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カーフレイズで足が内反する。足関節不安定性の段階的トレーニング

不安定な足は、順番を決めて鍛える

カーフレイズをさせると足部が内反してしまう。足関節の不安定性がありそうだとわかっても、そこから腓骨筋のトレーニングとショートフットエクササイズ、どちらを先にやればいいのか迷う場面があります。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスで実際に出た相談をもとに、足部の段階的なトレーニングの組み立て方を考えます。

相談のもとになったのは、55歳女性、左の前脛骨部にしびれ感を訴える患者さんのケースでした。以前の回で、カーフレイズの様子を見ると足関節の安定性が乏しく、足部が外側に傾いて腓骨筋まわりの緊張が強まっているかもしれない、という指摘が出ていました。

実際にカーフレイズをさせてみると、指摘どおり足部が内反する動きが確認できました。ここまでは評価どおりだったものの、担当の治療家はそこから足を止めてしまったといいます。腓骨筋のトレーニングをそのまま始めていいのか、それともショートフットエクササイズで足部を先に安定させたほうがいいのか。

足関節の不安定性は捻挫の既往だけで判断できるものではなく、こうした機能評価から見えてくることも多いテーマです。

まなぶ先生まなぶ先生

カーフレイズで内反が出たら、腓骨筋を鍛えるのとショートフットで足部を固めるの、どちらを先にやるべきか悩みますよね。

教子先生教子先生

足部を先に固めてから次に進む、というふうに段階をきっちり分けたくなる場面ですよね。実際はどう組み立てるんでしょうか。

瀬谷崎瀬谷崎

このときお伝えしたのは、どちらか一方を終わらせてから次、という発想ではなく、負荷の低いものから同時に走らせる、という組み立てでした。ショートフットを完成させてから腓骨筋、という順番にこだわらなくていいと思います。

カーフレイズの内反は、足部の安定性のサイン

今回のようにカーフレイズで足部が内反する動きは、足関節周りの安定性が十分に働いていないサインとして見ることができます。

考え方の前提

前脛骨部のしびれ感そのものと内反の動きを直接結びつけて断定するのは難しいところですが、足部が不安定な状態で日常の荷重や歩行を繰り返していれば、腓骨筋まわりの緊張が高まりやすくなる、という考え方は成り立ちます。

扁平足や回内足の患者さんに対して足部を支える力から立て直していくアプローチとも近い発想で、しびれ感の原因を一つに決めつけるのではなく、足部の安定性という土台をまず整えていく、という位置づけで進めるとよさそうです。

進め方の原則は、負荷の低いものから同時に

足部の内反が確認できたら、腓骨筋のトレーニングはすぐに始めてよいというのが検討の結論でした。OKCの抵抗なし、OKCの抵抗あり、CKCという負荷の三段階を、足部の反応を見ながら一段ずつ上げていく組み立てです。

  1. 抵抗なしのOKCで動きを確認まず試すのは、チューブなどの抵抗をかけない状態でのOKC(オープンキネティックチェーン・荷重をかけない開放運動連鎖)です。足部を実際に回内させる方向へ動かせるかどうかを確認します。
  2. 動かせなければ徒手で誘導ここで動かせないケースは珍しくなく、その場合は徒手で回内方向へ誘導しながら、腓骨筋が収縮している感覚を意識してもらいます。動きそのものを教えるというより、狙った筋の収縮感覚を触れて確かめてもらう働きかけに近い作業です。
  3. チューブで抵抗をかける抵抗なしのOKCで回内の動きが問題なくできるようになったら、次はチューブで抵抗をかけたトレーニングへ移行します。
  4. CKCへ進めるそこまで進んだら、実際に足を地面につけた状態で母趾球に荷重をかけながらカーフレイズを行うCKC(クローズドキネティックチェーン・荷重を伴う閉鎖運動連鎖)へ進めます。
段階の考え方

ショートフットエクササイズは、腓骨筋のトレーニングと並行して最初から入れてかまいません。段階を分けるのは足部の内在筋と腓骨筋の間ではなく、同じ腓骨筋トレーニングの中の負荷(抵抗なしのOKC・抵抗ありのOKC・CKC)です。

ショートフットが難しい時は、意識しやすい種目から

ショートフットエクササイズは、動きの感覚をつかむまでの難易度が比較的高い種目です。足部の内在筋そのものに機能不全がある場合は、最初からうまくできないことも多くあります。そうしたときの流れは次のとおりです。

  • タオルギャザーのように動きを意識しやすい種目からセルフケアとして落とし込む
  • そこから徐々に難易度の高い種目へ発展させていく
  • 足部の回外筋に短縮がみられる場合は、柔軟性を取り戻すアプローチもトレーニングと並行して進める

硬さが残ったままでは、せっかく覚えた回内の動きも定着しにくくなります。

リハビリ初期は、頻度がその後を決める

この患者さんは、もともと2週に1回だった通院を、相談を機に週1回へ増やしています。足部の安定性を立て直すようなリハビリでは、来院の頻度がその後の経過を大きく左右します。

初期頻度のポイント

トレーニングの実施頻度そのものも大切ですが、それ以上に重要なのは、初期段階でこちら側が正しい動きの感覚を繰り返し伝える頻度です。

どれだけの内容をどのタイミングで渡すかという設計は、セルフケアの出し方全般に共通する課題ですが、特に運動の感覚がまだ定着していない初期は、来院してもらってトレーニングの正解の感覚を覚えてもらうことを優先したほうが、結果として自宅での実施も安定します。

  • カーフレイズ時の内反は足部の安定性が乏しいサインとして捉える
  • 腓骨筋トレーニングは抵抗なしのOKCからすぐに始めてよい
  • 動かせない場合は徒手で回内方向へ誘導し、収縮感覚を意識させる
  • ショートフットは腓骨筋トレーニングと最初から並行して進める
  • 内在筋の機能不全でショートフットが難しい時はタオルギャザーから
  • 回外筋の短縮があれば柔軟性のアプローチも並行する
  • 負荷はOKC抵抗なし→OKC抵抗あり→CKCの順で一段ずつ上げる
  • 初期は正しい動きの感覚を覚えるまで来院頻度を上げる

段階は負荷の三段階、種目は並行して進める

カーフレイズで足部が内反したとき、足を止めてしまう理由の多くは、ショートフットと腓骨筋トレーニングをどちらが先か、という順番で考えてしまうところにあります。分けるべきは種目同士ではなく、一つのトレーニングの中の負荷です。

抵抗なしのOKCから抵抗あり、そしてCKCへ。ショートフットは並行して育てながら、初期は来院の頻度で正しい感覚を先に固める。この組み立てが、今回のケースの答えでした。

瀬谷崎瀬谷崎

足部の種目を全部揃えてから動かそう、と考えると足が止まりやすいところだと思います。負荷の低いものからで大丈夫なので、ひとまず動かしながら反応を見ていく、くらいの感覚で進めてもらえたらと思います。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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