「張る」肩こりはなぜ起きる?上を向くと張る・どの方向でも張る、当院17症例に共通していた肩甲骨の位置
症状コラム
「こる」ではなく「張る」。その言葉が教えてくれること
「肩がこる」ではなく「首が張る」「肩が突っ張る」という言葉で来院される方は少なくありません。上を向くと張る、どの方向を向いても張る、リュックを背負うと張る。とんとん整骨院グループの症例レポートのうち、ご本人の訴えや経過に「張り」という言葉が残っている肩こりの記録は17件ありました。読み返してみると、張っている場所はばらばらでも、背景にはよく似た共通点がありました。
17件の内訳は、デスクワークの方が9件、運転や出張の多い方が2件、学生が2件。年代は20代と30代で11件、女性が13件でした。立ち仕事やゴルフ、溶接作業の方も含まれています。
この記事では、その17件に共通していたこと、張りの出方による違い、ご自身で確かめられること、そして先に医療機関で確認したいサインまでを、症例の記録に沿ってお伝えします。
この記事の要点(タップで開く)
首や肩が「張る」と感じる肩こりの記録17件では、多くの方で肩甲骨が外側や下へ開いた位置にあり、首から肩甲骨へつながる筋肉が引き伸ばされたまま頭と腕を支え続けていました。張っている場所そのものより、肩甲骨を前や下へ引いている胸の前や腕の前側の筋肉が硬くなっていたことが多く、ゆるめることと肩甲骨を支える筋肉のトレーニングを組み合わせる進め方が記録に残っています。
腕や手のしびれ、力の入りにくさ、経験のない強い頭痛、発熱を伴う場合は、先に医療機関にご相談ください。
「張る」と「こる」は、どう違うのか
「こり」は重い、固まっている、という言葉で語られることが多いのに対して、「張り」は「どこかに引っ張られている」「伸ばされている」という感覚で語られることが多い印象があります。
実際の記録を見てみます。10年くり返してきた首の突っ張りで来院された30代の男性は、首を横に倒すと強い「伸ばされ感」があり、安静にしていても出る一方で、動かすと楽になる傾向がありました。デスクワーク中の肩こりで来院された60代の女性は、首を前に倒す動きより、後ろへ反らす動きと横へ倒す動きで首の張りが強く出ていました。20代の男性は、首をどの方向へ動かしても首から肩にかけての張りがある状態でした。
張りを感じていた場所は、首の後ろから肩の上、肩甲骨の内側まで人によってさまざまです。ところが、施術で「縮んで硬い」と確認された筋肉は、その場所ではないことがほとんどでした。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎17症例に共通していた「肩甲骨の位置」
17件の記録を並べると、評価の欄にくり返し出てくる言葉がありました。「肩甲骨が外側へ開いて下がった位置」です。
肩甲骨が外側や下へ行くと、首から肩甲骨へつながる筋肉(僧帽筋・そうぼうきんの上の部分や、肩甲挙筋・けんこうきょきん)は、引き伸ばされたまま頭と腕の重さを支え続けることになります。休めない筋肉は張ります。一方で、肩甲骨を前や下へ引いているのは、胸の前の筋肉(小胸筋・しょうきょうきん)、わきの筋肉(前鋸筋・ぜんきょきん)、腕の前の筋肉(上腕二頭筋・じょうわんにとうきん)でした。こちらが縮んで硬くなっている側です。
立ち仕事の女性の記録には、分かりやすい確認が残っています。首を前に倒すと肩甲骨のあたりが痛みましたが、肩甲骨を内側へ寄せて少し持ち上げるように支えると、その場で症状が楽になりました。肩甲骨の位置が負担の出どころだと、こうした確認で見えてくることがあります。
なで肩で肩甲骨が下がっていた方、前かがみの姿勢が続いていた方も含めると、17件のうちほとんどで「肩甲骨の位置と、それを支える筋肉の働き」が評価の中心になっていました。
張りの出方で見えてくる、3つのパターン
共通点はあっても、張りの出方は同じではありません。記録を出方で分けると、だいたい3つに分かれました。症例レポートの実物へのリンクも添えておきます。
1. 上を向く、反らすと張る
座って画面を見る姿勢では、首の後ろの筋肉が縮んだ位置のまま頭を支え続けています。そこから上を向くと、縮んだ側に負担が集まって張りが強まる、という見立てが記録されていました。
- 60代女性・ときわ台店上を向くと首が張るデスクワーク中の肩こり
初回の施術後に張りはいったん引きましたが、2回目には仕事でかなり戻っていました。そこで早い段階でストレッチと自宅トレーニングをお渡しし、3〜5回目で戻る幅が小さくなり、8回目ごろに月1回のメンテナンスへ移行した経過です。
- 70代女性・ときわ台店座り続ける仕事でつらかった肩こり
首を前や横に倒すと肩の張りが強く出ていました。僧帽筋のトレーニングと胸まわりのセルフストレッチを組み合わせ、戻り幅が少しずつ小さくなった記録です。
2. どの方向を向いても張る
特定の動きで痛むタイプと違って、原因がつかみにくく感じられるかもしれません。記録では、肩甲骨が開いた姿勢で僧帽筋が伸ばされたまま弱まり、首の後ろの筋肉が代わりに支え続けていたことが背景にありました。
- 20代男性・東武練馬店どの方向へ動かしても張っていた首から肩のこり
縮んでいた胸の前と首まわりをゆるめ、伸ばされて弱まっていた僧帽筋はトレーニングで育てる方針で、全10回・約2ヶ月の経過でした。
- 30代女性・ときわ台店机に向かうと強まる20年来の首肩のこり
最初の数回は施術後の2、3日だけ調子がよく、仕事が続くと戻るくり返しでした。5回目以降はトレーニングを中心に切り替え、疲れによるこり感は今も残るものの、平日に気になり続ける状態からは抜けてきています。
3. 荷物、運転、特定の場面で強まる
リュックや手提げは、肩甲骨を下へ引き下げる方向の負担として毎日積み重なります。運転や出張の移動時間、ゴルフのような体をひねるスポーツも、同じ姿勢や片寄った動きが続く場面です。
- 20代女性・南浦和店リュックなど荷物を持つと強まっていた首肩のこり
肩甲骨が下がった位置にあり、荷物を持つときに働く腕や背中の筋肉をゆるめ、肩甲骨を支える僧帽筋のトレーニングを進めました。6回目には強く感じていた張りが気にならない状態になった記録です。
- 50代男性・ときわ台店バイクの運転や出張の移動でつらかった首の張り
20年以上続いた張りと重だるさ。7〜10回目で僧帽筋のトレーニングまで進め、月1回のメンテナンスに移行。ツーリングや仕事のあとも症状を感じない状態が続いていると記録されています。
- 30代男性・下板橋店10年繰り返した首の突っ張り
ドライバーの仕事と趣味の音楽制作で座る時間が長い方。斜角筋や小胸筋をゆるめて肩甲骨の動きを引き出し、4〜5回目で日常の辛さが大きく減った経過です。
このほか、鍼灸院で首肩の張りをみた記録も2件ありました。スマートフォンの時間が長い方の頭痛を伴う張り、噛みしめをともなう張りつめです。鍼灸での見方は女性の不調と鍼灸の考え方の記事に譲ります。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎ご自身で確かめられること
当てはまる項目が多いほど、張っている場所そのものより、肩甲骨の位置と支える力から見直す意味がありそうです。
- 上を向く、首を反らすと張りが強まる(首の後ろが縮んだまま支えている可能性)
- 首を横に倒すと、反対側が伸ばされるように張る(引き伸ばされている側の張り)
- リュックや手提げを持つ日、長く運転した日に強まる(肩甲骨が下へ引かれる負担)
- 休日やお風呂のあとは軽く、仕事が続くと戻る(日中の姿勢の積み重ね)
- 横から鏡で見ると、頭が肩より前に出ている、肩が前に巻いている
セルフケアとして記録に多かったのは、胸の前のストレッチと、肩甲骨を軽く内側へ寄せて少し持ち上げる動きです。やり方は巻き肩のセルフチェックと胸のストレッチの記事で手順を載せています。痛みやしびれが出る場合は中止し、専門家にご相談ください。
こんな張りは、先に医療機関へ
先に確認したいサイン
腕や手のしびれ、力の入りにくさを伴う。これまで経験のない強い頭痛が急に始まった。発熱がある、安静にしていても強まる、夜中に目が覚めるほど痛む。転倒や事故のあとから出た。こうした場合は、整骨院より先に医療機関での確認をおすすめします。
頭痛を伴うときの分け方はよくある頭痛と病院で確かめたい頭痛の分け方、めまいを伴うときは首こりでめまいがするときの目安を参考にしてください。
当院で確かめること
来院されたら、まずどの方向で張りが出るかを動きの検査で確かめます。次に肩甲骨の位置を見て、肩甲骨を支えると張りが変わるかを確認します。ここで変われば、肩甲骨を前や下へ引いている筋肉をゆるめることから始め、落ち着いてきたら肩甲骨を支える筋肉のトレーニングと自宅でのケアへ進めていきます。
17件の記録では、おおむね5〜10回のあいだで日常で気にならない程度まで落ち着き、月1回のメンテナンスへ移行した例が多くありました。ただし経過には個人差があり、20年来の方のように時間をかけて付き合っている例もあります。
瀬谷崎この記事は一般的な情報提供です。症例の経過は記録どおりに記載していますが、症状の出方や経過には個人差があります。痛みやしびれが続くときは、医療機関への受診をご検討ください。





