ばね指は固定か、動かすか。固定期間の目安とストレッチを入れるタイミング
セラピスト向け
固定か、運動か。時期で答えが変わる指
バネ指(弾発指)の患者さんに、いつ固定を勧め、いつストレッチに進むか。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスで出た質問をもとに、固定期間の目安とストレッチを始めるタイミングを考えます。
「バネ指って固定した方がいいのか、動かした方がいいのか」。会の終盤、参加していたセラピストから出た質問です。指の引っかかりそのものは臨床でよく出会う症状ですが、固定と運動のどちらを選ぶかは、あらためて聞かれると答えが割れやすいところかもしれません。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎バネ指が引っかかる理由
指を曲げる屈筋腱と、それを浮かせて滑らせている腱鞘の間で炎症が起き、腱や腱鞘が肥厚することで、指の曲げ伸ばしの途中に引っかかりが出る。これがバネ指(弾発指)の基本的な病態です。
引っかかりという現象だけを見ると関節の動きの問題に思えますが、根っこにあるのは腱鞘の炎症だという理屈を押さえておくと、固定か運動かの判断にも筋が通ります。段階に合わせた対応の全体像は、とんとんのばね指アプローチでも扱っています。
痛みが強い時期は固定を優先する
答えは明快でした。日常的に痛みがある時期は固定を優先する、というものです。
炎症が治まれば腫れが引き、腫れが引けば引っかかりも治まるはず、という理屈で固定を選んでいます。固定していたからバネ指が進むという理由にはならない、という説明も添えられていました。
弾発しなくなるまでは、動かさないほうを選ぶという立場です。
固定で拘縮が進む心配は
固定と聞くと、関節が固まってしまわないかという心配が浮かびます。この点についての答えは、固定によって一時的に指の動きが悪くなることはあっても、それがそのまま拘縮として残る心配は基本的にしていない、というものでした。
炎症が落ち着いて腱鞘の腫れが引いた後に、物理療法などのリハビリで可動性を戻していけば良いという順番です。固定を先、可動域の回復を後に置く、時間差の設計だと捉えると分かりやすいと思います。固定と拘縮の関係は、関節固定は慎重に。指の拘縮を作らないために見るべきことでも扱っています。
固定期間の目安
固定期間について聞かれた際の答えは、2週間は大抵する、というものでした。ただし日数を最初から確定させるのではなく、来院のたびに様子を見て、あまり変わっていなければもう1週間固定を延ばす、という運用で話がまとまっていました。
目安は2週間。来院のたびに様子を見て、変化が乏しければもう1週間延ばす。日数を最初から決め切らず、経過を見ながら微調整する運用です。
痛みがだいぶ軽減してきた段階で、サポーターを外して過ごしながら治療を続けていく、という移行のイメージです。
長引く場合に見直すこと
固定期間が延びてしまうケースについては、生活の中で指を使ってしまっている、負担をかけ続けているという可能性を見直す、という話が出ていました。
固定している間にこちらから積極的にできる施術は多くなく、物理療法程度になるだろう、という声もありました。使わせないことを優先する時期だと割り切る発想です。腱鞘炎全般を繰り返さないための考え方は、手首や指の腱鞘炎、繰り返さないために。とんとんの腱鞘炎アプローチにも通じます。
ストレッチを始めるタイミング
ストレッチの内容として紹介されていたのは、次の運動です。
- 肢位を作る中手指節関節(MP関節・指の付け根の関節)を90度屈曲位にし、遠位指節間関節(DIP関節・指先に近い関節)を固定した状態を作ります。
- その姿勢のまま指を握り込むこの肢位を取ると腱が張り、腱鞘が押し広げられるように伸張されます。ペットボトルのふたなど身近なものを握って力を入れる形で、患者さんにも説明しやすいストレッチです。
ただしこれは固定している時期にはやらず、炎症が落ち着いて固定を終えてから始める、という順番が明確に共有されていました。
固定明けに可動性を戻していく考え方は、骨折の固定明けにリハビリの機会がなかった患者。評価と進め方とも重なります。
固定を望まない患者さんへの対応
家族に長年バネ指を抱えている人がいて、固定を勧めても嫌がられたという話も共有されました。かなり弾発が進んで指が曲がりにくくなっている状態でも、本人が固定を望まなければ、超音波などの物理療法と自宅でのストレッチ指導で対応する、という現実的な選択になります。
一方で、引っかかりが強くロッキングしてしまう例や、注射・手術の適応を判断する必要がある例については、医療機関へ送る線引きも共有されていました。
- 引っかかりの主因は腱鞘の炎症。まず炎症を鎮める発想で固定を選ぶ
- 固定そのものが拘縮を進めるわけではなく、可動域の回復は炎症が落ち着いた後に置く
- 固定期間の目安は2週間。変化が乏しければもう1週間延長する
- 長引く場合は生活動作での酷使や負担を見直す
- MP関節90度屈曲・DIP関節固定のストレッチは、固定を終えてから導入する
- 引っかかりが強くロッキングする例や、注射・手術の適応判断が要る例は医療機関へ送る
固定と運動は、対立ではなく時期の設計
バネ指の固定か運動かという問いは、どちらかを選び切る話ではなく、時期によって答えが変わる話でした。痛みが強い間は固定で炎症を鎮め、落ち着いてからストレッチで可動性を戻す。この順番を押さえておくだけで、患者さんへの説明もぶれにくくなります。
瀬谷崎





