頸椎カラーはいつまで着ける?神経根症の固定と早期運動のバランス
セラピスト向け
着けていると安心な頸椎カラーを、どう外していくか
頸椎神経根症の患者さんに整形外科で処方された頸椎カラー。着けて楽になる実感はないものの、運転中に車が揺れるときは安心だと言います。できるだけ着けていてほしいという医師のニュアンスと、固定を長引かせたくない施術者の見立て。この間をどう埋めるかを考えます。
このケースは、とんとんが治療家向けに開いているオンラインカンファレンスで実際に挙がった相談です。はっきりした受傷機転はなく、植木の剪定で長時間上を向いた翌日ごろから腕のしびれと鈍痛が出て、数日後に夜間痛が加わって受診に至りました。
発症から2週間弱。就寝時の姿勢指導で夜間痛はほぼ消え、担当者はできるだけ着けない方向で患者さんに伝えていて、現在は運転時だけ装着している段階です。医師からは、できるだけ着けていてほしいというニュアンスの説明があったといいます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎頸椎カラーの固定力は、コルセットの比ではない
腰をコルセットやサラシでガチガチに固定しない方がいい、という話と今回の相談は地続きです。ただし条件がひとつ違います。頸椎カラーは、コルセットやサラシより固定力が強い装具だという点です。
固定力が強いぶん、長期使用の影響も大きいと考えられます。むち打ちの領域では、ガイドラインで3日程度を超えて着けないよう言われているくらいで、基本的にはカラー無しでなんとかする方向が基本線になります。むち打ちで頸椎カラーや補償が経過にどう影響するかはこちらの記事で扱っています。
頸椎カラーには「着けた方が楽」と感じる範囲を超えた固定力があります。楽になるためでなく安心のために着けているなら、装着の理由は固定ではなく不安の側にあります。働きかける相手も、装具ではなく不安の側です。
医師の処方と、施術者にできること
前提として、処方したのは医師です。医師の指示で装着している装具を、施術者の判断だけで中止させることはできません。装着期間の指定があるかを確認し、外す方向へ動かすなら医師との相談が前提になります。
そのうえで、施術者に働きかけられる余地は残っています。装着していない時間の過ごし方を提案することや、装着の理由になっている不安そのものを減らすことは、施術者の領分だからです。
場面限定使用という中間の選択肢
今回の相談で共有された方向は、着けるか外すかの二択ではありませんでした。不安が強い場面だけ着けて、他は外す。場面限定の使用を中間に置き、そこから装着場面を少しずつ減らしていく道筋です。
- 不安が強い場面を特定するこの患者さんの場合は運転中で、車の揺れが怖いという理由でした。装着が安心につながる場面を具体的に挙げてもらいます。
- その場面だけ装着し、他は外す運転時のみの装着に切り替え、日常生活と就寝時はカラー無しで過ごしてもらいます。
- 装着以外の方法に置き換える就寝時に首の下が浮いて伸展位になり寝づらいなら、タオルを巻いて隙間を埋めるなど、カラーに頼らない工夫で対応します。
- 装着場面をじわじわ減らす症状と恐怖感の推移を確かめながら、少しずつ外す時間を延ばしていきます。
画像に異常がなければ、固定より早期運動
明確な外傷があったケースでも、レントゲン上の異常や筋損傷といったレベルの所見がなければ、なんなら着けない方がいいと言われるくらいです。固定より早く動かす方向が基本になり、今回のように受傷機転のはっきりしないケースなら、なおさらだと思います。
急性の首の痛みをどう評価し、危険なサインをどう除外するかは寝違えの評価の記事で扱っています。危険なサインが除外できているなら、動かす方向へ切り替えやすくなります。
一方で、避けたいのは患者さんの恐怖や不安を増強させることです。急性腰痛では、多少痛くても動いてもらった方がいい場面すらありますが、それも不安とのバランスが取れてこそです。手のしびれが強く続くようなら、話は別として経過を確かめます。
- 頸椎カラーはコルセットより固定力が強く、長期使用はより避けたい
- 医師の処方が前提。外す方向へ動かすなら期間の確認と医師への相談から
- 不安が強い場面に限定した装着を中間に置き、少しずつ減らす
- 画像上の異常や筋損傷がなければ、固定より早期運動を優先する
- 恐怖や不安の増強は避け、機能とのバランスで進める
安心のための装具は、安心ごと置き換えていく
カラーを外せない理由が首の状態ではなく怖さにあるなら、施術者がやるべきことは装具の否定ではありません。場面を限定し、装着以外の方法で安心を作り、症状の改善と歩調を合わせて装着時間を減らしていく。患者さんの心理を含めて考える場面だと思います。
瀬谷崎





