動やセルフケアが役立つことはあります。
ただ、坐骨神経痛に関しては、「伸びている感じがするから効いている」と判断するのは少し危険です。
神経が過敏な状態で強く伸ばし続けると、痛みやしびれが強まることがあります。
運動中にしびれが広がる、痛みが強くなる、動いた後も症状が残る、翌日に悪化する。このような反応がある場合は、刺激が強すぎる可能性があります。
神経モビライゼーションは、見た目だけ真似すると単なる強いストレッチに見えることがあります。
しかし実際には、首、腰、股関節、膝、足首の動きによって刺激量が変わります。
そのため、自分の状態に合う範囲を確認しながら行う必要があります。
とんとん整骨院が大切にしていること
とんとん整骨院では、坐骨神経痛に対して、症状の場所だけで判断することはしません。
腰椎由来なのか、殿部や股関節周辺の影響が強いのか、神経の過敏さがどの程度あるのか、日常生活でどの動きがつらいのかを確認します。
神経モビライゼーションを行う場合も、いきなり強く伸ばすのではなく、症状の反応を見ながら、スライダーやテンショナーの刺激量を選びます。
坐骨神経痛では「神経を伸ばす」こと自体を目的にしません。今の状態に合った刺激量で、動ける範囲を少しずつ広げることを大切にしています。
こんな方は一度ご相談ください
- お尻から太もも、ふくらはぎ、足にかけて痛みやしびれがある
- 坐骨神経痛と言われたが、何をしていいか分からない
- ストレッチをすると、かえってしびれが強くなる
- 腰を動かすと下肢症状が出る
- 症状が落ち着いてきたが、運動を再開するのが不安
急な脱力、排尿・排便の異常、足の感覚が急に鈍くなる、痛みやしびれが急速に悪化する場合などは、整骨院だけで判断せず医療機関での確認が必要になることがあります。
神経を怖がりすぎず、雑に伸ばしすぎない
坐骨神経痛に対する神経モビライゼーションには、スライダーとテンショナーという考え方があります。
スライダーは神経を滑らせるように動かす方法で、テンショナーは神経に張力をかける方法です。
どちらが良い悪いではなく、症状の段階や反応によって使い分ける必要があります。
大切なのは、痛みやしびれを我慢して強く伸ばすことではありません。
今の身体がどの程度の刺激なら受け入れられるのかを見ながら、少しずつ動ける範囲を広げていくことです。

瀬谷崎
参考動画
- 瀬谷崎 将也 | リアル治療家チャンネル「【坐骨神経】神経モビライゼーション」
https://www.youtube.com/watch?v=C7IUCr4jRFc
坐骨神経痛の症状で、どの運動をしてよいか迷う方は、店舗ページからご相談ください。












