凍結肩は違和感の段階で予告しておく。可能性を先に伝える3条件と事前説明のやり方
セラピスト向け
「もしかしたら凍結肩かもしれません」を先に言えるか
夜間痛が出て、可動域が大きく制限されてから凍結肩を疑うのは難しくありません。悩ましいのはその前、まだ違和感しかない段階です。とんとんが治療家向けに続けているオンラインカンファレンスで実際に挙がった相談をもとに、凍結肩の可能性をあらかじめ伝えておく事前説明の考え方を紹介します。
相談の内容はこうでした。夜間痛が出れば凍結肩を疑えるし、施術後に悪化するのもサインになる。ではその前段階、拘縮がほとんど出ていない段階で見きわめるポイントはあるのか。
実際に来院中の患者さんの例も共有されました。最初の主訴は指のしびれで、それが落ち着いたあとに「実はこちらの動きも」と肩の制限が見つかったケースです。
腕を体側にしっかり付けた位置での外旋だけに制限があり、外転位(セカンドポジション・腕を横に上げた位置)からの内旋も途中で止まる。一方で、日常生活の支障はほぼないという段階でした。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎違和感の段階の肩は、主訴としては来院しない
検討の中で共有された感覚として、この段階の患者さんは肩を主訴に来院しません。指のしびれ、反対側の肩、腰痛。別の症状で通っている最中に、こちらの肩にも違和感が出てきた、という形で表に出てきます。
制限が出る動きも、体側に付けた位置での外旋や外転位からの内旋のように、日常生活ではあまり使わない動きです。本人が制限を自覚していないことも珍しくなく、施術者が動きを確かめて初めて見つかります。
相談者がこの制限に気づいたことに対して、検討の場でも「よく気づきましたね」という反応がありました。それくらい、拾いにくい段階だということです。
可能性を先に伝える材料は、年齢・契機・違和感先行の3つ
では、何が揃ったら口に出すのか。挙がった基準はシンプルでした。45歳前後の女性で、特に思い当たる外傷や原因がない。そして確認検査(とんとんでは、動診で出した再現痛が関節運動を1つ抜くと変わるかを確かめる検査をこう呼んでいます)でも陽性所見が出ない。
このときは、凍結肩の可能性を事前に説明してしまうというものです。材料として挙がったのは、年齢、発症の契機が明確でないこと、強い痛みより違和感が先行していることの3つ。これが揃った段階で「もしかしたらそういう可能性もあります」と先に言葉にしておきます。
45歳前後の年齢層、発症の契機が思い当たらない、痛みより違和感が先行している。この3つが揃ったら凍結肩の可能性を先に伝えます。確認検査で所見が出ないときは、さらに疑いを強めて説明しておきます。
検査で所見が出ても、確定的な除外はできない
ここで注意したいのが、逆のパターンです。今回の症例では、体側に付けた位置での外旋制限が、広背筋への押圧でだいぶ改善するという所見が出ていました。原因の筋が絞れているのだから凍結肩ではない、と考えたくなるところです。
ただ、確認検査で所見が出ていたとしても、その後に凍結肩へ移行する例はあるという経験が共有されました。所見が出たことは、除外の根拠にはならないわけです。だからこそ伝え方は2択の形になります。
- もし違ったなら、いまのケアを続けておいて損はない
- もしそうだったなら、施術内容とは関係なく痛みが強く出てくる時期があるかもしれない
どちらに転んでも説明がつながる形で、先に話しておくという判断です。
予告しておくと、悪化しても想定内の経過として動ける
事前説明の価値が現れるのは、実際に悪化したときです。予告なしで急に夜間痛が始まれば、患者さんは施術で悪くなったのではと受け取りかねませんし、施術者側も後追いの説明に追われます。
先に可能性を聞いていれば、悪化は想定内の経過として患者さんと共有でき、医療機関の受診や安静の判断も早くなります。
凍結肩は治り方の個人差が大きく、経過が年単位に及ぶこともある症状で、夜間痛への対応も含めて長い付き合いになります。だからこそ、違和感の段階でのひと言が、その後の信頼を支えます。
- 違和感段階の凍結肩疑いは、別の主訴の施術中に見つかることが多い
- 制限が出るのは体側位の外旋や外転位からの内旋など、日常で使わない動き
- 45歳前後・契機不明・違和感先行の3条件が揃ったら可能性を先に伝える
- 確認検査で所見が出ないときは、さらに疑いを強めて説明しておく
- 所見が出て改善しても凍結肩への移行はありうるため、除外は確定しない
- 伝え方は2択の形。違っても損がなく、そうなっても想定内になる
先に伝えたひと言が、あとの経過を支える
違和感の段階で凍結肩かどうかを確定させる方法は、「まず難しい」というのが正直な結論でした。それでも、年齢・契機・違和感先行という材料が揃ったときに、可能性をひと言添えておくことはできます。
当たっても外れても患者さんの利益になる説明を、疑いの段階から始めておきたいところです。
瀬谷崎





