整形外科勤務の柔整師が外傷スキルを収入につなげるために考えたいこと

外傷を診られる力を、安く使い潰さないために

整形外科で外傷を学んだ柔整師の技術は、本来もっと価値があります。ただし、保険や療養費の枠だけで食べていこうとすると、制度上かなり厳しい壁にぶつかります。

外傷の技術だけでは、キャリアは守れません。保険のルール、単価設計、自費との線引き、患者さんへの説明まで含めて考えて初めて、外傷スキルを仕事として続けやすくなります。

整形外科で働く柔道整復師は、外傷をたくさん見ます。

骨折、脱臼、捻挫、打撲、術後の経過、医師の判断、画像所見との付き合い方。

現場で得られる経験は、かなり濃いです。

でも一方で、給与が低い。

技術も知識もあるのに、生活の不安が消えない。

この矛盾に悩んでいる人は、少なくないと思います。

少し辛口に言うと、「外傷を診られるから食べていける」は、経営の設計を抜いた希望的観測になりやすいです。

まなぶ先生
まなぶ先生

外傷が診られる柔整師って、技術があるから開業しても強そうに見えます。

瀬谷崎
瀬谷崎

技術は強いです。でも単価と制度を見ないと危ないです。外傷を診られることと、それで生活できることは別の話です。

整形外科勤務で給料が上がりにくい理由

整形外科勤務の柔整師が低賃金になりやすいのは、本人の努力不足だけではありません。

そもそも、売上の上限が制度上かなり低くなりやすい構造があります。

医療機関でのリハビリには算定のルールがあります。

柔整師がどれだけ頑張っても、ひとりの時間には限界があり、算定できる単価にも枠があります。

つまり、現場で良い経験を積める一方で、売上としては伸びにくい。

ここを理解しておかないと、「自分はこんなに勉強しているのに、なぜ給料が上がらないんだ」と苦しくなります。

構造の問題

技術が低いから給料が低い、という単純な話ではありません。制度上、ひとりが生み出せる売上に上限がある働き方では、給与も上がりにくくなります。

もちろん、整形外科で働くこと自体は価値があります。

外傷を学べる。医師の近くで判断を見られる。画像や術後の経過に触れられる。

これは、整骨院だけでは得にくい経験です。

ただ、その経験をそのまま収入に変えるには、別の設計が必要になります。

療養費だけで外傷専門をやる難しさ

では、外傷の経験を活かして独立すればよいのか。

ここも簡単ではありません。

外傷専門の整骨院として、療養費の範囲だけで運営しようとすると、単価が低くなりやすいです。

毎日たくさん患者さんが来て、予約が埋まって、骨折や脱臼も安定して来る。

そんなかなり楽観的な想定を置いても、家賃、広告費、材料費、税金、生活費まで考えると、手元に残るお金は思ったより少なくなります。

外傷専門で開業するなら、技術の高さだけでなく、単価と集客と制度の壁まで見ないと危ないです。

外傷が診られることは、間違いなく強みです。

でも、強みがあることと、経営が成立することは別です。

ここを分けて考える必要があります。

自費を入れるなら、線引きをはっきりさせる

外傷スキルを活かして収入を上げるには、自費の設計を考える必要があります。

ただし、ここはかなり慎重に扱うべきところです。

保険や療養費の対象として扱う施術と、同じ内容を別名で自費にするような設計は避けるべきです。

患者さんにも保険者にも説明できるように、何が療養費の範囲で、何が自費の価値なのかを明確に分ける必要があります。

重要

自費メニューを作る場合は、療養費の算定範囲、地域の運用、保険者の判断、厚生局や専門家の確認を踏まえる必要があります。ここでの内容だけで制度の実務判断を済ませないようにしてください。

たとえば、保険の範囲内で行う処置と、自費で提供する運動指導や機器、機能改善のプログラムをどう分けるのか。

患者さんに事前に説明し、同意を得ているのか。

領収や説明資料に、何の対価なのかが残っているのか。

こうした部分を雑にすると、後から問題になります。

安く診てきた人ほど、お金をもらうことに抵抗がある

整形外科で働いてきた人ほど、患者さんからお金をいただくことに抵抗を感じることがあります。

長く、安い単価の中で働いてきた。

患者さんに追加料金を伝えることに慣れていない。

自分の技術に値段をつけることが怖い。

この感覚は自然です。

でも、外傷を診る技術、判断、固定、説明、経過管理には価値があります。

まなぶ先生
まなぶ先生

外傷を診られる人ほど、自費を取ることに抵抗がありそうです。

瀬谷崎
瀬谷崎

分かります。でも、その技術には価値があります。安く使い潰すのではなく、患者さんに必要な価値として説明できる形にした方がいいです。

値段を上げることは、患者さんをだますことではありません。

必要性のある価値を、きちんと説明して選んでもらうことです。

ここを避け続けると、生活が苦しくなり、結果的に無理な請求や雑な売り方に近づいてしまうこともあります。

外傷スキルを活かすための設計

外傷スキルを仕事として続けるなら、次のような設計が必要になります。

考える項目 見たいポイント 注意点
保険・療養費 対象となる負傷、算定範囲、記録、説明 対象外や重複に見える設計を避ける
自費メニュー 保険範囲と別の価値があるか 患者さんの同意と説明資料を整える
単価 時間、材料、判断、経過管理に見合っているか 安さだけで勝負すると体力が削られる
集客 外傷患者が安定して来る導線があるか 「外傷を診られる」だけでは知られない
説明 なぜ自費が必要かを分かる言葉で伝えられるか 不安をあおらず、選択肢として提示する

技術がある人ほど、ここを後回しにしがちです。

でも、良い技術を続けるには、経営の設計も必要です。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、保険や自費の線引きを曖昧にしたまま売上を作ることを良しとはしていません。

患者さんに必要なことを、必要な理由と一緒に説明する。

保険の範囲で見るもの、自費として提供するもの、医療機関での確認が必要なものを分ける。

その上で、施術者の技術が正当に評価される形を考える。

これは、患者さんのためでもあり、働く柔整師のためでもあります。

とんとんの基本姿勢

技術を安売りしない。でも、制度を曖昧にして売上を作らない。患者さんにも保険者にも説明できる形で、価値を届けることを大切にしています。

整形外科勤務から次を考える人へ

整形外科で学んだ経験は、大きな財産です。

ただ、そのまま低賃金の環境に残り続けるのか。

外傷だけで独立するのか。

自費を組み合わせるのか。

組織の中で外傷スキルを活かすのか。

出口はひとつではありません。

  • 自分の外傷スキルを、どの患者層に届けたいのか
  • 療養費だけでなく、自費の価値をどう設計するのか
  • 制度上の線引きを誰に確認するのか
  • 単価と時間のバランスは成り立つのか
  • 集客や紹介の導線はあるのか
  • 不正請求に頼らず続けられる設計になっているか

外傷が好きで、ちゃんと学んできた人ほど、安く消耗してほしくないと思います。

だからこそ、技術と同じくらい、制度と経営を学ぶ必要があります。

外傷を診られる人ほど、出口戦略を持った方がいい

外傷を診られることは、柔整師にとって大きな強みです。

でも、その強みを保険の低単価だけに閉じ込めると、生活もキャリアも苦しくなります。

療養費のルールを理解する。

自費との線引きを明確にする。

患者さんに説明できる価値を作る。

不正や曖昧な請求に頼らず、技術が続く設計にする。

ここまで考えて、ようやく外傷スキルはキャリアの武器になります。

安く使い潰されるのではなく、ちゃんと価値として届ける。

整形外科で学んだ柔整師ほど、この出口戦略を持ってほしいと思っています。

瀬谷崎
瀬谷崎

外傷を診られる技術は、本当に価値があります。だからこそ、制度を知らずに消耗したり、曖昧な請求に流れたりしてほしくない。ちゃんと価値として届ける設計を考えてほしいです。

参考

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

読みもの

瀬谷崎コラム

施術・検査ガイド

とんとんブログ

電話
タップで電話がかかります
LINE
24時間予約受付中
東武練馬店
ときわ台店
下板橋店
南浦和店