仙腸関節障害はどう評価する?診断アルゴリズムから見る流れ

仙腸関節を疑った時に、順番を飛ばさず確認する

仙腸関節障害は、画像だけで判断しやすい病態ではありません。病歴、身体所見、疼痛誘発テスト、特徴的な臨床所見を組み合わせて疑い、最終的な確認につなげていく流れを整理します。

この記事について

仙腸関節障害の評価の流れを整理したものです。本記事は医療機関での確定診断を目的としたものではなく、臨床評価の考え方を整理するための情報です。最終的な確定診断は、医療機関での検査やブロックなどを含めて判断されます。

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伊藤聡史

仙腸関節障害の病態は基本的に構造破綻ではなく機能障害であるため、画像検査による確定診断は有効でない可能性があります。徒手検査の結果や特徴的な臨床所見により仙腸関節障害を疑い、最終的に後方靭帯ブロックまたは関節腔内ブロックにより確定診断されます。

結論:仙腸関節障害は、画像だけで見るのではなく、病歴・仙腸関節スコア・疼痛誘発テスト・特徴的な臨床所見を組み合わせて疑うことが重要です。

腰臀部痛を訴える患者さんでは、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋筋膜性疼痛など、いくつもの可能性を考える必要があります。その中で仙腸関節障害は、画像検査だけでは判断しにくい病態として扱う必要があります。

仙腸関節障害は、構造が大きく壊れているというより、関節周囲の機能障害や疼痛誘発に関わる所見を手がかりに評価していく場面が多くなります。

診断アルゴリズムの全体像

資料では、まず腰臀部痛を訴える患者さんについて、病歴と誘因、身体所見を確認し、仙腸関節スコア、疼痛誘発テスト、特徴的な臨床所見を組み合わせて仙腸関節障害を疑う流れが示されています。

最初に確認する症状 腰臀部痛の場所、広がり、発症時期、悪化する動作を確認します。
病歴と誘因 腰椎固定術、転倒、追突事故、妊娠・出産後、重量物の挙上、繰り返し動作、不意の動作などを確認します。
身体所見 圧痛、座位での変化、寝返りや臥位での痛み、骨盤ベルトでの変化を確認します。
仙腸関節スコア ワンフィンガーテスト、鼠径部痛、座位時痛、上後腸骨棘(PSIS)圧痛、仙結節靭帯(STL)圧痛などを整理します。
疼痛誘発テスト 複数の疼痛誘発テストで、同じように普段の症状が再現されるかを確認します。
医療機関での確認 必要に応じて、後方靭帯ブロックや関節腔内ブロックなどを含めて判断されます。

仙腸関節障害は「画像で異常があるか」だけでは拾いにくい病態です。問診と身体所見の段階で、どれだけ仙腸関節を疑えるかが評価の最初の手がかりになります。

まず病歴と誘因を見る

アルゴリズムでは、病歴と誘因として、腰椎固定術、転倒し臀部を強打、繰り返しの動作、妊娠・出産後、重量物の挙上、予期せぬ不意の動作、追突事故などが挙げられています。

これらは、仙腸関節周囲に負荷が加わりやすい背景です。痛みの場所だけでなく、「いつから」「何をきっかけに」「どの動作で悪化するか」を聞くことで、仙腸関節を疑う材料が増えます。

  • 転倒や追突事故など、骨盤周囲に衝撃が加わった既往がある
  • 妊娠・出産後から腰臀部痛が続いている
  • 重量物の挙上や繰り返し動作で悪化する
  • 不意の動作で痛みが出る、または再発しやすい

仙腸関節スコアを手がかりにする

仙腸関節スコアでは、ワンフィンガーテスト、鼠径部痛、椅子座位時の疼痛増強、仙腸関節シアーテスト、上後腸骨棘(PSIS)圧痛、仙結節靭帯(STL)圧痛などが評価項目として示されています。

資料では、仙腸関節スコアが4点以上で、他の疼痛誘発テストや特徴的な臨床所見が陽性であれば、仙腸関節障害を疑う流れになっています。

ワンフィンガーテスト 患者さんが上後腸骨棘(PSIS)付近を指し示す所見です。仙腸関節由来の腰臀部痛を考える手がかりになります。
鼠径部痛 仙腸関節障害では鼠径部痛がみられることがあります。腰椎疾患との鑑別でも重要な情報になります。
座位時の疼痛増強 椅子座位で痛みが増える、座位姿勢が保ちにくいといった訴えは、仙腸関節を疑う材料になります。
圧痛・シアーテスト 上後腸骨棘(PSIS)圧痛、仙結節靭帯(STL)圧痛、仙腸関節シアーテストなどを他所見と合わせて確認します。

疼痛誘発テストと特徴的な所見を組み合わせる

仙腸関節障害では、ファベレーテスト(FABER)、大腿スラストテスト、ゲンスレンテスト、離開テスト、圧迫テストなどの疼痛誘発テストが使われます。ただし、単独のテストだけで判断するのではなく、複数の所見を組み合わせます。

さらに、疼痛・しびれの領域、座位姿勢、寝返り、臥位、骨盤ベルトによる疼痛変化など、仙腸関節障害に特徴的な臨床所見も評価に入ります。

評価のヒント

仙腸関節スコア、疼痛誘発テスト、特徴的な臨床所見が同じ方向を向いているかを確認します。どれか一つで決めるのではなく、複数の所見が重なるほど、仙腸関節障害を疑いやすくなります。

最終的な確認はブロックで行われる

資料では、仙腸関節障害を疑ったあと、最終的には仙腸関節ブロックによって確認する流れが示されています。疼痛軽減スケールが10から3以下に下がることが一つの判断材料として扱われています。

ここで大切なのは、私たちが行う徒手検査や臨床評価は「疑うための材料」であり、最終的な確定診断は医療機関での評価やブロックを含めて行われるという整理です。

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伊藤聡史

仙腸関節障害は、徒手検査と特徴的な臨床所見で疑いを立て、必要に応じて医療機関でのブロックによって確認されます。臨床現場では、最初に疑えるだけの所見を集めることが大切です。

仙腸関節障害は、複数の所見を重ねて疑う

仙腸関節障害は、構造破綻というより機能障害として捉える場面が多く、画像検査だけでは判断しにくい可能性があります。

そのため、病歴、誘因、仙腸関節スコア、疼痛誘発テスト、特徴的な臨床所見を組み合わせて、仙腸関節障害の可能性を整理することが重要です。

とんとん整骨院では、痛みの部位だけでなく、発症のきっかけ、座位・寝返り・臥位での症状変化、骨盤周囲の所見まで確認し、症状の背景を多角的に見極めることを大切にしています。

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伊藤聡史

仙腸関節障害は、画像だけで判断するのではなく、病歴や誘因、仙腸関節スコア、疼痛誘発テストが同じ方向を示しているかを重ねて見ることが大切です。臨床では、まず疑えるだけの材料を丁寧に集めていきます。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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