なぜその肢位で、なぜそのキューイングか。頚肩部の運動療法を根拠から確かめた月1技術練習会
ANOアカデミー
動きを教える前に、選んだ理由を言えるか。8月の技術練習会より
8月の月1技術練習会のテーマは、頚肩部の運動療法でした。種目のやり方を覚える回ではなく、「なぜその肢位で行うのか」「なぜそのキューイング(声かけ・誘導)なのか」という理由の側を、根拠から確かめていく回です。
運動療法は、種目を覚えただけでは患者さんごとの条件の違いに対応しきれません。肢位とキューイングの理由まで持って初めて、目の前の患者さんに合わせて組み替えられる。そのための練習を、アカデミーでは月1回続けています。
2026年8月8日、ANOアカデミーの月1技術練習会を行いました。今回のテーマは頚肩部の運動療法です。頚肩部は確認検査の練習会でも扱ったテーマで、評価で原因の筋を絞り込んだあと、運動療法をどう当てるかまでつなげていく流れになります。

伊藤聡史
瀬谷崎なぜその肢位で行うのか。重力と代償から考える
肢位が変わると、同じ動きでも重力との関係が変わります。重力に逆らう向きなら負荷は上がり、重力を逃がす向きなら負荷は下がる。あわせて、出やすい代償運動も変わります。頚肩部の種目なら、肩をすくめる代償で肩甲挙筋や僧帽筋の上部ばかりが働いてしまい、狙った筋に入らない、というのが典型です。
練習会では、うつ伏せで腕を挙げる種目を例に、頭の位置、腕の角度、どこまで挙げるかで働く筋がどう変わるかを、実際にお互いの体で確かめながら進めました。冒頭の写真はその一場面で、肩甲骨のあたりに手を添えて、動き出しの方向を誘導しているところです。

伊藤聡史
瀬谷崎なぜそのキューイングなのか。言葉と手で収縮を導く
キューイングとは、声かけや触れ方で目的の動きを引き出す働きかけのことです。ここも「決まり文句を覚える」のではなく、なぜその伝え方なのかを確かめました。言葉での指示が増えるほど、かえって動きが硬くなる方もいます。そういう場面では、動かしてほしい場所に軽く触れる触覚のキューに切り替えるほうが、収縮が伝わりやすいことがあります。
伊藤聡史
瀬谷崎種目を覚える練習ではなく、その種目と伝え方を選んだ理由を言えるようにする練習。
根拠を元に落とし込む、月1回の場
アカデミーの技術練習会は、月1回のペースで続けています。評価で原因の筋を絞り込むところまでは、確認検査やANOテスト(エーエヌオーテスト)の練習会で繰り返してきました。今回のように運動療法まで扱うと、評価から介入までが一本の流れとしてつながってきます。
やり方だけを覚えた種目は、教わった条件の外に出ると使えなくなります。肢位の理由、キューイングの理由まで根拠を元に落とし込んでおけば、患者さんの年齢や痛みの程度が変わっても、その場で組み替えられる。地味ですが、そのための反復です。
今回は休憩なしの2時間で、予定した項目をぎりぎり全部やり切る密度でした。参加したスタッフの新谷優樹は、練習会のあと「僧帽筋を追い込まれすぎたので、もはや筋出力を発揮できません」と振り返っています。お互いの体で受け合いながら練習するので、種目の負荷設定がどれくらい効くのかも、身をもって確かめることになります。
伊藤聡史
瀬谷崎患者さんのために、研鑽を続ける
ANOアカデミーでは、オンラインカンファレンスと月1回の技術練習会を通じて、評価と介入の理由を確かめ合う場を続けています。すぐ使える種目も、それを支える根拠も、どちらも患者さんへの判断の質につながると考えて、研鑽を続けていきます。
この記事を書いた伊藤聡史は、とんとん整骨院 ときわ台店に勤務しています。東武東上線ときわ台駅すぐ。板橋区常盤台・上板橋・中板橋エリアの方が多く来院されています。





