問診は営業トークではない。とんとん整骨院が最初に話を聞く理由

問診で見ているのは、通わせる理由ではなく状態です

問診は、回数券を売るための前振りではありません。痛みの背景を整理し、危ないサインを見落とさず、どんな施術と計画が必要かを考えるための大事な時間です。

問診の目的は、患者さんを丸め込むことではなく、状態を見立てて計画を立てることです。その順番を間違えると、説明はうまく見えても臨床としてズレていきます。

整骨院や整体院の現場では、「問診が大事です」とよく言われます。

これは本当にその通りです。

ただ、問診という言葉の中身は、院によってかなり違います。

症状を聞く時間なのか。通院の必要性を説明する時間なのか。回数券につなげる時間なのか。患者さんと仲良くなる時間なのか。

ここが曖昧なままだと、問診は一気にブレます。

少し辛口に言うと、問診をクロージングの技術としてだけ見ているうちは、患者さんの状態を見ているようで、実は売る順番を考えているだけになりやすいです。

まなぶ先生
まなぶ先生

問診って、患者さんに納得して通ってもらうための時間ですよね?

瀬谷崎
瀬谷崎

結果として通院の説明にはつながります。でも最初の目的は、病態を考えて、危ない可能性を見落とさず、施術計画を立てることです。順番が逆になると危ないです。

問診は、営業トークの時間ではない

問診で最初に見るべきなのは、「この人に何回通ってもらえるか」ではありません。

いつから痛いのか。何をすると悪化するのか。どの姿勢で楽になるのか。しびれや脱力はないのか。医療機関で確認が必要な可能性はないのか。

こうした情報を集めて、いま身体で何が起きていそうかを考えます。

もちろん整骨院でできることには限界があります。だからこそ、問診で何でも分かった気になってはいけません。

大切なのは、可能性を絞る材料を集めることです。

問診の目的を「売ること」に置くと、患者さんの言葉が情報ではなく、クロージング材料に見えてしまいます。ここは本当に気をつけた方がいいです。

通院頻度や施術計画の説明は、もちろん必要です。

でもそれは、聞いた内容と評価から「だからこの頻度が必要そうです」と説明するものです。

先に売りたい回数があって、そこに患者さんの話を合わせるものではありません。

最初は、型をそのまま使った方がいい

若手が問診でつまずく理由のひとつは、早い段階でアドリブを入れすぎることです。

患者さんの表情を見て、不安そうだから省略する。質問されたら焦って話が脱線する。自分なりの言い方に変えたら、重要な説明が抜ける。

こういうことはよくあります。

だから、とんとん整骨院では、まず型を大事にします。

言い回し、順番、例え話、強調するところ。最初はかなり細かく合わせます。

型を使う理由

型は、考えないためのものではありません。最低限の聞き漏れや説明漏れを減らし、患者さんに必要な情報を安定して届けるための土台です。

ここで「自分らしさ」を出したくなる人もいます。

気持ちは分かります。ずっと台本みたいに話すのは、なんだか不自然に感じるかもしれません。

でも、野球で言えば、まだ素振りが安定していない段階でフォームを崩しているようなものです。

まずは型を振り切る。その上で、患者さんに合わせて変える。

順番としては、そちらの方がずっと安全です。

自信満々は、断定することではない

問診では、自信も大事です。

ただし、ここで言う自信は「全部分かっています」と断定することではありません。

分からないことを分からないと言える。医療機関での確認が必要な可能性を伝えられる。施術で見ていく部分と、慎重に判断する部分を分けて説明できる。

この落ち着きも、自信の一部です。

まなぶ先生
まなぶ先生

自信満々って、ちょっと強引に見えたりしませんか?

瀬谷崎
瀬谷崎

強引に言い切ることとは違います。患者さんを不安にさせない声量、間、順番で話すことです。曖昧なまま小声で話す方が、患者さんは不安になります。

若手ほど、患者さんの反応に引っ張られます。

相手が少し怪訝な顔をしただけで、急に説明を短くする。声が小さくなる。早口になる。

でも患者さんは、施術者の不安をかなり敏感に感じます。

だからこそ、最初は型を身体に入れて、言葉が自然に出る状態を作る必要があります。

型があると、患者さんを見る余裕が生まれる

問診の型を覚える目的は、ただ暗記することではありません。

言葉を探すことに頭を使わなくてよくなると、患者さんを見る余裕が生まれます。

表情、視線、話すテンポ、痛みの説明の仕方、座り方、動作の癖。

こうした情報は、紙の問診票だけでは拾いきれません。

型が入っていない問診 型が入っている問診
次に何を言うかで頭がいっぱいになる 患者さんの反応を見る余裕がある
質問が飛び、聞き漏れが出やすい 最低限の確認事項を安定して拾える
患者さんの不安に引っ張られやすい 必要な説明を落ち着いて伝えやすい
自分の言葉で話しているつもりで内容が薄くなる 土台があるので、必要に応じて調整できる

問診がうまい人は、言葉がうまいだけではありません。

患者さんの話を聞きながら、必要な情報を拾い、危ない可能性を考え、施術計画につなげています。

そのためには、まず土台が必要です。

マニュアルだけ真似ると、逆に危ない

ここまで聞くと、「じゃあ問診マニュアルだけあればいいのでは」と思う人もいるかもしれません。

でも、そこは少し違います。

マニュアルは、背景にある考え方とセットで使うものです。

なぜその質問をするのか。なぜその順番なのか。どの回答なら注意が必要なのか。どこから先は整骨院だけで判断しない方がいいのか。

この理解がないまま表面だけ真似ると、むしろ危ないです。

気をつけたいところ

問診の言葉だけをコピーしても、病態の見立てやリスク管理ができていなければ、患者さんのためにはなりません。型は便利ですが、型だけで臨床が完成するわけではありません。

たとえば、しびれや脱力、強い夜間痛、外傷後の痛み、発熱を伴う痛みなどがある場合、通常の施術計画だけで進めてよいかは慎重に見る必要があります。

そうした判断ができないまま、きれいな説明だけできるようになると、見た目は上手でも中身が危うくなります。

とんとん整骨院が大切にしていること

とんとん整骨院では、問診を「契約につなげるための会話」とは考えていません。

患者さんが何に困っているのかを聞く。

症状の出方や経過を整理する。

必要な評価を選ぶ。

医療機関での確認が必要な可能性も含めて考える。

その上で、施術の方針や通院の目安を説明します。

とんとんの基本姿勢

患者さんに通ってもらうために問診するのではなく、必要な判断をするために問診する。結果として通院が必要なら、理由を分かる言葉で説明します。

患者さんにとっての良い問診

患者さん側から見ても、問診は大切です。

「どこが痛いですか」と聞かれて、すぐベッドに案内される。

少し触って、「骨盤が歪んでいます」「筋肉が硬いですね」で終わる。

それで楽になることもあるかもしれません。

でも、長引く痛みやしびれ、不安の強い症状では、それだけでは足りないことがあります。

  • いつから、どんなきっかけで症状が出たのかを聞いてくれる
  • 痛みだけでなく、しびれや脱力なども確認してくれる
  • 日常生活で何に困っているかを聞いてくれる
  • 施術で何を目指すのかを説明してくれる
  • 必要に応じて医療機関での確認にも触れてくれる
  • 通院の目安を、理由とセットで説明してくれる

こうした問診があると、患者さんも自分の状態を整理しやすくなります。

不安をあおるのではなく、今どこを見ていて、何を確認したいのかを共有する。

それが、良い問診の土台だと思います。

うまい問診は、売るためではなく見立てるためにある

問診がうまくなると、患者さんに説明しやすくなります。

通院の必要性も伝えやすくなります。

でも、それはあくまで結果です。

最初の目的は、患者さんの状態を見立てること。

施術内容と計画を考えること。

そして、患者さんが納得して身体と向き合えるように説明することです。

型を覚えるのは、そのためです。

型を超えるのも、そのためです。

問診は、患者さんを通わせる技術ではなく、患者さんを安全に見ていくための技術だと思っています。

瀬谷崎
瀬谷崎

問診は、売るためにうまくなるものではありません。ちゃんと聞いて、ちゃんと考えて、必要なことを説明する。その積み重ねが、結果的に信頼につながるだけです。

瀬谷崎将也
株式会社とんとん/とんとん整骨院 代表。臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」主宰。

とんとん整骨院 代表。柔道整復師として、都内に鍼灸整骨院4店舗・鍼灸院1店舗を運営。多くの患者と関わる中で、「痛み」や「慢性疼痛」への深い理解の必要性を痛感し、EBM(根拠に基づく医療)・バイオメカニクス・BPSモデル(生物心理社会モデル)を軸とした臨床を実践。その知見をもとに、臨床系セラピストスクール「ANOアカデミー」を主宰し、セミナー運営など施術者の育成・教育にも精力的に取り組んでいる。

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