評価と鑑別を学ぶ前に。ANOアカデミーで最初に持っておきたい視点

「何を学ぶか」の前に、「どう学ぶか」を決める

ANOアカデミーは、手技を増やすための場というより、評価と鑑別を土台に「迷った時に戻れる基準」を育てる場です。学び始める前に持っておきたい視点を整理します。

大切にしているのは、知識の量ではありません。目の前の患者さんに何を確認し、どう考え、どう対応するか。その順番を持つことのほうが、現場では長く効いてくると考えています。

とんとん整骨院では、ANOアカデミーという治療家向けの学びの場を続けています。

対象は、柔道整復師、鍼灸師、学生、若手のセラピスト、そして院内教育を整えたい先生方です。

臨床に出ると、学校で学んだ知識だけでは判断しきれない場面が、思った以上に多い。

腰が痛い、しびれがある、肩が上がらない。よくある訴えに見えても、背景は一人ひとり違います。

そういう時に効いてくるのは、覚えた手技を順番に出すことよりも、まず何を確認して、どこで立ち止まるか、という土台のほうだと感じています。

伊藤聡史
伊藤聡史

学び始める先生からよく聞かれるのが、「まず何を勉強すればいいですか」という質問なんです。気持ちは分かるんですが、答えに迷うことが多くて。

瀬谷崎
瀬谷崎

難しいところですよね。僕も、いきなり知識を増やすより、問診から評価、対応までの「順番」を先に持っておくほうが、結局は早い気がしています。順番があると、知識が後から入る場所が分かるので。

なぜ「学び方」から考えるのか

若手のうちは、どうしても「何をすれば良くなるか」に意識が向きやすい。

もちろん技術は大切です。ただその前に、「何を相手にしているのか」を整理できていないと、介入は当たり外れになりやすい印象があります。

痛みのある場所を、そのまま原因と考えてよいのか。整骨院で対応してよい状態なのか。医療機関への相談を勧めたほうがよいサインはないか。

こうした確認を飛ばすと、どれだけ手技が上手くても、臨床は安定しにくいように感じます。

派手な一手より、長く効いてくるのは、迷った時に戻れる基礎のほうかもしれません。

特に若手のうちは、経験が少ない分、強い言葉や分かりやすい手技に引っ張られやすい。

そこで一度立ち止まって、土台を厚くしておくと、後からの伸び方が変わってくる気がします。

ANOアカデミーで大切にしている学びの柱

ANOアカデミーでは、動画を見て終わり、ではなく、いくつかの学び方を組み合わせています。

公式ページでも案内しているように、臨床研修動画、オンラインカンファレンス、オフライン実技、個別相談などを通じて学びを進めます。それぞれ役割が少しずつ違います。

研修動画
基礎を何度も確認する

EBM、BPSモデル、レッドフラッグ、部位別の評価など、現場で使う共通言語を作ります。

オンラインカンファレンス
症例で考え方を見直す

自分の症例や疑問を出すことで、見落としや解釈の偏りに気づきやすくなります。

オフライン実技
手の感覚を合わせる

触診、検査、ハンドリングなど、動画だけではズレやすい部分を直接確認します。

個別相談
臨床とキャリアをつなぐ

臨床の悩み、学習の進め方、院内教育や運営の課題まで整理します。

動画は便利です。自分のペースで見返せますし、基礎を揃えるには有効だと思います。

ただ、動画だけだと「自分がどこを誤解しているか」は見えにくい。だから、症例相談や実技確認、フィードバックが要ると考えています。

若手がつまずくのは、知識不足だけではない

つまずく理由は、単純な知識不足だけではないことが多い印象です。

知っているけれど、順番に出せない。検査はできるけれど、結果の解釈が浅い。説明はしているけれど、患者さんの生活背景とつながっていない。

変化が出た時に、なぜ変わったのかを説明できない。逆に変化が出なかった時に、次に何を確認するか分からない。

ここで効いてくるのが、臨床推論の練習だと感じています。

学びの落とし穴

知識を増やすほど、できるようになった気がすることがあります。ただ現場では、その知識をどの順番で使い、どこで立ち止まり、どの言葉で説明するかまで問われます。

伊藤聡史
伊藤聡史

検査を覚えても、陽性だった時にどこまで言っていいのか、迷う先生は多い印象です。強く言いすぎるのも怖い、と。

瀬谷崎
瀬谷崎

大事なところですよね。検査はラベルを貼るためというより、仮説の確からしさを少し更新するために使うもの、くらいに捉えておくほうがいい気がします。言い切る前に、他の情報と合わせて考えたいですね。

フィードバックを受ける力も、臨床力の一部

ANOアカデミーで大切にしたいのは、教わる側の姿勢のほうかもしれません。

フィードバックを受けると、少し痛いところを突かれることがあります。問診が浅い、説明が一般論になっている、検査の選び方に根拠が薄い、と。

でもそれは、人格を否定しているわけではなく、修正できる行動を一緒に見つけているだけ、だと考えています。

受け身の学び
分かった気になる

動画を見て満足し、現場で外した時に戻る場所がない状態です。

能動的な学び
外した理由を出す

症例、疑問、失敗、迷いを出し、次の評価や対応に変えていく状態です。

質問することは、できない人の行動ではないと思います。むしろ、臨床を更新するために要る行動です。

一人で悩んでいると、自分の癖にはなかなか気づけない。だから、外から見てもらう時間が要ると感じています。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、臨床を感覚だけで終わらせないことを大切にしています。

もちろん、経験から育つ感覚はあります。ただ、その感覚を言葉にできなければ、後輩には渡せませんし、患者さんにも説明できません。

評価と鑑別を学ぶのは、難しい言葉を覚えるためではなく、患者さんの状態を落ち着いて整理して、必要な対応を選び、分かりやすく伝えるためだと考えています。

受講を検討している方へ

募集人数や受付状況、内容の詳細は時期によって変わることがあります。最新情報はANOアカデミー公式ページでご確認ください。

学びは、現場で使えて初めて意味を持つ

セミナーを受けること、動画を見ること、本を読むこと。どれも大切です。

ただ、それだけで臨床が急に変わるわけではないと思います。

学んだことを患者さんの前で使い、うまくいかなかったところを振り返り、質問し、修正する。その繰り返しで、少しずつ臨床の基準が作られていく気がします。

ANOアカデミーは、その繰り返しを一人で抱え込まないための場でもあります。

瀬谷崎
瀬谷崎

臨床は、分かったふりをした瞬間に、成長が止まりやすい気がします。分からないことを出して、評価し直して、説明し直す。その繰り返しを一緒に作れる場にしていきたいですね。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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