足のしびれを調べる触覚検査とは?やり方と見方を動画で解説

下肢の触覚検査を臨床でどう使う?
しびれ・知覚異常の見方を整理

触覚検査は、単独で結論を出す検査ではありません。しびれや知覚異常を評価するうえで、MMT・腱反射・SLRなどの神経学的所見を補強するパーツとして整理します。

この記事について

下肢の触覚検査は、足のしびれ・知覚異常・感覚低下・左右差を確認し、神経根障害や末梢神経障害の評価を補強するために用いられる神経学的検査です。ここでは、検査の目的、感度・特異度、デルマトームとの照合、閉眼で行う手順、圧を強くしすぎない注意点、MMT・腱反射・SLRなど他の所見とのつなげ方をまとめています。

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伊藤聡史

触覚検査は、しびれや知覚異常の評価でよく使いますが、単独で結論を出す検査ではありません。左右差やデルマトームとの一致を見ながら、MMT、腱反射、SLRなどの所見と合わせて読むことが大切です。

結論:触覚検査は、単独で神経障害を判断する検査ではなく、他の神経学的所見や臨床症状を補強・補足するための検査として扱うのが実用的です。

しびれや知覚異常を訴える患者さんでは、触覚、痛覚、温冷覚、振動覚などの感覚に低下・過敏・左右差がないかを確認します。その中でも触覚検査は、筆やティッシュなどを用いて比較的簡便に行えるため、臨床で使われる頻度の高い検査です。

検査の概要:感覚の左右差を確認する

知覚異常検査は、感覚の入り方に左右差や低下、過敏がないかを確認する検査です。神経根障害や末梢神経障害が疑われる場面で、症状の分布や神経学的所見を整理するために用いられます。

評価の対象になる感覚には、触覚、痛覚、温冷覚、振動覚などがあります。今回の動画では、その中でも臨床で用いられることが多い触覚検査に絞って解説されています。

触覚検査の目的は、「しびれがあるか」を聞くだけでは分からない左右差や領域差を確認し、デルマトーム、末梢神経領域、MMT、腱反射、徒手検査の結果と照らし合わせることです。

評価で見るポイント

触覚検査は、神経根障害や末梢神経障害のスクリーニング、デルマトームや末梢神経領域に基づく責任高位の推定、経過観察、他の神経学的所見の解釈を補強したい場面で用いられます。

しびれ・知覚異常の確認 神経痛やしびれを訴える患者さんに対して、触覚の低下・過敏・左右差があるかを確認します。
ただし、単独で神経障害の有無を判断する性能は高くありません。
デルマトームとの照合 デルマトームや末梢神経領域に沿って感覚の変化があるかを確認します。
L5領域、S1領域など、症状分布と神経学的所見が一致するかを見る材料になります。
他の検査所見との整合性 MMT、腱反射、SLR、FNS、クロスドSLRなどの結果と合わせて、所見の整合性を確認します。
触覚検査は、結論を単独で決める検査というより、評価全体の解像度を上げるパーツです。

検査精度とエビデンスの読み方

動画内では、頸椎神経根障害に対する前向き研究と、腰椎神経根障害に対するメタアナリシスが紹介されています。共通するポイントは、感度は低く、特異度は中程度にとどまるという点です。

頸椎神経根障害
2021年 前向き研究
感度:44%
特異度:72%
陽性尤度比:1.56
陰性尤度比:0.78
陰性で可能性を低く見積もる材料としては弱く、陽性でも決定的な判断材料とは言いにくい数値です。
腰椎神経根障害
2013年 メタアナリシス
感度:32%
特異度:72%
頸椎と同様に感度は低く、特異度は中程度です。単独で状態を判断するには性能が不十分です。
障害神経根高位の判断 感度:35%
特異度:64%
高位判断の参考にはなり得ますが、デルマトームだけで責任高位を決めるのではなく、筋力・反射・誘発テストとの整合性を見る必要があります。
整理

触覚検査は、単独で可能性を低く見積もるにも、何かを特定するにも強い検査ではありません。臨床では「意思決定の主役」ではなく、他の神経学的所見を補強・補足するための検査として位置づけると扱いやすくなります。

実施手順:健側から優しく比較する

触覚検査では、患者さんの見た目の情報や予測が混ざらないように、閉眼状態で行います。また、いきなり症状側から始めるのではなく、まず健側で基準となる感覚を確認し、その後に患側と比較します。

  1. 評価する領域を決める症状の分布や疑われるデルマトームをもとに、検査する領域を決めます。動画ではL5領域を例に、足部周辺の触覚を確認しています。
  2. まず健側から確認する症状のない側、または症状の少ない側から検査を始めます。健側の感覚を基準にすることで、患側との左右差を比較しやすくなります。
  3. 閉眼状態で行う患者さんには目を閉じてもらいます。視覚情報が入ると、実際の触覚ではなく「見えているから分かる」反応が混ざるためです。
  4. 筆やティッシュで優しく触れる筆やティッシュなどを用いて、遠位から近位へ、または決めた領域に沿って優しく滑らせます。強くこすらず、触覚だけを確認する意識で行います。
  5. 患側で同じ刺激を行い左右差を聞く患側でも同じように触れ、「感じるか」「左右どちらが強く感じるか」「いつものしびれと一致するか」を確認します。

陽性所見として読みたい反応

触覚検査で見たいのは、単に「触られたかどうか」だけではありません。症状側で感覚が鈍い、過敏に感じる、左右で明らかな差がある、患者さんのいつものしびれの範囲と重なる、といった反応を他の所見と合わせて整理します。

  • 健側と比べて、患側の触覚が鈍く感じられる
  • 軽く触れただけでも過敏に感じる
  • 感覚の変化がL5、S1などのデルマトームと大まかに重なる
  • MMTや腱反射、SLRなどの所見と同じ方向の情報になる

触覚の左右差は、神経の関与を疑う所見の一つです。ただし、それだけで決めるのではなく、筋力・反射・誘発テスト・症状分布と合わせて総合的に見ます。

注意点:圧を強くしすぎない

触覚検査で特に注意したいのは、刺激の強さです。圧が強すぎたり、皮膚を強くこすったりすると、触覚だけでなく痛覚、深部感覚、振動覚などが混ざってしまいます。

触覚検査の技術的なポイントは、「分かりやすく触る」ことではなく、「触覚以外を混ぜないように優しく触る」ことです。

強い刺激であれば、患者さんは反応しやすくなります。しかし、それでは純粋な触覚の左右差や低下を見ているのか、圧刺激や痛覚への反応を見ているのかが曖昧になります。触覚検査は簡単に見えて、実際にはかなり繊細な検査です。

患者さんへの聞き方もそろえる

「触っていますか」「左右どちらが強く感じますか」「いつものしびれと同じ場所ですか」など、聞き方をそろえることも大切です。毎回質問が変わると、患者さんの答え方も変わり、左右差や経過の比較がしにくくなります。

デルマトームだけで決めつけない

感覚領域は個人差があり、教科書的なデルマトームと完全に一致しないこともあります。触覚検査で得られた情報は、筋力、反射、誘発テスト、症状の分布と合わせて読みます。

関連症状:こんな訴えと合わせて見る

  • 足やふくらはぎ、足の甲にしびれがある
  • 左右で触られた感覚が違う
  • 触られた感覚が鈍い、または過敏に感じる
  • 腰から足にかけて症状が広がる
  • MMT、腱反射、SLRなどの所見と合わせて状態を整理したい
重要

足に力が入りにくい、排尿・排便の異常がある、急に強いしびれが出た、発熱や外傷を伴う強い痛みがある場合は、まず医療機関での確認が必要になることがあります。

触覚検査は「神経学的所見を補強するパーツ」

触覚検査は、しびれや知覚異常の評価で使いやすい検査です。しかし、感度は低く、特異度も中程度であり、単独で神経障害や障害高位を判断するには不十分です。

だからこそ、触覚検査はMMT、腱反射、SLR、FNS、症状分布、日常動作での再現性と合わせて読みます。感覚の左右差や領域差が、他の所見と一致するかどうかを見ることで、評価全体の整合性を確認しやすくなります。

とんとん整骨院では、痛みやしびれのある場所だけでなく、感覚、筋力、反射、動作での症状変化を丁寧に確認し、身体の状態を多角的に見極めることを大切にしています。

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伊藤聡史

触覚検査は簡単に見えますが、圧が強すぎると痛覚や深部感覚が混ざってしまいます。優しく、条件をそろえて、他の神経学的所見と矛盾しないかを見ることで、しびれや知覚異常の評価に活きてきます。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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