下肢の腱反射検査とは?膝蓋腱反射・アキレス腱反射の見方

反射が弱い・出にくいをどう見る?
膝蓋腱反射とアキレス腱反射の基本

腱反射は、下肢の神経学的所見を見るうえで基本になる検査です。L4をみる膝蓋腱反射、S1をみるアキレス腱反射について、見方と実施手順を整理します。

この記事について

膝蓋腱反射はL4神経レベル、アキレス腱反射はS1神経レベルの情報を得るために用いられる下肢の神経学的検査です。ここでは、腱反射検査の目的、腰椎神経根障害に対する検査精度、座位・仰向けでの実施方法、ジェンドラッシク法などの増強法、MMT・知覚検査・SLR・FNSとのつなげ方をまとめています。

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伊藤聡史

腱反射は、出る・出ないだけで判断する検査ではありません。L4やS1の情報として、筋力、感覚、誘発テストと同じ方向を向いているかを確認することが大切です。

結論:腱反射検査は、単独で原因を決める検査ではなく、MMT・知覚検査・SLRなどと組み合わせて神経学的所見を整理する検査として扱うのが実用的です。

下肢の深部腱反射では、膝蓋腱反射とアキレス腱反射がよく使われます。膝蓋腱反射は主にL4神経レベル、アキレス腱反射は主にS1神経レベルの情報を得るための検査です。

深部腱反射で何を見るのか?

深部腱反射は、腱を軽く叩いたときに筋肉が反射的に収縮する反応を確認する検査です。反射が弱い、左右差がある、逆に亢進しているといった反応を、神経学的所見の一つとして整理します。

膝蓋腱反射 主にL4神経レベルを確認します。
膝蓋骨の下にある膝蓋腱を叩き、大腿四頭筋の収縮と膝の伸展反応を見ます。
アキレス腱反射 主にS1神経レベルを確認します。
アキレス腱を叩き、下腿三頭筋の収縮と足関節の底屈反応を見ます。
見るべきポイント 反射があるかないかだけでなく、健側との左右差、反応の強さ、再現性、他の神経学的所見との整合性を確認します。

腱反射は「叩けば分かる」ように見えますが、実際にはリラックスできているか、腱を適切に伸張できているか、左右差を同条件で比べられているかで結果が変わります。

検査精度とエビデンスの見方

動画内では、腰椎神経根障害に対する深部腱反射の検査精度として、2013年のメタアナリシスが紹介されています。

腰椎神経根障害
2013年 メタアナリシス
感度:29%
特異度:78%
陽性尤度比:1.26
陰性尤度比:0.8
感度は低く、特異度は比較的高めという傾向です。
神経根障害での扱い 反射の減弱があれば神経根障害を疑う材料にはなりますが、決定的な所見ではありません。
反射が保たれていても、神経根障害の可能性を十分に低く見積もれるわけではありません。
糖尿病性末梢神経障害では 神経根障害とは逆に、感度が高く、特異度が低くなる傾向が報告されています。
つまり、何を疑って検査しているかによって、同じ反射検査でも読み方が変わります。
整理

腱反射は、単独で何かを決める検査というより、病歴、症状分布、MMT、知覚検査、SLRやFNSなどと合わせて、神経学的所見の整合性を見るための検査です。

膝蓋腱反射のやり方

膝蓋腱反射は、膝蓋骨のすぐ下にある膝蓋腱を叩き、大腿四頭筋の収縮と膝関節の伸展反応を確認します。主にL4レベルの神経学的所見として扱います。

座位で行う方法

  1. 下腿を下垂させる患者さんにベッドへ座ってもらい、下腿を自然に垂らします。力が入っていると反射が出にくくなるため、できるだけリラックスしてもらいます。
  2. 膝蓋腱の中央を確認する膝蓋骨のすぐ下にある膝蓋腱の中央を狙います。叩く位置がずれると反応が分かりにくくなります。
  3. 打腱器で軽く叩く腱を軽く叩き、大腿四頭筋の収縮と膝の伸展反応を確認します。左右で同じ条件になるように比較します。

反射が出にくい場合の増強法

反射が誘発されにくい場合は、ジェンドラッシク法を使うことがあります。患者さんに両手を胸の前で組んでもらい、左右の指を引っ張り合うように力を入れてもらった状態で膝蓋腱を叩きます。

増強法を使った場合は、「通常では出にくいが、増強すると出る」という情報として記録・解釈します。左右差を見るときは、できるだけ同じ条件で比べます。

仰向けで行う方法

  1. 仰向けで膝を伸ばす患者さんに仰向けで寝てもらい、下肢をリラックスさせます。
  2. 膝蓋骨上縁に示指を当てる検者の示指を膝蓋骨の上縁に当て、軽く下方向へ圧をかけます。
  3. 示指の上から叩く示指の上を打腱器で下方向へ叩き、大腿四頭筋の収縮や膝の反応を確認します。

アキレス腱反射のやり方

アキレス腱反射は、足関節を軽く背屈させてアキレス腱を伸張した状態で腱を叩き、下腿三頭筋の収縮と足関節の底屈反応を確認します。主にS1レベルの神経学的所見として扱います。

座位で行う方法

  1. 下腿を下垂させる患者さんにベッドへ座ってもらい、下腿を自然に垂らします。
  2. 足関節を軽く背屈させる検者が足首を軽く背屈させ、アキレス腱を少し伸ばした状態にします。
  3. アキレス腱を叩くアキレス腱部を叩き、足関節が底屈するか、下腿三頭筋が収縮するかを確認します。左右差も見ます。

仰向けで行う方法

  1. 膝と股関節を曲げる患者さんを仰向けにし、検査側の膝と股関節を曲げます。
  2. 脚を安定させる検者の上腕と体幹の間に患者さんの脚を軽く挟むようにして、余計な動きが入らないようにします。
  3. 軽く背屈させて叩打する足関節を軽く背屈させ、アキレス腱中央を叩きます。足関節の底屈反応を確認します。

反射所見の読み方

腱反射で重要なのは、反応があるかないかだけではありません。左右差、減弱、消失、亢進、他の神経学的所見との一致を見ていきます。

  • 膝蓋腱反射が左右差をもって弱い場合、L4レベルの所見と照らし合わせる
  • アキレス腱反射が左右差をもって弱い場合、S1レベルの所見と照らし合わせる
  • MMT、知覚検査、SLR、FNSなどの所見と同じ方向の情報かを見る
  • 反射が亢進している場合は、中枢神経系の関与も含めて慎重に考える
  • 糖尿病性末梢神経障害など、神経根障害以外の文脈でも読み方が変わる

腱反射は、「弱いからこの疾患」と決める検査ではなく、他の所見と矛盾しないかを見る検査です。左右差と整合性を丁寧に確認することが大切です。

関連症状:こんな訴えと合わせて見る

  • 腰から足にかけて痛みやしびれがある
  • 太もも前側、すね、足部に感覚の違和感がある
  • 足に力が入りにくい、つまずきやすい
  • MMTや知覚検査と合わせて神経学的所見を整理したい
  • 左右で反射の出方が明らかに違う
重要

足に力が入りにくい、排尿・排便の異常がある、急に強いしびれが出た、発熱や外傷を伴う強い痛みがある場合は、まず医療機関での確認が必要になることがあります。

腱反射は「神経学的所見の整合性」を見る検査

膝蓋腱反射はL4、アキレス腱反射はS1の情報を得るために使われます。ただし、反射検査だけで原因を決めることはできません。

大切なのは、左右差があるか、MMTや知覚検査と同じ方向の所見か、SLRやFNSなどの誘発テストと矛盾しないかを確認することです。

とんとん整骨院では、痛みやしびれの場所だけでなく、反射、筋力、感覚、動作での症状変化を合わせて確認し、身体の状態を多角的に見極めることを大切にしています。

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伊藤聡史

反射が弱い場合も、反射が保たれている場合も、それだけで結論を出さないことが重要です。問診、MMT、知覚検査、SLRやFNSと合わせて、所見が矛盾なくつながるかを見ていきます。

伊藤聡史
株式会社とんとん/とんとん整骨院。臨床技術責任者。柔道整復師。

臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」講師。院内では臨床研修責任者として若手の技術指導を担い、論文抄読会の主催など、根拠に基づく施術(EBM)の浸透に取り組んでいる。

監修:瀬谷崎将也
とんとん整骨院代表・柔道整復師

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