広まっているのに根拠が薄い3つの理論。坐骨神経の走行・腹横筋・内側広筋を見直す
セラピスト向け
「いかにも原因っぽい理論」をどう疑うか
広く浸透しているのに、よく調べると今ではほぼ意味がないとされる理論があります。梨状筋を貫く坐骨神経の走行、腹横筋のフィードフォワード遅延、内側広筋(VMO)の選択的強化。いずれも研究では痛みの改善に直結しないと指摘されています。
機序が目に浮かぶ理論ほど魅力的で、現場に浸透します。けれど見えやすさと正しさは別物です。3つの代表例を通して、広まった理論を疑う視点を整理します。
動画(瀬谷崎将也):該当の解説はこの位置から。
なぜ「いかにも原因っぽい理論」は広まるのか
理由は大きく3つです。解剖や機序が図で見えると因果があるように錯覚すること。頻度の高い所見を原因と取り違えること。痛みを単一の原因で説明できると介入の標的がはっきりして安心できること。いずれも臨床判断を「分かりやすさ」へ引っぱります。
まなぶ先生
瀬谷崎
教子先生広まった3つの理論と、研究が示したこと
梨状筋を貫く坐骨神経の走行:圧迫の原因とされてきましたが、走行バリエーションの有無で発症率に差はなく、約31%にみられる個性に近い所見です。詳しくは坐骨神経の走行バリエーションは坐骨神経痛の原因かで。
腹横筋のフィードフォワード遅延:ドローインで直すべきとされましたが、収縮タイミングは変わりにくく、変わっても痛みと結びつきません。詳しくは腹横筋の収縮遅延は腰痛の原因かで。
内側広筋(VMO)の選択的強化:膝蓋大腿疼痛でVMOだけを狙うべきとされましたが、四頭筋全体の一般的なトレと改善効果に差はありません。詳しくは膝蓋大腿疼痛にVMOだけ鍛えるべきかで。
では、何を指針にするか
所見を見つけたら、まずその頻度を踏まえます。よくある所見ほど原因とは限りません。次に、研究が示す効果の大きさと、一般的な運動療法と比べた相対的な意義を確認します。そして、痛みを単一の原因に固定しすぎないこと。魅力的な理論ほど、頻度と研究で一段冷ます習慣が、過剰な意味づけや無意味な介入を防ぎます。
瀬谷崎














