腱反射とMMTを飛ばさない。神経症状の評価を練習会で繰り返す理由

「低下しているか」だけでは、神経症状は読み切れない

腱反射やMMT、知覚といった基礎評価は、神経症状を見るときの入口です。ただ練習会では、その所見が「どこの障害で出ているのか」まで一緒に考えます。なぜ基礎を飛ばさないのかを整理します。

基礎評価は、ただの確認作業ではありません。腱反射・知覚・MMTを丁寧に取れることが、神経症状の鑑別を進める近道になりやすいと考えています。

神経症状の評価というと、特別な徒手検査から思い浮かべる先生が多いかもしれません。

しびれや力の入りにくさを訴える患者さんを前にすると、どうしても「効きそうな検査」から手をつけたくなる。

ただ、ANOアカデミーの練習会で繰り返し戻るのは、腱反射、知覚、MMTといった基礎的な評価のほうです。

地味に見えますが、ここが揃っていないと、その先の鑑別が足元から崩れやすい印象があります。

伊藤聡史伊藤聡史

下肢の神経症状を見るとき、腱反射やMMTを「低下しているかどうか」だけで終わらせてしまう先生が、けっこう多い印象なんです。本当は、どこの障害でその所見が出るのか、まで考えたい。

瀬谷崎瀬谷崎

大事なところですよね。同じ「反射の低下」でも、神経根のレベルなのか、もっと末梢の問題なのかで意味が変わってくる。基礎の所見を、ただのチェックで終わらせないという感覚は、僕も大切にしたいところです。

なぜ基礎評価を飛ばしてはいけないのか

徒手検査は、たしかに専門的に見えます。

ただ、整形外科的な検査だけを並べても、それぞれの精度には限界がある。いくら数字を丁寧に扱っても、僕らが事前に「真実」を知り得るわけではありません。

だからこそ、腱反射や知覚、MMTといった基礎の所見を、複数組み合わせて考える必要があると感じています。

一つの検査が陽性だからと、そこで決めつけない。基礎評価は、その「決めつけ」を防ぐための土台でもあります。

まずは基礎的な評価をマスターすることが、正確な鑑別への近道になりやすいと感じています。

「低下しているか」だけでなく「どこの障害か」

神経症状の評価で大切にしたいのは、所見の有無だけでなく、その所見が「どこの障害なら出るはずか」という視点です。

  • 反射・知覚・筋力の所見を、単独でなく組み合わせて見る
  • 「この障害ならこの所見が出るはず」という予測を立てる
  • 予測と合わない所見(矛盾)がないかを確認する
  • 神経根レベルか、より末梢かを、所見の分布から絞っていく
  • 危険なサインがないかを、評価の早い段階で確認する

神経根レベルでの絞扼か、より末梢での絞扼か。その部位で障害された場合に通常見られる所見・見られないであろう所見を拾いながら、障害部位を少しずつ絞っていきます。

学びの落とし穴

一つの所見だけを強く信じると、合わない所見を見落としやすくなります。基礎評価は、その「合わない所見=矛盾」に気づくためにも効いてきます。

伊藤聡史伊藤聡史

練習会でも、まず腱反射と知覚を丁寧に取るところから繰り返します。地味なんですけど、ここが安定すると、その先の判断が一気に楽になるんです。

瀬谷崎瀬谷崎

順番として、そこは外したくないですよね。派手な検査を覚えるより、基礎の所見をいつでも同じ精度で取れるほうが、結局は現場で効いてくる気がします。

練習会で、何度も繰り返す理由

基礎評価は、知っているだけでは現場で出せないことが多い。

だから練習会では、同じ評価を何度も繰り返します。

手順を覚えることが目的ではなく、迷っても同じ精度で取れる状態を作るためです。

「できるつもり」と「実際にできる」の間には、思った以上に差があります。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、神経症状のような難しいテーマほど、基礎に立ち返ることを大切にしています。

詳しい検査の手順や疾患ごとの見分け方は、別の記事でも整理しています。

ここで伝えたいのは、手順そのものより、基礎をどう積み上げるか、という学び方のほうです。

受講を検討している方へ

募集人数や受付状況、内容の詳細は時期によって変わることがあります。最新情報はANOアカデミー公式ページでご確認ください。

基礎評価は、神経症状を読むための地図

腱反射、知覚、MMT。一つひとつは地味な評価です。

ただ、それらを組み合わせて「どこの障害か」を読むと、神経症状はぐっと整理しやすくなります。

飛ばさずに積み上げることが、遠回りに見えて、正確な鑑別への近道だと考えています。

伊藤聡史伊藤聡史

派手な検査を一つ覚えるより、腱反射を毎回同じ精度で取れるほうが、現場ではずっと頼りになります。基礎を一緒に繰り返せる場にしていきたいですね。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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