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小学生のセーバー病・オスグッド病で靴と足裏を見る。タコとイボの見分けと靴選びの指導

子どもの足の障害、患部より先に靴と足裏を見る

セーバー病、アキレス腱炎、オスグッド病。小学生の足まわりの障害では、患部の評価と同じくらい、履いてきた靴と足裏の皮膚が多くを語ります。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスで、小学生の足裏のタコと靴の指導が話題になりました。その検討をもとに、靴・タコ・イボを診る視点を書きます。

発端は小児例の多い院からの相談でした。小学生の来院ではセーバー病やアキレス腱炎が目立ち、足部を見ると靴がきちんと履けていなかったり、足裏にまめやタコ(胼胝・べんち)ができていたりする。こうした所見は障害の発生と関係するのか、靴の指導はどこまでするのか、という問いです。

回答したセラピストの答えははっきりしていました。子どもの足の障害を診るなら、靴の履き方の指導は必ずセットにする、というものです。

まなぶ先生まなぶ先生

子どもの靴にはサイズ選びの現実問題がありますよね。成長が早いので親御さんは大きめを買いたい。ワンシーズンごとの買い替えは負担も大きいですし。

教子先生教子先生

問題はゆとりの持たせ方ですね。縦にも横にも大きい幅広・縦長の靴だと、靴の中で足が動いてしまう。かかと周り(後足部)が緩いと足は固定されません。

瀬谷崎瀬谷崎

検討でもまさに後足部の緩さが最初の論点でした。大きめを選ぶこと自体は責められません。だからこそ、履き方と選び方を私たちが伝える意味があると思います。

靴のどこを見るか。後足部の緩さと、大きすぎるサイズ

検討で挙がった観点を並べます。診察室で靴を脱いでもらったとき、あるいは持参してもらった普段の靴を手に取ったときのチェック項目です。

  • かかと周り(後足部)が緩くないか。ここが緩いと靴の中で足が動く
  • 成長を見越したゆとりが、幅広・縦長の「大きすぎる靴」になっていないか
  • ベルトやひもを締めて履いているか。かかとを踏むなど履き方の癖はないか
  • 左右で傾きの違う設計の靴を履いていないか(下で説明します)

4つめは意外に見落としやすい点です。子ども向けスニーカーには、トラックのコーナーを速く走ることをうたい、靴底に左右非対称の傾斜をつけた製品があります。前額面で見ると左右の足が逆方向に傾く設計で、片側の足だけ回内するような癖の一因になりえます。回答者は靴指導の際、この種の設計まで含めて確認すると話していました。

臨床印象として

回答したセラピストは、オスグッド病を専門的に診る院に勤めた経験があり、50〜100例ほどを見た中で、自身の見立てではほぼ全例が回内扁平足(かいないへんぺいそく)だったと話していました。検討の場で共有された臨床印象であり、対照を置いたデータではありませんが、膝の障害で足部アライメント(配列)まで下りて見る動機づけにはなります。

足裏のタコとイボ。外観が似ていて、対応が違う

足裏の皮膚で気をつけたいのが、タコ(胼胝)とウイルス性のイボ(尋常性疣贅・じんじょうせいゆうぜい)の区別です。タコは摩擦や圧の繰り返しでできる角質の肥厚、イボはウイルスの感染で起こります。成り立ちがまったく違うのに、外観では判別が難しいことがあります。

対応も分かれます。タコなら靴やインソール(オーソティックス・足底挿板)で圧と摩擦を減らす手が打てます。イボは削っても再発しやすく、皮膚科での液体窒素などの治療が必要です。人にうつる可能性もあります。

まなぶ先生まなぶ先生

ずっとタコだと思っていたものが実はイボだった、という話は検討でも出ていましたね。それだとインソールで圧を調整しても変わらないはずです。

教子先生教子先生

魚の目(鶏眼・けいがん)との区別も必要ですね。魚の目は芯が真皮の近くまで達するので痛みが強い。取るときも痛みます。

瀬谷崎瀬谷崎

私たちの土俵は圧と摩擦のコントロールまでで、皮膚病変の診断は医科の領域です。見た目で決めきれないものは、皮膚科の先生の目を借りるのが安全だと思います。

皮膚科受診をすすめる目安

削っても短い期間で再発を繰り返す。圧や摩擦の原因に対応しても変化がない。タコかイボか外観で判断がつかない。こうした場合はウイルス性疣贅の可能性を考え、皮膚科の受診をすすめてください。液体窒素などの治療は施術所では対応できない領域です。

靴が合わない、摩擦が増える、皮膚に傷がつく

では、靴とイボは無関係かというと、そうとも言い切れません。検討では、靴が合っていないと摩擦の頻度が増え、皮膚に細かな傷ができ、そこからウイルスが入りやすくなるのではないか、という推測が共有されました。証明された話ではなく、あくまで考え方の筋道です。

注意したいのは、靴を直せばタコやイボが治るとは言えないことです。検討でも、靴を直して改善するかは分からない、と明確に留保がついていました。それでも、合った靴を正しく履いて摩擦を減らすことは、障害予防の面からも皮膚を守る面からも、指導する価値のある基本だといえます。

足部スコアの受け止め方。競技特性で体は変わる

検討ではもうひとつ、足部評価のスコアをどう受け止めるかという論点が出ました。回答者の経験では、トップレベルのアスリートでも足部アライメントの点数が良い人はほとんどいなかったそうです。体は競技特性に合わせて変わるためで、点数の良さと競技力は一致しません。

例に挙がったのが水泳です。全国レベルの高校水泳選手を多く診た経験では、トップ層は回内傾向の足がそろって見られたといいます。水中での推進に適応した結果と見る一方、陸上トレーニングでは下肢のけがにつながりやすい印象も語られました。評価スコアは理想との距離ではなく、その体が背負ってきた負荷を読む材料として使う、という受け止め方です。

足裏は、その子の生活と靴の記録

施術で足を見たら真っ黒で、傷やタコだらけだった。そんな小学生が実際に来院します。足裏の皮膚には、どんな靴をどんな履き方で使い、どんな環境で過ごしてきたかが刻まれています。患部だけを追っていると素通りしてしまう情報です。

瀬谷崎瀬谷崎

セーバー病もオスグッド病も、患部の処置だけで終えると同じ負荷が繰り返されがちです。靴を脱いでもらい、足裏まで見る。タコの位置は荷重の癖を教えてくれますし、イボの疑いがあれば皮膚科へつなぐ判断ができます。子どもの足を診るときの習慣に、靴と足裏の確認を加えてもらえたらと思います。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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