寝違えの首の痛み、背景は肩甲骨のアライメントか。症例をスタッフで検討

寝違えの首の痛み、なぜ「肩甲骨と背中」に着目したのか

1つの症例を、担当した二宮寿己先生(とんとん整骨院 ときわ台店)と、瀬谷崎・まなぶ・教子とともに検討します。寝違えのような首から肩甲骨の痛み。痛みのきっかけと、それを起こしやすい肩甲骨・背中のアライメントを分けてとらえた判断について、所見という事実と、経過という結果から、その妥当性を確かめていきます。

とんとんでは、1つの症例を担当者だけの判断で終わらせず、スタッフ同士で検討して見方を確かめています。今回は、寝違えのような首から肩甲骨の痛みで来院した60代の男性。急な首の痛みの症例です。痛みのきっかけと、起こしやすい背景を分けて見ていきます。

症例カルテ:寝違えの首の痛み、肩甲骨と背中に着目
今回検討する症例(担当:二宮先生)。詳しい経過は症例レポートに掲載しています。
事実:所見と経過

主訴=首から肩甲骨にかけての痛み(寝違え/60代・男性)。所見=座位で痛みとだるさ、右回旋でズキッと痛む、頸背部の圧痛、肩甲骨まわりの筋の短縮とオーバーユース、背中の筋の出力低下、胸椎の可動域制限。背景に肩甲骨の位置のくずれ。対応=小胸筋・前鋸筋・肩甲挙筋への手技、患部の鍼と運動鍼、頸椎・胸椎の運動療法、疼痛緩和の電気施術、姿勢の確認。経過=筋の痛みが早期に治まり、肩甲骨の動きが改善。現在は月1回のメンテナンスを継続。
※経過には個人差があり、すべての方に同じ変化を保証するものではありません。気になる症状は医療機関への受診もご検討ください。

寝違えの首の痛み、起こしやすい背景は肩甲骨と背中のアライメントか

主訴は寝違えのような痛み。けれど二宮先生は、痛みのきっかけと、それを起こしやすい背景を分けて考えました。その根拠を確かめます。

二宮先生二宮先生

主訴は寝違えのような首から肩甲骨の痛みでした。きっかけは無理な姿勢での睡眠ですが、所見をとると肩甲骨の位置がくずれ、背中の筋が弱って働きにくくなっていました。痛みそのものと、起こしやすい背景は分けて考えたいと思いました。

まなぶ先生まなぶ先生

寝違えはきっかけが睡眠ですよね。それでも肩甲骨や背中に目を向けたのはなぜですか。

二宮先生二宮先生

同じように寝ても痛める人とそうでない人がいます。この方は肩甲骨が動きにくく、背中の筋が弱くて首肩に負担が集まりやすい状態でした。だから今回の痛みを治めることと、起こしやすい背景を整えることは別だと考えて進めました。

寝違えで見逃せない、急いで受診すべきサインとの鑑別

急性の首の痛みでは、危険なものを先に外しておく必要があります。教子先生がそこを確認しました。

教子先生教子先生

急性の首の痛みですよね。腕のしびれや力の入りにくさ、強い頭痛や発熱といった、急いで受診すべきサインは外せていましたか。

二宮先生二宮先生

そこは確認しました。腕への神経症状や全身のサインはなく、症状は首肩の筋肉の痛みと動作時の痛みに限られていました。こうしたサインがあれば医療機関の受診をご案内します。今回はそれらがないことを確かめて進めました。

瀬谷崎瀬谷崎

急性の首の痛みは、まず危険なものを外すのが第一ですよね。そのうえで、痛みの強い時期は無理に動かさず、炎症が落ち着いてから動きを戻していく。順序が妥当だと思います。きっかけと、起こしやすい背景を分けて見ているのもいいですね。

寝違えの痛みを治め、再発しにくい体にする介入と経過

その場の痛みだけで終わらせない、というのが今回の要点でした。

まなぶ先生まなぶ先生

その場の痛みだけでなく、起こしやすさまで見ていったんですね。

二宮先生二宮先生

はい。痛みの強い時期は鍼や電気で患部を落ち着かせて、治まってから肩甲骨まわりをゆるめ、胸椎や肩甲骨の動きを引き出しました。背中を支える筋を使えるようにして、姿勢の確認も続けています。今は月1回のメンテナンスです。

瀬谷崎瀬谷崎

痛みを治めることと、くり返さない体づくりを分けて進めているのが要点ですね。痛みの強い時期は守り、落ち着いてから動きと姿勢を整える。月1回で保てているのも、その方向を支持しています。ただ生活の影響が大きいので、続ける前提で見ていきたいところです。

考察:肩甲骨と背中の動きからとらえる寝違えの背景

所見という事実(肩甲骨の位置のくずれ・背中の筋の弱さ・胸椎の制限)と、経過という結果(筋の痛みが早期に治まり、肩甲骨の動きが改善したこと、月1回で保てていること)。この両方が、「痛みのきっかけと、起こしやすい肩甲骨・背中のアライメントを分けてとらえた」という見立ての妥当性を支えています。きっかけと背景は別物として扱い、急性期はまず危険なものを外す。この症例では、その姿勢が妥当だったと言えます。

※本記事は実際の症例をもとにスタッフで検討したものです。経過には個人差があり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。強い痛みやしびれ、安静時にも続く痛み、力が入りにくいなどがあるときは、医療機関への受診もご検討ください。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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