腰が「張る」のはなぜ?反らすと張る・前かがみで張る・座ると重だるい、当院11症例に共通していた股関節とお尻の話
症状コラム
腰の「張り」は、腰だけを見ても答えが出ないことが多い
反らすと腰が張る。前かがみになると張る。立ちっぱなしの家事で張ってくる。座っていると重だるくなる。腰痛のなかでも「張る」「重だるい」という言葉で来院される方は多く、とんとん整骨院グループの症例レポートのうち、ご本人の訴えや経過にその言葉が残っている腰の記録は11件ありました。読み返してみると、評価の欄で腰そのものが主役になっていた記録は、ほとんどありませんでした。
11件の内訳は、40代が4件、50代と60代が各2件、30代が3件。デスクワーク、配達業、立ち仕事、料理、ゴルフやテニスなどの運動、子育てと、場面はさまざまです。男女はほぼ半々でした。
この記事では、11件に共通していたこと、張りの出方による違い、痛みが「張り」に変わっていく経過、ご自身で確かめられること、そして先に医療機関で確認したいサインまでを、記録に沿ってお伝えします。
この記事の要点(タップで開く)
腰が「張る」「重だるい」と感じる腰痛の記録11件では、腰そのものより、股関節の硬さとお尻や体幹の支える力の低下が評価の中心でした。股関節が動かないぶんを腰が肩代わりする、立っているだけで腰が反る、座っている姿勢を支えきれない、という流れで腰に負担が集まっていました。進め方は、股関節まわりをゆるめることと、お尻や体幹の支える筋肉のトレーニングを組み合わせる形が多く、痛みがまず「張り」や「だるさ」に変わり、そのあと気にならなくなる、という段階を踏んだ経過も複数残っています。
脚のしびれや力の入りにくさ、排尿や排便の異常、安静にしていても強まる痛み、発熱を伴う場合は、先に医療機関にご相談ください。
腰の張りは、どこから来ていたのか
11件の評価の欄に出てくる言葉を拾うと、「股関節」と「お尻の筋肉」がくり返し出てきます。
小学生の頃から腰痛があり、1ヶ月半前から左腰に突っ張りとジーンとする痛みが出た40代の男性。評価は、もも裏(ハムストリングス)と股関節の前側(腸腰筋・ちょうようきん)の硬さで股関節がうまく曲がらず、その分を腰がくり返し肩代わりしていた、というものでした。1年以上、常に腰に張りがあった配達業の40代男性は、股関節の硬さに加えて猫背で肩甲骨まわりの動きも硬く、腰に負担が集中しやすい姿勢になっていました。
立ちっぱなしの料理で張りが強くなる50代の女性は、骨盤が前に倒れて腰の反りが強く、股関節の前側の筋肉が縮こまって、立っているだけで腰が反りやすい状態でした。かがんだあとにうまく立ち上がれなかった60代の女性は、お尻の筋肉の働きが弱まり、お尻の支えが足りない分を腰の反りとねじれで補っていました。
股関節が動かない分を腰が引き受ける。立っているだけで反る。座っている姿勢を支えきれない。きっかけは違っても、腰は「原因」というより「負担を引き受けている場所」として記録されていました。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎張りの出方で分かれる、3つのパターン
1. 反らすと張る、立ちっぱなしで張ってくる
骨盤が前に倒れて腰の反りが強い姿勢(いわゆる反り腰)の記録に多い出方です。立っているだけで反る方向の負担がかかり続け、料理や立ち仕事で張りが増していきます。
- 50代女性・こもれび鍼灸院立ちっぱなしで強くなる慢性的な腰痛に、鍼とお灸を使った例
腰の筋肉のこわばった部分への鍼とお灸に、股関節の前側をゆるめるアプローチを組み合わせた記録。週1回で1ヶ月、隔週で2ヶ月、その後は月1回へ。
- 40代女性・南浦和店腰の痛みと両太もものしびれ
反り腰と股関節の硬さ、お尻とお腹の支える力の低下。初回ごろから張り感や動き出しの負担が和らぎ、5回目ごろには一日に一度軽い違和感を感じる程度に。
- 30代女性・東武練馬店仕事帰りに気になっていた腰の痛み
デスクワークと子育てで疲労がたまると支える筋肉が働ききれず、反り姿勢の負担が腰に出ていた記録。全8回・約1ヶ月半で終了。
2. 前かがみ、屈むと張る
もも裏や股関節の前側が硬く、股関節がうまく曲がらないと、前かがみの動きを腰が代わりに引き受けます。靴下を履く、物を拾う、洗顔するといった動作で張りが出る記録が並びました。
- 40代男性・下板橋店小学生の頃から続いた左腰の痛み
ハムストリングスと腸腰筋の硬さで股関節の曲がり方が崩れていた記録。2回目でかなり和らぎ、出張で痛みが出る時期を挟みながら、現在は2週に1回のメンテナンスへ。
- 50代女性・下板橋店ずっと諦めていた腰と臀部の慢性的な痛みと張り感
整形外科や整骨院、整体に通っても変化がなく諦めていた方。股関節の可動域とお尻の筋力に取り組み、調子の波を挟みながら約1年で気にならないレベルまで落ち着いた記録。
- 40代男性・下板橋店1年以上続いた腰の張りと痛み
配達業で常に腰に張りがあった方。股関節と肩甲骨の両方の動きを引き出し、2回目でかなり楽になり、週の後半には腰痛がほぼなくなる状態へ。
- 60代男性・南浦和店運動後に出る腰痛
ゴルフやテニスのあとと起床時に出る張り。レントゲンで異常なし。股関節の可動域の狭さが背景で、7〜11回目には硬い感じは残るものの痛みなく運動できるように。
3. 座っていると重だるい、仰向けで痛む
動きの検査では痛みが出ないのに、座っていると重だるくなるタイプです。姿勢を支える力の側に理由が見つかることがある、と記録されています。
- 30代男性・下板橋店座っていると重だるくなっていた長年の腰の痛み
約20年前から、10分座っているだけで重だるさが出ていた方。中殿筋の働きが弱まり、硬い筋肉に引かれた姿勢で座り続けていた記録。全4回・約1ヶ月で30分座れる状態に。
- 30代女性・東武練馬店仰向けで寝ると痛んでいた腰の痛みとしびれ
お尻の支える力と股関節まわりの柔軟性の低下。4回目から9回目にかけて、痛みからだるさ・重たさへと感じ方が変わり、10回目以降は気にならない状態に。
- 40代男性・東武練馬店つまづいたあとに強まった長年の腰の痛み
2回目は座り仕事で痛みが戻ったものの、支える筋肉を育てるなかで座ったあとの疲労感も落ち着き、月1回のメンテナンスを経て卒業した記録。全13回。
痛みが「張り」に変わっていく経過
11件を読み返して気づいたことがもうひとつあります。「張り」が、経過の途中で現れる段階として記録されていることです。
かがんだあと立ち上がれなかった60代の女性は、9回目に痛みがなくなり、違和感や張り感に変わっていきました。仰向けで痛んでいた30代の女性は、4回目から9回目にかけて、痛みからだるさ・重たさへと感じ方が変化し、10回目以降に気にならなくなりました。仕事帰りの腰痛の30代女性は、5回目にはほぼ症状を感じなくなり、張りが出るときもセルフケアで気にならなくなる状態になっていました。
痛みが張りやだるさに変わったとき、「まだ良くなっていない」と不安になる方もいます。でも記録では、それは多くの場合、負担の集まり方が変わってきたサインとして扱われていました。セルフケアで対処できる段階に入った、とも言えます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎ご自身で確かめられること
- 反らすと張る、立ちっぱなしで張ってくる(腰の反りと股関節の前側の縮こまり)
- 前かがみ、靴下を履く動作で張る(もも裏や股関節の曲がりにくさ)
- 座っていると重だるく、動くと楽になる(座る姿勢を支える力)
- 朝起きるとこわばり、動き出すとほぐれてくる
- 運動のあと、翌日に張りが強まる
反らすタイプは股関節の前側のストレッチ、前かがみタイプはもも裏のストレッチと股関節から曲げる動き、座るタイプはお尻の筋肉を使う動きが記録に多く登場します。朝のこわばりは寝起きの腰痛の検討記事、運動後の張りは運動後の腰痛の検討記事も参考にしてください。痛みやしびれが出る場合は中止し、専門家にご相談ください。
こんな張りは、先に医療機関へ
先に確認したいサイン
脚のしびれや力の入りにくさが広がっている。排尿や排便の異常がある。安静にしていても強まる、夜中に目が覚めるほど痛む。発熱、体重の減少を伴う。転倒や事故のあとから出た。こうした場合は、整骨院より先に医療機関での確認をおすすめします。
詳しい目安は整骨院やマッサージで腰痛が良くならないときの受診の目安と、ぎっくり腰で病院に行くべきか迷ったときのサインに載せています。
当院で確かめること
来院されたら、反らす、曲げる、ひねる、どの動きで張りや痛みが出るかを動きの検査で確かめます。あわせて股関節の可動域とお尻の筋力を見て、股関節を動かしやすくしたり、お尻で支えたりすると腰の張りが変わるかを確認します。そこから、硬さのある股関節まわりをゆるめることと、お尻や体幹の支える筋肉のトレーニング、自宅でのケアへ進めていきます。
11件の記録では、全4回で終了した例から、約1年かけて落ち着いた例まで幅がありました。経過には個人差があり、長く続いた張りほど支える力を育てる時間が必要だった、というのが記録から読み取れる傾向です。
瀬谷崎この記事は一般的な情報提供です。症例の経過は記録どおりに記載していますが、症状の出方や経過には個人差があります。痛みやしびれが続くときは、医療機関への受診をご検討ください。





